1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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悪魔教会編

189.スノーパウダー

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 ルカたちは教会の外にいた。
 それぞれ役目を全うするため走っている。

「何とかなったみたいね」
「そうだねー。これでほとんどは捕まえたんじゃないのー」

 シルヴィアが胸を撫で下ろし、ライラックは笑みを浮かべていた。
 ルカたち5人は建物の物陰に隠れていた。
 教徒たちが教会に侵入するよりずっと間から待機していた。

「やりましたね、ルカさん。ですが、一体何が起きたんでしょうか?」
「そうよね。ルカの今回の作戦だけど、教徒たちの動きを操作コントロールするなんて相当なことよ」

 教徒たちをおびき寄せたのはルカではないが、暴徒と化した教徒たちは教会の中から出られなくなっていた。
 それもそのはず、短時間で様々な仕掛けを用意していたからだ。

「まさか教会内に侵入者を閉じ込めるための仕掛けをするなんてね、施錠ロックを一定数の人が入ったら勝手に作動する何て仕様、本当に恐ろしいわ」
「しかも中に入ったら凍るなんて考えもしないよねー」
「施錠と冷凍保存のコンボだね。でもこの方法が一番相手を長時間無力化できるから」

 眠らせたり毒で犯したり体を痺れされたりと色々な方法が思い浮かんではいたが、仮に途中で身体が慣れてしまい動き出されてしまえば元も子もない。
 しかし冷凍保存は違う。人間寒さにはめっぽう弱い。どれだけ温かい環境下でも寒さに襲われればたちまち眠って体の動きが硬直する。
 細胞もまとめて凍らせてしまえば筋肉は動かすこともできずに固まってしまう。
 ルカは経験則からこの魔法を教会内に仕掛けとして置いていた。

「でも変ですよね。冷凍保存って、部屋が広ければ広いほど効力が……」
「効きはするけど遅くなる。でもその弱点を補う方法はいくらでもあるんだよ。例えば今回使った白い粉、シルヴィはわかる?」
「もちろんわかるわよ。アレはね……」
「スノーパウダーですね」
「正解、流石はブルースター。首席なだけはあるね」
「その褒め方はあまり嬉しくありませんね」
「ごめんごめん……どうしたの、シルヴィ?」

 シルヴィアは頬を膨らませていた。
 小言から怒っているのが窺える。

「私が質問されたのに……」

 出番を取られて悔しかったみたいだ。
 けれどそんな不遇扱いを受けたシルヴィアをルカは放って置かない。

「じゃあシルヴィ。スノーパウダーの特徴は?」
「そんなの簡単よ。スノーパウダーはね……」
「非常に高い冷却性能を誇る素材ですね。北の極寒の国の雪山などで採取されるものが一般的と聞きましたよ」
「後、スノーパウダーは人体には影響がないって聞いたことがあります!」

 シルヴィアの出番をブルースターとダリアが食ってしまった。
 その光景に絶句するシルヴィアの肩をポンポンと優しく叩くライラックが儚かった。

「ドンマイ」
「う、うん……でもスノーパウダーには他にも効果があって」
「そうだね、シルヴィ。スノーパウダー最大の性質は何かな?」
「え、えっと……寒さに連動して氷の結晶に閉じ込めてしまうことよ。しかも周囲にあるもにも伝染して凝固する。だから扱いは難しいって聞いたことがあるわ」
「完全正当。代用品には一般的な家庭用食塩も有効だから覚えておいてね」

 要はスノーパウダーとは塩のことだ。
 塩はよく固まるし、雪を固める時にはよく使われる。
 その作用さえ知っていれば代用もできたのだが今回は逆に塩を切れしてしまっていたので、代わりに代用品として使うことにした。

「でもまさか厨房に塩だけがないなんてね」
「ちょうど切らしていたんです。今度からは用意しますね」
「今度? 何言ってるのさ、今回で終わらせるよ」

 和やかなムードが一変して畏まった空気に変貌する。
 ルカの放った現実に引き戻す一言に緊張が走る。
 これから5人は死闘を繰り広げることになるのだと、改めて脳裏に焼き付け理解する。

「敵も少なからず私たちが教徒を捕えたことを勘付ているはずだ。しかもライと一緒に見に行った限りもう時間の問題だよ」
「そうだよねー。あの調子じゃ、そろそろ行動に移る頃だよねー」
「私たちが調べ回って儀式用の陣に介入したことも知っているはず。となるとここからは命懸けになる。みんな気を引き締めて行こうね」

 ルカは拳を突き出した。
 シルヴィアとライラック、それからダリアも併せて拳を突き出して合わせた。
 一瞬戸惑ったブルースターも空気を読んで拳を合わせると、全員の瞳が闘志に燃え気が引き締まっていた。

「とりあえず全員死なないように。何かあればすぐに離脱で、終わったら他のところの援護。間に合わなければ最終地点に走ってね」
「わかってるわよ。今日は制服でもないもんね」
「校長から貰ったこの戦闘服だねー。久々に着たよー」

 ここにいる全員が好調から支給された黒い戦闘に服に着替えている。
 それぞれが特徴的なアイテムを持ち、気合十分な様子だ。

「それじゃあ行くよ。解散!」

 ルカの合図で一斉に飛び出した。
 全六ヶ所の儀式用の陣を破壊するため駆け出したんだ。
 しかしルカは心配なんてしていなかった。ここにいる全員は強いから。
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