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フェンリル編
721.赤斜の決戦夜3
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「ケイヤクデスカ?」
フェンリルは訝しんでいた。
ルカが唐突に契約の話を持ち出すとは思わなかった。
裏があるのではないかと疑っている。
「そうだよ。契約、してくれないかな?」
「イヤデス」
「だろうね」
フェンリルは当然断った。
もちろん、ルカもタダでは引き下がる気がない。
フェンリルと目を合わせると、理由を訊ねる。
「理由は分かっているけれど、訊いてもいいかな?」
「ワタシハニンゲンニクミサナイ」
口調が荒々しくなった。
本来の棘を取り戻すと、ルカを睨み付けている。
魔力の流れを読み取ると、フェンリルは今にも飛び掛かって来そうだ。
「密猟者に襲われたから? 人間のことを嫌っているから、だよね?」
「アタリマエダ。ワタシガケガヲオッタノハ、ニンゲンノシワザダ」
フェンリルの言い分は正しい。
密猟者の人間の仕業で怪我をしてしまった。
恨み辛みはあるのだろうが、とは言え、その怪我を治したのも人間だ。
皮肉が効いてしまってはいるが、ルカはわざわざ口にはしない。
「ソンナニンゲンニクビワヲツケレルナド、ゴンゴドウダンダ。シンデモケイヤクハシナイ。コレハワタシノイシダ」
フェンリルはハッキリとした拒絶反応を示す。
ルカに対しても殺意のようなものを抱いていた。
こうなった以上、契約を結ぶのは絶望的。
そう思ったので、ルカは別の方法を試す。
「それじゃあ、別にいいよ」
「!?」
ルカは敢えて突き放した。
別に契約が絶対ではないのだとフェンリルに思わせる。
そうすることで、フェンリルの方から噛み付かせた。
「ケイヤクガヒツヨウナイ?」
「そうだよ。別に契約をしなくてもいい」
モンスターと契約すること。それは互いに主従関係を結ぶことだ。
フェンリルが嫌がるのも無理はない。
それならば、決して無理にとは言わない。ルカは配慮ができる。
「ムジュンシテイルナ」
「矛盾はするよ。わざと矛盾するように喋っているからね」
ルカはフェンリルをわざと混乱させる。
意識と認知を歪ませることで、上手く話を丸めようとした。
けれどその必要は最低限でさえない。完全にルカの願望だ。
「イミガワカラナイ。オマエハナニヲイッテイルンダ」
「最悪フェンリルが手伝ってくれないのなら、必要は無いよ。別のを用意するから」
ルカはフェンリルを捨てた。
別に必要がないものなので、別で用意すれば済む話だ。
誰に手伝って貰おうか? それとも、分身でも作るべきだろうか?
様々考えてみる中、フェンリルはルカの服を引っ張った。
「どうしたの、フェンリル?」
「グルルゥ」
「怒ってる? もしかしなくても、挑発したから?」
ルカは分かった上で、フェンリルを煽る。
怒りに燃える目を浮かべると、ルカを刺してきた。
「でも悪いね。フェンリル」
「ガルゥ?」
「フェンリルを頼らなくても、私には手段が幾らでもあるんだよ」
正直、ルカにはフェンリル以上に心強い味方がたくさん居る。
それに加えて、ルカにはたくさんの魔法の知識が備わっている。
つまりは、フェンリルに頼らなくても最悪の場合、上手く回ってくれた。
「だから無理強いをする必要は無い。ごめんね、無理なことを言って」
これ以上は完全に共生になってしまう。
流石にルカもこれ以上フェンリルの時間を奪えない。
それは時空系魔法を操るルカだからこその配慮だ。
「もう無理に頼らないから、自由にしていていいよ」
完全に興味を失っていた。
フェンリルに固執する必要が皆無になる。
突然自由にされ、世間に放り出された。
フェンリルは自分自身の存在意義を失い、尊厳を踏みにじられた気分に陥る。
「とは言え、リボンは付けておいた方がいいから、そのままでいてね」
ルカはフェンリルが首に巻かれた首輪代わりのリボンを見る。
外してしまっても別に構わない。
けれどここは町中だ。下手に外すと、狙われる可能性がある。
それを考慮すると、ルカはわざと外さない。
「さてと、どうしようかな」
ルカはフェンリルを無視した。
完全に居ないもの。もしくは置物として見ている。
いや、見てさえいない。意識の外側に置いてしまうと、フェンリルは苛立つ。
気高い幻獣がこうもアッサリ眼中から外されたのを受け、フェンリルは口を開く。
「ワカリマシタ」
「分かったって、なにが?」
フェンリルは煽られ、その挙句舐められた。
それに腹を立てたのか、覚悟を決めてくれる。
ルカは分かっていながら、分かっていないふりをして、飄々とおどけてみせた。
「シャクデスガ、ボウケンシャノミカタヲシマス」
「味方になってくれるんだね。ありがとう、助かるよ」
最低な交渉にはなってしまった。
とは言え、フェンリルが成り行きとは言え引き受けてくれた。
今回はそれだけで充分だと悟るが、如何も含みがある。
「タダシ、ヒトツジョウケンガアリマス」
「条件?」
「ハイ。ミツリョウシャヲトラエタアト、ヒトツオネガイシマス」
流石にタダでは引き受けてはくれない。様々な可能性を考慮して身構えるものの、フェンリルの口から飛び出したのは、ルカの想像以下だった。
寧ろそんなことでいいんだとルカは思う。
ルカにとってはあまりにも軽い交換条件に、つい笑ってしまいそうになった。
フェンリルは訝しんでいた。
ルカが唐突に契約の話を持ち出すとは思わなかった。
裏があるのではないかと疑っている。
「そうだよ。契約、してくれないかな?」
「イヤデス」
「だろうね」
フェンリルは当然断った。
もちろん、ルカもタダでは引き下がる気がない。
フェンリルと目を合わせると、理由を訊ねる。
「理由は分かっているけれど、訊いてもいいかな?」
「ワタシハニンゲンニクミサナイ」
口調が荒々しくなった。
本来の棘を取り戻すと、ルカを睨み付けている。
魔力の流れを読み取ると、フェンリルは今にも飛び掛かって来そうだ。
「密猟者に襲われたから? 人間のことを嫌っているから、だよね?」
「アタリマエダ。ワタシガケガヲオッタノハ、ニンゲンノシワザダ」
フェンリルの言い分は正しい。
密猟者の人間の仕業で怪我をしてしまった。
恨み辛みはあるのだろうが、とは言え、その怪我を治したのも人間だ。
皮肉が効いてしまってはいるが、ルカはわざわざ口にはしない。
「ソンナニンゲンニクビワヲツケレルナド、ゴンゴドウダンダ。シンデモケイヤクハシナイ。コレハワタシノイシダ」
フェンリルはハッキリとした拒絶反応を示す。
ルカに対しても殺意のようなものを抱いていた。
こうなった以上、契約を結ぶのは絶望的。
そう思ったので、ルカは別の方法を試す。
「それじゃあ、別にいいよ」
「!?」
ルカは敢えて突き放した。
別に契約が絶対ではないのだとフェンリルに思わせる。
そうすることで、フェンリルの方から噛み付かせた。
「ケイヤクガヒツヨウナイ?」
「そうだよ。別に契約をしなくてもいい」
モンスターと契約すること。それは互いに主従関係を結ぶことだ。
フェンリルが嫌がるのも無理はない。
それならば、決して無理にとは言わない。ルカは配慮ができる。
「ムジュンシテイルナ」
「矛盾はするよ。わざと矛盾するように喋っているからね」
ルカはフェンリルをわざと混乱させる。
意識と認知を歪ませることで、上手く話を丸めようとした。
けれどその必要は最低限でさえない。完全にルカの願望だ。
「イミガワカラナイ。オマエハナニヲイッテイルンダ」
「最悪フェンリルが手伝ってくれないのなら、必要は無いよ。別のを用意するから」
ルカはフェンリルを捨てた。
別に必要がないものなので、別で用意すれば済む話だ。
誰に手伝って貰おうか? それとも、分身でも作るべきだろうか?
様々考えてみる中、フェンリルはルカの服を引っ張った。
「どうしたの、フェンリル?」
「グルルゥ」
「怒ってる? もしかしなくても、挑発したから?」
ルカは分かった上で、フェンリルを煽る。
怒りに燃える目を浮かべると、ルカを刺してきた。
「でも悪いね。フェンリル」
「ガルゥ?」
「フェンリルを頼らなくても、私には手段が幾らでもあるんだよ」
正直、ルカにはフェンリル以上に心強い味方がたくさん居る。
それに加えて、ルカにはたくさんの魔法の知識が備わっている。
つまりは、フェンリルに頼らなくても最悪の場合、上手く回ってくれた。
「だから無理強いをする必要は無い。ごめんね、無理なことを言って」
これ以上は完全に共生になってしまう。
流石にルカもこれ以上フェンリルの時間を奪えない。
それは時空系魔法を操るルカだからこその配慮だ。
「もう無理に頼らないから、自由にしていていいよ」
完全に興味を失っていた。
フェンリルに固執する必要が皆無になる。
突然自由にされ、世間に放り出された。
フェンリルは自分自身の存在意義を失い、尊厳を踏みにじられた気分に陥る。
「とは言え、リボンは付けておいた方がいいから、そのままでいてね」
ルカはフェンリルが首に巻かれた首輪代わりのリボンを見る。
外してしまっても別に構わない。
けれどここは町中だ。下手に外すと、狙われる可能性がある。
それを考慮すると、ルカはわざと外さない。
「さてと、どうしようかな」
ルカはフェンリルを無視した。
完全に居ないもの。もしくは置物として見ている。
いや、見てさえいない。意識の外側に置いてしまうと、フェンリルは苛立つ。
気高い幻獣がこうもアッサリ眼中から外されたのを受け、フェンリルは口を開く。
「ワカリマシタ」
「分かったって、なにが?」
フェンリルは煽られ、その挙句舐められた。
それに腹を立てたのか、覚悟を決めてくれる。
ルカは分かっていながら、分かっていないふりをして、飄々とおどけてみせた。
「シャクデスガ、ボウケンシャノミカタヲシマス」
「味方になってくれるんだね。ありがとう、助かるよ」
最低な交渉にはなってしまった。
とは言え、フェンリルが成り行きとは言え引き受けてくれた。
今回はそれだけで充分だと悟るが、如何も含みがある。
「タダシ、ヒトツジョウケンガアリマス」
「条件?」
「ハイ。ミツリョウシャヲトラエタアト、ヒトツオネガイシマス」
流石にタダでは引き受けてはくれない。様々な可能性を考慮して身構えるものの、フェンリルの口から飛び出したのは、ルカの想像以下だった。
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