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雷鳥編
258.魔術と渡り合うには
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男は目を丸くした。
ぐにゃりと猟銃の先端が折れ曲がり、二度と発砲できなくなった。
「な、何だ。猟銃の銃身が!」
「高等テクニックだよ。覚えておいてね」
ルカは嘲笑うみたいに男に言った。
何が起きたのか、密猟者もシルヴィア達でさえ分からなかった。
当然だ。ルカは《シールド》に合わせて最少の魔力を消費し、別の魔術を使った。
しかし大層なことはしていないので、ルカは魔術名を言わなかった。
無詠唱が高等テクニックなのか。
それは違う。ルカの言う高等テクニックとは、魔力だけで物体に影響を与えることと、的確に魔力を隠す技のことだった。
「みんなも頑張ってね」
「何が起きたのか分からないのに頑張れないわよ!」
シルヴィアはルカを怒鳴りつけた。
ライラックやダリアもポカンとしていたが、ブルースターだけは「なるほど」と納得していた。
流石は首席。理解力が高いとルカは心の中で拍手を送った。
「ふざけんじゃねえぞ! 邪魔するなら容赦しねえ。お前ら、全員やるぞ!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
密猟者達は武器を構えた。
猟銃を失った男は服の中から曲刀を取り出し、周りに居た男達も剣や銃を構えている。
しかし肝心なものがなかった。
「やっぱり魔術師はいないんだ。ってことは……」
ルカは奥に居る二人を見つめた。
密猟者達に混ざらないということは警戒しているのか。はたまた単に居合わせてしまっただけなのか。
どちらにせよ、手を出さないのなら構うことはない。
「みんなこっちもやるよ。速攻で倒すから」
「珍しいわね。ルカが速攻なんて!」
「まあね。でも殺しちゃダメだよ?」
ルカはライラックをチラ見した。
ルカからの視線に気が付き、軽く手を振ってみせた。
本当に分かっているのか、ルカはにわかには信じていない。
「けっ! 殺されるのはお前達の方だよ!」
「食らいやがれ!」
バキューン!
頭に帽子を被った男が引き金を引いた。
黒い鉛玉が撃ち出され、ルカのことを狙っていた。
しかし《シールド》を張る前に、鉛玉は弾かれた。
カキーン!
甲高い音が響き、威力を殺された鉛玉は雪の上にボトッ! と落ちた。
若干光の魔力が込められている。
ルカは顔を見ずに感謝した。
「ありがとブルースター」
「如何いたしまして。……遠距離は全部私が落とします。安心して戦ってくださいね」
ブルースターは《星の銃》を使い、的確に鉛玉を撃ち落としたのだ。
こんな真似ができるのは相当腕を磨いてきたからだろう。
「ブルースターには負けていられないわ。私だってやってやるんだから!」
シルヴィアも負けじと指先を銃のように構えた。
人差し指を曲刀を持った男に向けた。
頭に被った帽子の端からパンチパーマの掛かる縮れ髪が溢れていた。
「おいおいお嬢ちゃん、俺はそう簡単にはやられないぜ。さぁ、遊ぼうか」
「やらないわよ」
《エア・バレット》を撃ち込み、気絶させようとした。
しかし曲刀の刃先が空気弾であるはずの《エア・バレット》だけを的確に切ってみせた。
「嘘っ! 何で密猟者の中にこんな手誰が居るのよ!」
「俺は密猟者じゃない。用心棒だ」
「用心棒? ってことは一番強いのね」
「ふん。如何思おうが勝手だ」
シルヴィアは全く恐れていなかった。
むしろワクワクしていて、両手のひらを後ろに向けた。
「それじゃあ貴方を倒したら私も褒められるわよね。望むところじゃない。私が死なば諸ともじゃないってこと、見せてあげるわ!」
シルヴィアの手のひらから気流が出ていた。
集まった風が魔力にコントロールされ、グルグルと空気圧を生み出す。
「何をする気かは知らないが、俺には勝てないぞ」
「勝てない? 馬鹿言わないでくれる? 私は負けないの」
シルヴィアの姿が一瞬で消えた。
曲刀を持ったパンチパーマの男は目を見開き、突然消したシルヴィアを追った。
魔術が使えれば魔力を追うことができたはずだ。
けれどパンチパーマの男は魔術が使えないので、気配だけを頼りにシルヴィアのことを当てた。
「そこだな!」
「そうね。でも私は囮なのよ!」
パンチパーマの男は振り返り曲刀を叩きつけた。
リーチの差を活かしてシルヴィアを叩き切ろうとしたが、シルヴィアはそこまで読んでいた。
気流と気圧を操り、空気の膜を生み出す。
ムニュと空気の膜がクッションとなり、シルヴィアを切ろうとした曲刀の動きを完全に封じる。
「これがお嬢ちゃんの魔術か。面白い……だがそれだけだ!」
「これで私の魔術を解ったみたいに言われたくないんだけど……悪いけど、私は囮なの。だから悪いわね、私達の勝ちね」
シルヴィアはニヤッと笑った。
パンチパーマの男は首を捻ったが、その首が一瞬で後ろに引き寄せられた。
息ができなくなる。首の血管が浮き上がり、細くて丈夫な糸が巻き付いていた。
「こ、コレは……んがっ!」
「ごめんねー。やっぱり心配何だー」
ライラックは不敵な笑みを浮かべていた。
指先から出ている糸がそれを物語り、パンチパーマの意識を刈り取るのも時間の問題だった。
ぐにゃりと猟銃の先端が折れ曲がり、二度と発砲できなくなった。
「な、何だ。猟銃の銃身が!」
「高等テクニックだよ。覚えておいてね」
ルカは嘲笑うみたいに男に言った。
何が起きたのか、密猟者もシルヴィア達でさえ分からなかった。
当然だ。ルカは《シールド》に合わせて最少の魔力を消費し、別の魔術を使った。
しかし大層なことはしていないので、ルカは魔術名を言わなかった。
無詠唱が高等テクニックなのか。
それは違う。ルカの言う高等テクニックとは、魔力だけで物体に影響を与えることと、的確に魔力を隠す技のことだった。
「みんなも頑張ってね」
「何が起きたのか分からないのに頑張れないわよ!」
シルヴィアはルカを怒鳴りつけた。
ライラックやダリアもポカンとしていたが、ブルースターだけは「なるほど」と納得していた。
流石は首席。理解力が高いとルカは心の中で拍手を送った。
「ふざけんじゃねえぞ! 邪魔するなら容赦しねえ。お前ら、全員やるぞ!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
密猟者達は武器を構えた。
猟銃を失った男は服の中から曲刀を取り出し、周りに居た男達も剣や銃を構えている。
しかし肝心なものがなかった。
「やっぱり魔術師はいないんだ。ってことは……」
ルカは奥に居る二人を見つめた。
密猟者達に混ざらないということは警戒しているのか。はたまた単に居合わせてしまっただけなのか。
どちらにせよ、手を出さないのなら構うことはない。
「みんなこっちもやるよ。速攻で倒すから」
「珍しいわね。ルカが速攻なんて!」
「まあね。でも殺しちゃダメだよ?」
ルカはライラックをチラ見した。
ルカからの視線に気が付き、軽く手を振ってみせた。
本当に分かっているのか、ルカはにわかには信じていない。
「けっ! 殺されるのはお前達の方だよ!」
「食らいやがれ!」
バキューン!
頭に帽子を被った男が引き金を引いた。
黒い鉛玉が撃ち出され、ルカのことを狙っていた。
しかし《シールド》を張る前に、鉛玉は弾かれた。
カキーン!
甲高い音が響き、威力を殺された鉛玉は雪の上にボトッ! と落ちた。
若干光の魔力が込められている。
ルカは顔を見ずに感謝した。
「ありがとブルースター」
「如何いたしまして。……遠距離は全部私が落とします。安心して戦ってくださいね」
ブルースターは《星の銃》を使い、的確に鉛玉を撃ち落としたのだ。
こんな真似ができるのは相当腕を磨いてきたからだろう。
「ブルースターには負けていられないわ。私だってやってやるんだから!」
シルヴィアも負けじと指先を銃のように構えた。
人差し指を曲刀を持った男に向けた。
頭に被った帽子の端からパンチパーマの掛かる縮れ髪が溢れていた。
「おいおいお嬢ちゃん、俺はそう簡単にはやられないぜ。さぁ、遊ぼうか」
「やらないわよ」
《エア・バレット》を撃ち込み、気絶させようとした。
しかし曲刀の刃先が空気弾であるはずの《エア・バレット》だけを的確に切ってみせた。
「嘘っ! 何で密猟者の中にこんな手誰が居るのよ!」
「俺は密猟者じゃない。用心棒だ」
「用心棒? ってことは一番強いのね」
「ふん。如何思おうが勝手だ」
シルヴィアは全く恐れていなかった。
むしろワクワクしていて、両手のひらを後ろに向けた。
「それじゃあ貴方を倒したら私も褒められるわよね。望むところじゃない。私が死なば諸ともじゃないってこと、見せてあげるわ!」
シルヴィアの手のひらから気流が出ていた。
集まった風が魔力にコントロールされ、グルグルと空気圧を生み出す。
「何をする気かは知らないが、俺には勝てないぞ」
「勝てない? 馬鹿言わないでくれる? 私は負けないの」
シルヴィアの姿が一瞬で消えた。
曲刀を持ったパンチパーマの男は目を見開き、突然消したシルヴィアを追った。
魔術が使えれば魔力を追うことができたはずだ。
けれどパンチパーマの男は魔術が使えないので、気配だけを頼りにシルヴィアのことを当てた。
「そこだな!」
「そうね。でも私は囮なのよ!」
パンチパーマの男は振り返り曲刀を叩きつけた。
リーチの差を活かしてシルヴィアを叩き切ろうとしたが、シルヴィアはそこまで読んでいた。
気流と気圧を操り、空気の膜を生み出す。
ムニュと空気の膜がクッションとなり、シルヴィアを切ろうとした曲刀の動きを完全に封じる。
「これがお嬢ちゃんの魔術か。面白い……だがそれだけだ!」
「これで私の魔術を解ったみたいに言われたくないんだけど……悪いけど、私は囮なの。だから悪いわね、私達の勝ちね」
シルヴィアはニヤッと笑った。
パンチパーマの男は首を捻ったが、その首が一瞬で後ろに引き寄せられた。
息ができなくなる。首の血管が浮き上がり、細くて丈夫な糸が巻き付いていた。
「こ、コレは……んがっ!」
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ライラックは不敵な笑みを浮かべていた。
指先から出ている糸がそれを物語り、パンチパーマの意識を刈り取るのも時間の問題だった。
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