1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

文字の大きさ
29 / 733
秩序編

29.螺旋階段の地下深く

しおりを挟む
  噴水提が変形した。
 刻まれていた魔術が覚醒した。のではない。昔封じていた魔法の跡を、何者かが経年劣化によって弱っていたために無理矢理こじ開けたのだ。
 正直詰めが甘かった。
 まさか噴水提自体が欠けるなんて。
 誰が思うというのか、ルカは深く深ーく溜息を吐き散らしていたのだ。

「まさか学校の地下深くに。しかも噴水の真下にこんな大規模なものが隠されているなんて。知らなかったわ」

 シルヴィアが関心を深める。

「よく解ったわね。こんなの」
「私もそう思うよ。下はどうなってるのかな」

 ルカもこの魔法が刻まれていたのは知っていた。
 しかし入り口になっていたり、この下が如何なっているのかは全く知らない。
 そこでルカも若干の興味はあったが、やはりそれすらも上回るほど、怒りの色が漏れる。

「だけど他人を苦しめるような、それこそ関係のない人まで……許せないや」
「ルカ?」
「行こう皆んな。この先に何が待っていようと」

 古い小説の終わりのような期待値を煽る発言。
 だけどそれは同時に落胆でもある。それがよく解っているから、ここで躊躇うのも仕方ないが、誰も戻る気はない。
 だって、自分たちの身を守るためにもやらないと駄目なんだもん。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 ルカたちは意気揚々と入り口をくぐった。
 その矢先のことだ。

「へぇー、かなり湿ってるのにカビがあまり生えてないわね」
「ほんとだー。何でだろ」
「さぁね。でも考えられるのは、定期的に誰かが入り浸っているとか」
「誰かって?」
「そこまでは」

 そこでルカは口をつぐむ。
 さらに下から気配を感じた。しかも二つ。やっぱり先客がいたか。

「如何したのよ、ルカ」
「いや、誰かなぁーって」
「誰かって、まさか犯人! きゃぁっ!」

 シルヴィアは落っこちた。
 とっても可愛らしい悲鳴を上げて落っこちた。

「痛っぁ。もう、なんでこんなところに穴が」
「大丈夫?」
「ええ平気よ。でもなんでこんなところに、おっきな穴があるのかしら?」

 シルヴィアは首を傾げる。
 するとそこに空いていたのは巨大な穴。だけどシルヴィアが落ちていないから、落とし穴とかの罠類じゃない。それに一つ一つに段差と平らな面がある。板張りではなく、岩を直接削って天然の階段を造ったみたいだ。
 だけど、

「これって螺旋階段? 危なかったね。落ちたら真っ逆さまで死んでたよねー」
「怖いこと言わないでよ。でもライ。つまり下に行けるってことよ。ルカの言ってたことも納得したわ」
「確かにねー。でもさ、一体誰が犯人なんだろ」
「それは判らないけど、とにかく行ってみよう」

 先導するのはルカ。
 手を添わせて壁伝いに螺旋階段を降りていく。
 かなり深い。体幹だと、地下三階から五階はある。つまり、十数メートル降りたことになるが、

「全然見えてこないわね」
「そうだねー。でもさ、何か宝探しっぽくない?」
「確かにそうよね。でも、気を張りなさいライ。この先何がいるかわからないわよ」

 定番に聞こえそうだけど、凄く強い言葉だった。
 ルカは経験者のような発言をしたシルヴィアに感嘆としたものの、すぐに研ぎ澄ます。

「確かに気を張るのはいいことだけど、張り過ぎもよくないよ。そのムラの性とか、逆に煽って気づかれるかもしれない」
「そうなの?」
「へぇー、よく知ってるね」
「経験したからね。何度も死にかけた」

 だけど昔のことだ。歴史的には。
 でもルカの中でもついこの間のように体験し、魔獣との戦闘では特に厳しかったことを思い出す。

「あれは嫌だった。思い起こしたくもない」
「「はい?」」

 二人は話に乗り遅れる。
 だけどルカはそんなこと構ってられずに、それから話をスッと戻すと、さらに気配を薄める。
 限りなく薄めた気配を手繰り寄せ、下にいるであろう二つの気配を図ると、どうやら二人目は見知ったものだと察した。

「まさかね」

 何だか厄介なことになってきそうだ。
 でもそれは後の話なので、今は関係ない。
 未来の自分に後悔を与え、今は突き進むしかなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

処理中です...