1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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雷鳥編

243.鋼の竜②

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 ライラックが持っていたのは鋼竜の体の一部で、見たところ尻尾の先端のようだった。
 もしかしたら脱皮をした後かもしれない。
 ルカは表情を歪めて、「うわぁー」と唸った。

「ちょっとルカ如何したのよ。急にうわぁとか言いだして」
「ちょっと面倒なことになったんだ。ライラックの持っているそれ、かなり古いよね?」
「そう言えば黒ずんでいるのかなー?」

 ライラックが持っている鋼竜の尻尾の先端は綺麗な銀色ではなく、ちょっと黒くなっていた。
 鋼が酸化してしまったようで、溶けている部分もある。
 しかしたったこれだけの情報でこの先何が待っているのか予想できるルカは流石は千年前の魔法使いと言わざるを得ない。

「いやぁー、嫌だなー」
「ちょっと! 何1人でわかった気になっているのよ。私達にもわかるように説明して」
「そうです。私達も混ぜてください!」
「わかってるよ。ただ、難しい話なんだよね。ドラゴン系はほとんどトカゲみたいなものなんだよ。というか、大きいトカゲかな。はい、頭の良いシルヴィやブルースターはもうわかるね」
「「あー、言いたいことはわかったかな?」」

 2人とも首を捻った。
 如何やら“トカゲ”のヒントだけで全てを察してくれたらしい。

「トカゲは脱皮をするから。その尻尾の先端が黒いのはかなり時間が経っているから。つまり古い皮ってことなんだよ」
「つまり、今の鋼竜は……」
「脱皮直後だろうから、全体的に柔らかい。その分だけ警戒心が強いはずだから、近づいたら死ぬね」
「そんなはっきり言わなくてもいいでしょ!」
「いいや、ここははっきり言うよ。脱皮直後の警戒心の強いドラゴンは本当に危ないから。マジで死ぬと思うよ」

 ルカの顔は笑っていなかった。
 むしろ真剣な眼で、シルヴィア達に突き付ける。
 死は着実に近づいている。自分達が擦り寄っているのだ。

「でも臆することはないよ」
「急にコロッと変わらないで! 情緒不安定みたいでしょ」
「ごめん。でも本当に心配する必要はないよ。見つからない・・・・・・ければいいんだから・・・・・・・・・
「「それが大変なんだよ!」」

 ルカはシルヴィアとライラックに怒られる。
 シルヴィアは本気で、ライラックは乾いた様子で一応乗って置こうと思ったらしい。

「隠れながら魔力を消して、ゆっくり背後を進めばいいんだから。簡単でしょ?」
「そんなわけないでしょ!」
「私は簡単だけどねー。でもさ、今更だけどルカが亜空間を作ってそこに私達が入る的なことできないの?」
「それよ!」

 シルヴィアが閃いたみたいにライラックの提案に乗っかった。
 するとルカは乾いた笑いを上げ、「無理だよ」ときっぱり断る。

「如何して無理なのよ!」
「亜空間に私抜きで入って無事でいられると思うのかな?」
「それは……行けるでしょ? ほら、雷鳥の子供を……」
「体積が小さいからできたんだよ? それとも私抜きで入って、ぐしゃぐしゃになりたいのかな?」
「嫌です」
「正直でよろしい」

 ルカの魔法は確かに強い。
 しかしその弊害として一歩間違えれば命を奪う代物だった。

「それじゃあこんなところで永遠と立ち話も無駄だからね。それじゃあ早くトンネルを抜けようか」
「ううっ……トンネルを抜けた先が見たくないわ」
「永遠に暗闇を彷徨うつもり?」
「それは絶対に嫌よ」

 シルヴィアはルカのきっぱりとした問いかけに絶対を付けて対抗した。
 するとトンネルの中が急に揺れ出した。
 何の前触れもなく突然の出来事に困惑した。

 ガタガタガタガタ!

 天井からコンクリートの塊が落ちてきた。
 ボロボロと崩れ落ち、ルカ達は動けなかった。
 動いたら危ない。これは地震とは違う。単なる地響きとは違い、ルカ達全員に強烈な殺気と魔力の波動が流れた。

「ちょっと、コレってモンスターよね!」
「マズいことになったよ」
「また1人でわかった気になってる」
「コレはゴロローンの影響で多分トンネル出口の何かに当たって起こしたんだね。これは……寝起き?」
「そんなのでわかるわけないでしょ!」

 シルヴィアがさっきからうるさいとルカは思った。
 けれど非常事態なことはこの場にいる全員がわかっているので、地響きが収まるのを黙って待つ。
 幸いトンネルは古いにもかかわらず非常に保ってくれている。

 地響きは突然無くなった。
 これでようやく進めると思ったが、ルカ以外に恐怖が過った。
 この先にいるドラゴンに怯えてしまっているようだ。

「はいはい、進むよ」
「如何してルカは……」
「ここにいてもまた同じでしょ? 次もトンネルが無事とは限らないんだから、今のうちにトンネルを抜けるしかないの」
「それもそうですね……皆さん頑張って進みましょうか」

 ブルースターはいち早く理解した。
 シルヴィア達を鼓舞すると、無理やりにでもトンネルの外を目指した。
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