1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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魔術運動会編1

69.静かな居城

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  居城の中はあまりに静かだった
 気持ち悪いと思うほどで、道中では襲って来た二人だけだった。
 難なく倒したルカは、居城の中を散策する。

「居城の中がここまで静かなことがあるのかな。ナタリーの話だと、黒の狩猟者は確か三十人弱の大所帯のはずなんだけど。まさか、デマ情報?」

 いや、ナタリーに限ってそれはない。
 色々考えた挙句、ルカはこんな結論を浮かべた。

「おそらく、サブリーダー? が反乱でも起こしたんだろうけど、やっぱり一枚岩じゃなかったんだ。こういう組織は、一枚が剥がれれば、雪崩式に剥がれていくから、中を潰すのが早いんだろうけど、弱ったなー。多分、血の気が多いよね」

 そうなると、戦闘になりかねない。
 もしも相手が魔術を使うなら、《アンチスペル》で止められる。それ以外なら肉弾戦が筆頭格。だけど、もしもそれ以外だったら、ルカは使わざるおえないかもしれない。
 しかし、大人げなかった。

「でも仕方ないんだよね。それが、命懸けの戦闘なんだから。それに、そう立ち回らなければ、いいってだけ? 何だろ、この床に落ちた赤い液体。うん、血だね」

 ルカはしゃがみ込んで、床一面に散らばる血液を見つけてしまった。
 カなら新しい。
 まだ赤々としていて、ルカは血の痕を辿ることにした。
 すると、見えてきたのは、何やら物騒な光景だった。

「ん? あれは……」

 見えてきたのは、対立する二組だった。
 一方は柔らかい金色の髪をした少年。青い眼が、聡明そうで、その後ろには誰もいない。
 しかし対するは赤い髪のいかにも喧嘩っ早そうな男だった。後ろには、取り巻きがたくさんいる。
 だけど気になるのは、転がっている人の数だ。少年の方に頭を向けて倒れている。何やら、怪しかった。

「如何したよ、フィラ。情けない姿だな」
「そんなことはいいよ、マヒート。それより、如何してこんなことをしたんだ。あれほど、悪人以外は殺すなって言ってたよね」
「それはお前の考えだろ。俺に指示を出すな、兄弟」
「だったらもう容赦はしないよ。でも、僕を殺したっていいことはないはずだけどね」
「それはお前の頭が悪いのか? 少し考えたらわかるだろ」
「わかるけど、考えたくはないかな」
「そうかよ。だったら、大人しく俺の踏み台になってもらおうか!」

 そう言って、マヒートは手のひらを燃やした。
 あまりの熱量だ。後ろの取り巻きたちも、身を退いた。

「そっちがそう来るなら、僕もやるしかないね。蒸発の魔術師として、君を倒す」
「やってみろよ、兄弟。この俺は、熱量の魔術師だ!」

 お互いの手のひらから魔力が高まる。
 それだけではない。全身から、凄まじい量の魔力が込み上げると、お互いの炎がぶつかり合った。
 一つは、単純な火力。しかしもう一人は絡めてのような、炭酸のようにしゅわしゅわしていた。

「マズいかな。これは……」

 それを見ていたルカは危険を感じた。
 そこで悪意の塊であり、言動からも悪人だと判断した、赤髪の男を狙った。
 手のひらを向け、短く唱える。

「《アンチスペル》」

 《アンチスペル》は使えた。
 相手はおそらく固有魔術を使っていない。出し惜しみではなく、特に理由もなく単純な火力勝負に出たんだ。
 固有魔術なら、流石にこの魔術、《アンチスペル》だと止めることはできないんだ。

「な、なんだ!」
「ま、魔術が解けた?」

 二人は目を丸くする。
 しかしその隙にルカは取り巻きの男達の意識を刈り取ることに成功すると、マヒートと呼ばれていた赤い髪の男の首筋に、手のひらの手刀を当てた。

「動かない方がいいよ。お前の負けだから」
「な、なんだお前は……」
「お前たちを捕まえに来た、魔術師かな。と言うことで、大人しく落ちてね」

 ルカはマヒートの意識を刈り取った。
 残ったフィラは身構えたままで、ルカを睨んでいたが、既に勝ち目はないと、異様な魔術に怯えていた。悪意のない、単純なものではない、複雑な魔力だったからだ。
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