76 / 733
魔術運動会編1
76.絡まれる少女
しおりを挟む
今日の予定は普通の学生を装って、怪しい行動をしている人を検挙する、普通の役目。
その結果、ルカは他の生徒とは違って、表立って行動していた。
「とは言っても、この数は。昨日の倍?」
ルカは目を疑った。
あまりの数に圧倒されて、一瞬頭を押さえる。
気持ち悪い数の人が大通りをウヨウヨしている。
これは観光するだけでも、大変だろう。
「とか言ってる場合じゃないか。とりあえず、この大通り進むルートは使えないとして、如何しよう。脇道でも通るか」
ルカはこの町の構造をあらかた知っている。
そのため隣に入って、脇道を進むことにした。
暗い道だ。しかも狭くて、人通りも悪い。
「流石にこの辺は、空いてるかな」
ルカの通った道は、建物の裏手の完全な脇道だった。
しかもその足取りを妨げるものはない。
代わりに定期的に張り出された、蜘蛛の巣やネズミの姿が気になるが、ルカは山育ちなので、虫も小動物も怖くなかった。
「ほいっと」
小さな段差を上る。
タッタッタッ! と、階段を上る。
高低差のある町並みは、面白かった。
「本当、この町は飽きない。まだまだ楽しみが増えるよ」
ルカの足取りは壁に向かっていた。
この壁は実は続いている。そうでもしないと、一方通行の何もない脇道だ。
しかしこれに気づけたら、するりと越えていた。
ルカの足取りは真っ直ぐで、壁をすり抜けた。
すると、変な声が聞こえてきた。嫌な会話だった。
「やめてください。私は戻らないんです。戻りたくないです」
「いいえ戻っていただきます。いや、来ていただきます。貴女には、私と一緒に来てもらわないといけないんです」
「どうしてですか。それに貴方の目、何処となく……何かおかし……」
「ん?」
ルカが壁を越えると、違う道が続いていた。
そこはまだ脇道で、見てはいけないものを見た。いや見過ごせない光景だった。
一人は男。発達した筋肉が肩を盛り上がらせる。
その手で握るのは、少女の細い腕。しかし筋肉がついている。凄いバネと、魔力だ。
「なんだ、お前!」
「いや、そういうのやめてもらえるかな?」
「なんだと? ただの学生風情が、何の権利がある」
「権利はないよ、でも、嫌がっている子を無理矢理連れて行こうとするのは、立派な犯罪じゃないかな?」
ルカはそう言い切った。
男は苛立っているようだが、少女の魔力は震えている。
ルカはそれを受けて、助けを求めていると即座に判断した。
男からは悪意が込み上げていた。
「だったら、とっとと失せろ」
「それはできないかな。こう見えても、警備生だから、やらないとね」
「へぇー。じゃあ私に勝てるのか?」
「さあね。答えは教えない」
ルカはそう言い切り、一瞬にして距離を詰める。
男の手から少女の腕を離させ、少女を引き寄せる。
「えっ!?」
「大丈夫、君?」
「あっ、は、はい。ありがとう、ございます……」
少女の頬が赤らんだ。
ルカは首を傾げて、額に手を当てる。少し熱い? もしかして、熱でもあるのかな。
とか言っている隙に、男は剣を抜き、ルカに振り下ろした。
「そらぁ!」
「よっと」
しかしルカには効かなかった。
軽く身を躱し、男の持つ剣を蹴りで弾く。
「な、なんだと! この私の剣技を」
「剣技ならとっくに見たことあるよ。そんなのは雑魚がやることだって」
「この野郎!」
「野郎はお前」
ルカは襲ってきた男の腹に蹴りを入れた。
それから回し蹴りをしてこめかみにブーツのつま先を叩きつける。
男は倒れ込んだ。しかしルカは倒れ込む男の鳩尾に、右ストレートを叩き込んだ。
「ぐはぁ!」
「そこでおとなしくしててよ」
男は口から泡を吐いた。
目が白くなっている。
ルカはすぐさま縄で縛り上げると、適当に壁際に背中を付けさせ、警備生に知らせることにした。
それからルカは助けた少女を連れて、その場を後にする。
それもそのはず、ルカにはこの少女が少し雰囲気が違っていたからだった。
その結果、ルカは他の生徒とは違って、表立って行動していた。
「とは言っても、この数は。昨日の倍?」
ルカは目を疑った。
あまりの数に圧倒されて、一瞬頭を押さえる。
気持ち悪い数の人が大通りをウヨウヨしている。
これは観光するだけでも、大変だろう。
「とか言ってる場合じゃないか。とりあえず、この大通り進むルートは使えないとして、如何しよう。脇道でも通るか」
ルカはこの町の構造をあらかた知っている。
そのため隣に入って、脇道を進むことにした。
暗い道だ。しかも狭くて、人通りも悪い。
「流石にこの辺は、空いてるかな」
ルカの通った道は、建物の裏手の完全な脇道だった。
しかもその足取りを妨げるものはない。
代わりに定期的に張り出された、蜘蛛の巣やネズミの姿が気になるが、ルカは山育ちなので、虫も小動物も怖くなかった。
「ほいっと」
小さな段差を上る。
タッタッタッ! と、階段を上る。
高低差のある町並みは、面白かった。
「本当、この町は飽きない。まだまだ楽しみが増えるよ」
ルカの足取りは壁に向かっていた。
この壁は実は続いている。そうでもしないと、一方通行の何もない脇道だ。
しかしこれに気づけたら、するりと越えていた。
ルカの足取りは真っ直ぐで、壁をすり抜けた。
すると、変な声が聞こえてきた。嫌な会話だった。
「やめてください。私は戻らないんです。戻りたくないです」
「いいえ戻っていただきます。いや、来ていただきます。貴女には、私と一緒に来てもらわないといけないんです」
「どうしてですか。それに貴方の目、何処となく……何かおかし……」
「ん?」
ルカが壁を越えると、違う道が続いていた。
そこはまだ脇道で、見てはいけないものを見た。いや見過ごせない光景だった。
一人は男。発達した筋肉が肩を盛り上がらせる。
その手で握るのは、少女の細い腕。しかし筋肉がついている。凄いバネと、魔力だ。
「なんだ、お前!」
「いや、そういうのやめてもらえるかな?」
「なんだと? ただの学生風情が、何の権利がある」
「権利はないよ、でも、嫌がっている子を無理矢理連れて行こうとするのは、立派な犯罪じゃないかな?」
ルカはそう言い切った。
男は苛立っているようだが、少女の魔力は震えている。
ルカはそれを受けて、助けを求めていると即座に判断した。
男からは悪意が込み上げていた。
「だったら、とっとと失せろ」
「それはできないかな。こう見えても、警備生だから、やらないとね」
「へぇー。じゃあ私に勝てるのか?」
「さあね。答えは教えない」
ルカはそう言い切り、一瞬にして距離を詰める。
男の手から少女の腕を離させ、少女を引き寄せる。
「えっ!?」
「大丈夫、君?」
「あっ、は、はい。ありがとう、ございます……」
少女の頬が赤らんだ。
ルカは首を傾げて、額に手を当てる。少し熱い? もしかして、熱でもあるのかな。
とか言っている隙に、男は剣を抜き、ルカに振り下ろした。
「そらぁ!」
「よっと」
しかしルカには効かなかった。
軽く身を躱し、男の持つ剣を蹴りで弾く。
「な、なんだと! この私の剣技を」
「剣技ならとっくに見たことあるよ。そんなのは雑魚がやることだって」
「この野郎!」
「野郎はお前」
ルカは襲ってきた男の腹に蹴りを入れた。
それから回し蹴りをしてこめかみにブーツのつま先を叩きつける。
男は倒れ込んだ。しかしルカは倒れ込む男の鳩尾に、右ストレートを叩き込んだ。
「ぐはぁ!」
「そこでおとなしくしててよ」
男は口から泡を吐いた。
目が白くなっている。
ルカはすぐさま縄で縛り上げると、適当に壁際に背中を付けさせ、警備生に知らせることにした。
それからルカは助けた少女を連れて、その場を後にする。
それもそのはず、ルカにはこの少女が少し雰囲気が違っていたからだった。
20
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる