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悪魔教会編
191.シルヴィアと翼②
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右手を隠してシルヴィアは鳥人の男に魔術を食らわせた。
「《エア・バレット》!」
シルヴィアは右掌を押し出すように広げた。
すると風が渦を巻いて塊になり、鳥人の男に叩きつけられる。
「無詠唱で魔術を使ったのか、忘却の壁を築け—《ウィンド・シールド》!」
鳥人の男は魔術を使った。
意外ではないが風の魔術を使っている。
シルヴィアとの最大の違いは、“風の魔術の詠唱”だ。
「ふふん。あの血のにじむような経験をした私は、詠唱なんて必要ないのよ!」
「詠唱を必要としない魔術師などたくさんいるだろ。舐めてんじゃねえ!」
シルヴィアは少しだけ慢心していた。
しかし今の一喝に気圧されてしまい、シルヴィアは胸を掻き乱された。
「な、舐めてなんかないわよ。《ストリーム・ウィンド》!」
「打ちひしがれるは、眩き風。—《ストリーム・ウィンド》!」
シルヴィアと鳥人の男は同時に同じ魔術を使った。
出力的にはシルヴィアが押していた。しかし鳥人の男に攻撃が入ることもない。
翼も広げていないので、未だに本気ではないらしい。
「舐めているのは貴方の方でしょ。翼の羽も出さなくなったわね」
「必要がないからな。無詠唱に甘える魔術師なんざ、俺の敵じゃあねえ!」
鳥人の男は羽根をダーツのように投げつけてきた。
指先から離れた瞬間、シルヴィアの体を貫こうと加速する。
「《ウィンド・シールド》!」
「不正だな。規則的な魔術師なんざ、面白くもねえ」
鳥人の男の声がすぐ耳元で聞こえた。
かと思えば腹に強烈な拳が叩きつけられ、シルヴィアの体が悲鳴を上げた。
「ガァッ!」
声にもならない叫びが体の奥からでてきた。
口から唾が吐かれ、痛みから蹲りそうになったが、何とか堪えて立ち上がる。
「俺の攻撃を耐えきっただと!」
「はぁはぁ……邪魔よ!」
シルヴィアは蹴り上げた。左足の甲には風が凝縮されている。
《ウィンド・アッパー》にも似た《ウィンド・ブレイク》と言う魔術だ。
肉弾戦が得意ではないので容易にかわされてしまったが、鳥人の男はシルヴィアを舐めるのを止める。
「なかなかやるな。しかもその動き、大したものじゃねえか」
「そ、そう?」
ハッタリで噛ましただけなのに、敵の脳裏には深くこびりついているようだ。
シルヴィアは良い方に転んだので無言で良しとすると、体勢を立て直して風の魔術を叩き込み。
「だったらこれでどうかしら、《エア・バレット》!」
シルヴィアはもう一度《エア・バレット》を放った。
張り手をするみたいに打ち込む形はルカのものとは違う。
ルカも無詠唱で使っていたことから無詠唱でもイメージで構築できてしまうので、比較的慣れれば余裕だった。
とは言え、プラネット家の魔術《星の銃》にはまるで及ばない。
「忘却の壁を築け—《ウィンド・シールド》!」
「また同じ防御魔術?」
シルヴィアは違和感を感じた。
同じ防御魔術を活用するからか構築までの時間差が不自然だった。
《ウィンド・シールド》は風を壁のように束ねて、敵の攻撃を阻害する。
風の幕を張って受け流してしまうイメージだ。けれど鳥人の男からはその動きが一切感じられなかった。何よりも不自然なのは——
「風が受け流されていないみたいに見えたけど……今のは」
シルヴィアが考え込んでいる間に、今度は鳥人の男の拳が再びシルヴィアに迫っていた。
しかし今度は見切っているので、腕を掴みながら後ろに吹き飛ばした。
敵の体重を利用して投飛ばした模様だ。
「はぁはぁ……気が抜けないわね」
「甘いな」
シルヴィアは慢心していたわけではないが、鳥人の男から攻撃を受けていた。
気が付けば左腕に鳥の羽根が突き刺さっていて、痛々しく硬化している。
剣のような形状がナイフのように鋭くなり、腕の中で固定されていた。
血行が悪くなり、シルヴィアは満足に左腕が上がらなくなった。
「い、痛い……ちょっと、何をしたのよ!」
「俺の羽根をお前の骨の中に埋め込んだ。その腕は重りになって動かせない」
シルヴィアは苦い表情を浮かべた。
先程の防御魔術の違和感が解けたからだ。
骨に食い込んだこの羽根。硬化した原因は至ってシンプルだった。
「硬化魔術で固めるなんて、こんな芸当風魔術と相性が悪いはずなのに……」
「相性なんざ、経験でどうにでもなるんだよ。そしてお前はもう終わりだ」
シルヴィアは重たくなった左腕を庇ってまともに動けなかった。
動けば動く程ナイフのように突き刺さり痛みを促進させ、目の奥が破裂するぐらい痛くて仕方ない。
けれど動かなくても痛いなら結局シルヴィアは動くしかなかった。
とは言え風の魔術は使えない。
(この羽根のせいで腕がヒリヒリする。風なんて使ったらもっと痛くなるわね)
奥歯を噛んでシルヴィアは悲鳴を上げたい気分だった。
けれど抜こうにも骨と一体化していて抜き取ることができない。
神経だけはすり抜けて、骨とだけ一体化されている証拠だ。
「どうした、逃げないのか?」
鳥人の男は余裕を決め込んでいた。
しかしシルヴィアは挑発には全く乗らない様子で、にやりと笑みを浮かべていた。
「《エア・バレット》!」
シルヴィアは右掌を押し出すように広げた。
すると風が渦を巻いて塊になり、鳥人の男に叩きつけられる。
「無詠唱で魔術を使ったのか、忘却の壁を築け—《ウィンド・シールド》!」
鳥人の男は魔術を使った。
意外ではないが風の魔術を使っている。
シルヴィアとの最大の違いは、“風の魔術の詠唱”だ。
「ふふん。あの血のにじむような経験をした私は、詠唱なんて必要ないのよ!」
「詠唱を必要としない魔術師などたくさんいるだろ。舐めてんじゃねえ!」
シルヴィアは少しだけ慢心していた。
しかし今の一喝に気圧されてしまい、シルヴィアは胸を掻き乱された。
「な、舐めてなんかないわよ。《ストリーム・ウィンド》!」
「打ちひしがれるは、眩き風。—《ストリーム・ウィンド》!」
シルヴィアと鳥人の男は同時に同じ魔術を使った。
出力的にはシルヴィアが押していた。しかし鳥人の男に攻撃が入ることもない。
翼も広げていないので、未だに本気ではないらしい。
「舐めているのは貴方の方でしょ。翼の羽も出さなくなったわね」
「必要がないからな。無詠唱に甘える魔術師なんざ、俺の敵じゃあねえ!」
鳥人の男は羽根をダーツのように投げつけてきた。
指先から離れた瞬間、シルヴィアの体を貫こうと加速する。
「《ウィンド・シールド》!」
「不正だな。規則的な魔術師なんざ、面白くもねえ」
鳥人の男の声がすぐ耳元で聞こえた。
かと思えば腹に強烈な拳が叩きつけられ、シルヴィアの体が悲鳴を上げた。
「ガァッ!」
声にもならない叫びが体の奥からでてきた。
口から唾が吐かれ、痛みから蹲りそうになったが、何とか堪えて立ち上がる。
「俺の攻撃を耐えきっただと!」
「はぁはぁ……邪魔よ!」
シルヴィアは蹴り上げた。左足の甲には風が凝縮されている。
《ウィンド・アッパー》にも似た《ウィンド・ブレイク》と言う魔術だ。
肉弾戦が得意ではないので容易にかわされてしまったが、鳥人の男はシルヴィアを舐めるのを止める。
「なかなかやるな。しかもその動き、大したものじゃねえか」
「そ、そう?」
ハッタリで噛ましただけなのに、敵の脳裏には深くこびりついているようだ。
シルヴィアは良い方に転んだので無言で良しとすると、体勢を立て直して風の魔術を叩き込み。
「だったらこれでどうかしら、《エア・バレット》!」
シルヴィアはもう一度《エア・バレット》を放った。
張り手をするみたいに打ち込む形はルカのものとは違う。
ルカも無詠唱で使っていたことから無詠唱でもイメージで構築できてしまうので、比較的慣れれば余裕だった。
とは言え、プラネット家の魔術《星の銃》にはまるで及ばない。
「忘却の壁を築け—《ウィンド・シールド》!」
「また同じ防御魔術?」
シルヴィアは違和感を感じた。
同じ防御魔術を活用するからか構築までの時間差が不自然だった。
《ウィンド・シールド》は風を壁のように束ねて、敵の攻撃を阻害する。
風の幕を張って受け流してしまうイメージだ。けれど鳥人の男からはその動きが一切感じられなかった。何よりも不自然なのは——
「風が受け流されていないみたいに見えたけど……今のは」
シルヴィアが考え込んでいる間に、今度は鳥人の男の拳が再びシルヴィアに迫っていた。
しかし今度は見切っているので、腕を掴みながら後ろに吹き飛ばした。
敵の体重を利用して投飛ばした模様だ。
「はぁはぁ……気が抜けないわね」
「甘いな」
シルヴィアは慢心していたわけではないが、鳥人の男から攻撃を受けていた。
気が付けば左腕に鳥の羽根が突き刺さっていて、痛々しく硬化している。
剣のような形状がナイフのように鋭くなり、腕の中で固定されていた。
血行が悪くなり、シルヴィアは満足に左腕が上がらなくなった。
「い、痛い……ちょっと、何をしたのよ!」
「俺の羽根をお前の骨の中に埋め込んだ。その腕は重りになって動かせない」
シルヴィアは苦い表情を浮かべた。
先程の防御魔術の違和感が解けたからだ。
骨に食い込んだこの羽根。硬化した原因は至ってシンプルだった。
「硬化魔術で固めるなんて、こんな芸当風魔術と相性が悪いはずなのに……」
「相性なんざ、経験でどうにでもなるんだよ。そしてお前はもう終わりだ」
シルヴィアは重たくなった左腕を庇ってまともに動けなかった。
動けば動く程ナイフのように突き刺さり痛みを促進させ、目の奥が破裂するぐらい痛くて仕方ない。
けれど動かなくても痛いなら結局シルヴィアは動くしかなかった。
とは言え風の魔術は使えない。
(この羽根のせいで腕がヒリヒリする。風なんて使ったらもっと痛くなるわね)
奥歯を噛んでシルヴィアは悲鳴を上げたい気分だった。
けれど抜こうにも骨と一体化していて抜き取ることができない。
神経だけはすり抜けて、骨とだけ一体化されている証拠だ。
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