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転入生編
12.仲良くなりたい
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ルカは憂鬱だった。
昨日のことがあるからだ。
「如何しよう。何とかしてシルヴィアと仲良くならないと……」
ルカは人のことを平気で呼び捨てにする。
そこがもしかしたら気に食わないかもしれないが、そこは愛嬌として受け入れてもらうしかない。
そんな調子でアルカード魔術学校に登校し、二組に入るとシルヴィアとライラックが一緒にいた。
「ふはぁー、今日も怠いなー」
「はいはい、朝からそんなこと言わない」
「だって眠いんだいよー。おや?」
「何かしらライ? あっ」
ルカの顔を見るな否やシルヴィアは顔を引き攣らせた。
流石にそれは如何か。しかしルカは自分が警戒されていることに気が付きつつも、シルヴィィアとライラックの元に歩み寄る。
「おはよう、えーっと」
「おはよう。私はライラック。ライでいいよー」
「それじゃあライ。それから……」
ルカはライラックの隣の席に座るシルヴィアの顔を見た。
しかしシルヴィアは口を閉じ、顔を背けたまま。そのせいでまともな自己紹介も兼ねた挨拶はできそうにない。困ったぞ。
「もう、シルヴィ!」
「ふん」
ライラックは何とか宥めようとしたが、やっぱり何が気に食わないのか分からない。
それは親友のライラックにも理解できなかったが、これ以上やっても意味がないので、仕方なく席に着くことにした。
「失敗か」
大きな溜息が出そうになった。
だけど何とかしてそれを抑え込む。変な空気が込み上げるのは何故か。よっぽど私のことが気に食わないんだなと、ルカは密かに悩みを抱いた。
「ねぇシルヴィ、何に怒ってるの?」
「言いたくないの」
「そんな子供みたいなこと言わないでさ。ちょっとは話をしようよ」
「嫌です。私、あんな子に負けたくないの。負けられないの……」
ライは一生懸命ルカとの間を取り持とうとした。
それが自分の穏やかな学生生活に繋がると信じてだ。しかしそれだけじゃない。
ライは親友のことを気にしていた。こんなギクシャクとしたままなんて、面白くない。疲れるだけだもん。
「はぁー、困った子だね」
「大きなお世話よ」
シルヴィアには凄まじい意地があった。
しかしそうならないといけない理由もある。だからこそ、負けてられないんだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
その日の授業はいつも通りだった。
ノーブルは黒板に教科書の内容を少し書き足しながら、説明していく。今日は魔法歴史学だ。
「えー、このように魔法とは魔術が生まれる遥か前に存在していた魔術の原型に当たります。ですが今では使い手はほとんど存在していません」
「先生、何で魔法は無くなっちゃったんですか?」
「いい質問です。それには二つの理由があります。一つは魔術と魔法には圧倒的な魔力の質の差があります。魔術の場合に生じる魔力の運動作用と魔法の場合の運動作用だと、魔法の方が確かに高威力・高コスパで優秀ですが、その分疲労感や魔力の質が低下した現在では連発がかなり難しい。もっとも熟練の魔法使いなら、そのようなことは差異ですが素人ではわけが違います。最悪死に至るケースだって珍しくはありませんよ」
「そんな……」
「だったら練習したらいいんじゃないですか?」
「それは違います。それこそが二つ目の理由です。これこそが魔術と魔法との間に大きな亀裂をもたらしています」
「その亀裂って……」
「才能の有無です」
ルカはそれが出てくることを最も嫌った。
確かにノーブルの話すことは正しい。この教科書は現在の魔法使いの一人で、ナタリーが監修している。だからこそ、あまりに正確なんだ。しかしそれが嫌味に繋がる。
「才能ですか?」
「そうです。魔法は才能の有無が大きく関わってきます。多少努力というものもかかわりますが、そのほとんどは生まれ持った潜在的なもの、または後天的に何らかの事象が介入した場合に震える魔力調和が必要です。それは人為的に起こせるものではなく、過去は対戦も頻繁だったため、殺伐とした世界で生きるために常にひりついた環境に接して来たためこのようなことになったんです」
ナタリーの書いた教科書を読んでいるだけなのに、胸が痛くなる。
ただしルカの涙は枯れている。だから多少でしかない。そんな中、
「その中でも特に最強と呼ばれた魔法使いは皆女性で、女性の方が適正力が高かったこともありますが、群を抜いていた三人のことを魔法使いたちは畏怖と敬意の意味を込めてこう呼んでいたんです」
その瞬間チャイムが鳴った。
しかし声だけは置き去りになって残る。
「魔女と」
昨日のことがあるからだ。
「如何しよう。何とかしてシルヴィアと仲良くならないと……」
ルカは人のことを平気で呼び捨てにする。
そこがもしかしたら気に食わないかもしれないが、そこは愛嬌として受け入れてもらうしかない。
そんな調子でアルカード魔術学校に登校し、二組に入るとシルヴィアとライラックが一緒にいた。
「ふはぁー、今日も怠いなー」
「はいはい、朝からそんなこと言わない」
「だって眠いんだいよー。おや?」
「何かしらライ? あっ」
ルカの顔を見るな否やシルヴィアは顔を引き攣らせた。
流石にそれは如何か。しかしルカは自分が警戒されていることに気が付きつつも、シルヴィィアとライラックの元に歩み寄る。
「おはよう、えーっと」
「おはよう。私はライラック。ライでいいよー」
「それじゃあライ。それから……」
ルカはライラックの隣の席に座るシルヴィアの顔を見た。
しかしシルヴィアは口を閉じ、顔を背けたまま。そのせいでまともな自己紹介も兼ねた挨拶はできそうにない。困ったぞ。
「もう、シルヴィ!」
「ふん」
ライラックは何とか宥めようとしたが、やっぱり何が気に食わないのか分からない。
それは親友のライラックにも理解できなかったが、これ以上やっても意味がないので、仕方なく席に着くことにした。
「失敗か」
大きな溜息が出そうになった。
だけど何とかしてそれを抑え込む。変な空気が込み上げるのは何故か。よっぽど私のことが気に食わないんだなと、ルカは密かに悩みを抱いた。
「ねぇシルヴィ、何に怒ってるの?」
「言いたくないの」
「そんな子供みたいなこと言わないでさ。ちょっとは話をしようよ」
「嫌です。私、あんな子に負けたくないの。負けられないの……」
ライは一生懸命ルカとの間を取り持とうとした。
それが自分の穏やかな学生生活に繋がると信じてだ。しかしそれだけじゃない。
ライは親友のことを気にしていた。こんなギクシャクとしたままなんて、面白くない。疲れるだけだもん。
「はぁー、困った子だね」
「大きなお世話よ」
シルヴィアには凄まじい意地があった。
しかしそうならないといけない理由もある。だからこそ、負けてられないんだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
その日の授業はいつも通りだった。
ノーブルは黒板に教科書の内容を少し書き足しながら、説明していく。今日は魔法歴史学だ。
「えー、このように魔法とは魔術が生まれる遥か前に存在していた魔術の原型に当たります。ですが今では使い手はほとんど存在していません」
「先生、何で魔法は無くなっちゃったんですか?」
「いい質問です。それには二つの理由があります。一つは魔術と魔法には圧倒的な魔力の質の差があります。魔術の場合に生じる魔力の運動作用と魔法の場合の運動作用だと、魔法の方が確かに高威力・高コスパで優秀ですが、その分疲労感や魔力の質が低下した現在では連発がかなり難しい。もっとも熟練の魔法使いなら、そのようなことは差異ですが素人ではわけが違います。最悪死に至るケースだって珍しくはありませんよ」
「そんな……」
「だったら練習したらいいんじゃないですか?」
「それは違います。それこそが二つ目の理由です。これこそが魔術と魔法との間に大きな亀裂をもたらしています」
「その亀裂って……」
「才能の有無です」
ルカはそれが出てくることを最も嫌った。
確かにノーブルの話すことは正しい。この教科書は現在の魔法使いの一人で、ナタリーが監修している。だからこそ、あまりに正確なんだ。しかしそれが嫌味に繋がる。
「才能ですか?」
「そうです。魔法は才能の有無が大きく関わってきます。多少努力というものもかかわりますが、そのほとんどは生まれ持った潜在的なもの、または後天的に何らかの事象が介入した場合に震える魔力調和が必要です。それは人為的に起こせるものではなく、過去は対戦も頻繁だったため、殺伐とした世界で生きるために常にひりついた環境に接して来たためこのようなことになったんです」
ナタリーの書いた教科書を読んでいるだけなのに、胸が痛くなる。
ただしルカの涙は枯れている。だから多少でしかない。そんな中、
「その中でも特に最強と呼ばれた魔法使いは皆女性で、女性の方が適正力が高かったこともありますが、群を抜いていた三人のことを魔法使いたちは畏怖と敬意の意味を込めてこう呼んでいたんです」
その瞬間チャイムが鳴った。
しかし声だけは置き去りになって残る。
「魔女と」
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