1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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雷鳥編

247.細い抜け道の先には

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 穴の中に何とか落っこちた。
 むしろ滑り込めたと言った方がいいのか。

 ルカ達はメタルグラムの攻撃を何とか回避し、無事に穴の中に飛び込んだ。
 おかげで命は無事で、ルカ達は擦り剥いた部分を撫でながら目を合わせる。

「痛たたたぁ……全員無事?」
「何とかね」

 腰を押さえながら返事をしたシルヴィアはライラック達をチラ見した。
 一応怪我とは言っても大したことはなく、それよりも問題なのは入ってきた穴が塞がれていたことだった。

「大丈夫だけどさ、戻れなくなっちゃったね?」
「入って来た穴が塞がっています。先程の突風のせいでしょうか?」
「うっ! それを言われると肩身が狭くなるわね」

 確かに突風を起こしたのはシルヴィアだ。
 しかしシルヴィアも悪気があって突風を起こしたわけではない。
 ルカは弁護するように良いことを言った。

「でも、おかげでメタルグラムの攻撃から助かったよ。ありがとう、シルヴィ」
「そ、そうかしら? こう……正直に褒められると何だか歯痒いはね」

 シルヴィアは褒められて嬉しそうだった。
 頬をポリポリ掻きながら、照れくさそうに赤らめる。

「でも、突風のせいで死にかけもしたけどね。焦りすぎだよ」
「うっ!?」

 シルヴィアは昂った感情をルカの手で上げて落とされた。
 しかし本当に事なので、シルヴィアも頭が上がらない。
 悪気はなかったとはいえ、自分の魔術のせいで全員を危険に晒した。
 自分で蒔いた種を回収できなかったと知り、深く反省する。

「そうよね。みんな、ごめんなさい」

 深く頭を下げるシルヴィア。
 しかし誰も謝罪何て望んでいなかった。
 むしろ謝られる理由はないので、全員ポカンとしている。

「何謝っているのさー。結局全員助かったんだから、別にいいでしょー?」
「うっ……ライラックに言われるのは皮肉ね」
「皮肉でもいいでしょー? それにさ、今考えるべきはこの後のことだよね?」

 ライラックは怒ったことは如何でもいいスタンスらしい。
 その考えに乗っかったルカ達は今するべきことに目をやる。
 入って来た穴は塞がれているが、奇跡的にこの先には通路がある。
 何処に繋がっているかわからないが、ここで座り込んでいてもトンネルからは出られないので、兎にも角にも先に進むことにした。

「とりあえずここを離れましょう。メタルグラムの視線から外れたとは言っても……」

 ブルースターが先導しようとした。
 しかし塞がった穴の向こう側。メタルグラムの居る空洞の中で暴れ回る音が聞こえる。

 ドシーン! ドサッーン! ゴゴゴゴォーン!

 明らかに危険な音がしていた。
 これは速やかに離れた方が良い。ルカ達は通路の先を目指して少し距離を取った。
 けれど突然音がけたたましくなり、ピタリと止まった。
 不安な表情を浮かべるダリアに、ルカは「心配ないよ」と声を掛ける。

「多分メタルグラムが眠りについたから静かになったんだよ」
「眠りについたんですか?」
「うん。存分に暴れ回ったからね。多分、シルヴィの起こした突風で脆くなった空洞の岩肌が崩れて、そこに自分の体が激突。ボロボロと落石が起きて、そのまま埋もれてしまった。的な?」
「的なじゃないわよ!」

 シルヴィアが急に声を張り上げてルカを怒鳴る。
 ざっくりと脈絡のないオチに気に要らなかったらしい。

「埋もれるって何よ。埋もれるって」
「埋もれるは埋もれるだけど? 上から落石が続いて、メタルグラムを押し潰したってこと。わかりやすいでしょ?」
「如何してメタルグラムがそうなるのよ。それじゃあ動けなくなるでしょ?
「いや、寝起きで暴れ回っても相当魔力を溜め込んでいたらわざわざ動かなくてもいいんだよ。ほら、地面の中から急に巨大な牛頭のモンスターが飛び出すことってあるでしょ?」
「無いわよ、そんなこと」

 シルヴィアは知識不足なのか、ルカの思っていたことを口にしてくれない。
 けれどあまりメジャーではないので、知らなくても当然だ。
 だが、ブルースターが答えてくれる。

「牛鬼やベヒモスですね」
「正解。どちらも珍しいモンスターだけどね」

 特に牛鬼というモンスターはこちらではまず出会うことがない。
 類似で出すには難しかったかもと反省した。
 するとシルヴィアがもごもご口を動かしている。何か気になることでもあるのだろうか?

「ねえ、メタルグラムは如何なるの?」
「如何なるって、そこにいるけど」
「いや、そういう意味じゃなくて……埋もれているんでしょ、そのうち苦しくて出てきちゃうんじゃないの?

 シルヴィアはルカに質問した。
 するとルカは「なるほどね」と済ました表情を浮かべたまま前を向き直す。

「ちょっとルカ、なるほどねじゃないわよ。ちゃんと説明して」
「説明しなくてもわかるでしょ? 相手はドラゴンだよ。並大抵のモンスターじゃない。それが答えだね」

 ルカが言いたかったのは舐めてはいけないこと。
 今は何も考えずに、無事に生き残れたことをありがたく思うだけで良いと空気で促した。
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