278 / 733
雷鳥編
276.下山だけでも一苦労
しおりを挟む
ルカ達は下山していた。
ゆっくり雪の絨毯の上を歩きながらだったが、確実に村が見えてきた。
「おっ!? よ、ようやくね」
「あははー。やっとだねー」
ここまで大体三時間ほど掛かった。
登る時より楽ではあったが、それは崖登りが無かったからだ。
普通に考えれば下山の方が苦労した。
少しでも足下を疎かにするとすってんころりんで、たちまち死へと直行する羽目になった。
それを考えればルカ達はかなり運が良かった。
変なモンスターの襲われただけで、こっちにはライラックが居たのだ。
おまけにミヨンも無理しない程度に頑張ってくれた。
「皆さん、無事に下山できましたね!」
ダリアがそんなことを口にした。
まだ完全に降りてはいないので油断はできないが、とりあえずここまでは順調だった。
「ライとミヨンのおかげだよ。ありがとう」
「あはは、ちょっと照れるなー」
「特に何もしていない」
ライラックは調子に乗った。
しかしミヨンは謙虚な対応だった。
ライラックは常に命綱用の糸を巻き付けてくれていた。
そのおかげで全員が雪の上から落ちなくて済んだのだ。
もしもこれが無ければ最悪転落していた。
そうなれば当たり所が悪ければ、死んでいたかもしれなかった。
ミヨンがやってくれていたことは地味だけど重要なことだった。
足元の雪を下から支えてくれていたのだ。
ミヨンの魔術は【氷結】と言う属性で言えば氷系の魔術だ。
水糸の魔術の派生形であり、非常に強い結び付きがあった。
雪の真下の地面を固めてくれていた。
そのおかげでどれだけ足を踏み込んでも決して崩れることも滑ることもない地盤が完成していた。
一体どれだけの魔術師が気付けるだろうか?
ルカやエシュナは気が付いていたが、《オーロラウィング》を使っていないブルースターや魔眼を発揮していないダリアでも気が付けなかったはずだ。
あまりに地味過ぎる活躍ではあった。
けれどそれがミヨンを土台から支えてくれる根幹にあるとルカは睨んでいた。
「とりあえず麓の村に下りたらブルズさんに報告しに行こうか」
「そうね。とりあえず密猟者は居たものね」
シルヴィアが間髪入れずに返してくれた。
とりあえず密猟者を倒したことを報告するまでは呑気に観光もできなかった。
「ルカ達も村長に?」
「はい。もしかしてエシュナさん達もですか?」
「私達は情報を集めるために来た」
如何やらエシュナ達が密猟者を追っていたのは今更だが意味があった。
ブルズに話を伺った後、エシュナとミヨンも魔術省の名の下で情報を集めていたそうだ。
「だがこんな学生にまで頼み込む始末とは」
「世も末」
エシュナとミヨンがそう答えた。
ダリアはその度に「うっ」となっていたが、気負いしても仕方なかった。
「ダリアが気に留めることじゃないよ。それよりエシュナさん達も報告しに行きますよね?」
「もちろんだ。情報の提供と結果の報告は重要だからな」
エシュナはしっかりしていた。
しかしミヨンは怠そうだが、それでも真面目だった。
「一応は」
「ミヨン、少しは覇気を出せ」
「無理。疲れるから」
「その点はドライだな。まあいい」
エシュナとミヨンは絶妙な言葉の間合いで会話していた。
そうこうしていると、麓の村に辿り着いた。
急激に気温が変化して、一瞬だけブルースターは頭を押さえた。
「大丈夫ブルースター?」
「はい。少し休めば……」
「寒暖差は標高の変化によっても生じるからね。気を付けてよ。高山病は命を蝕むからね」
「そうですね。肝に銘じておきます」
ブルースターは少し休む必要がありそうだった。
そこでシルヴィアとダリアには傍について貰うことにした。
それにしても珍しいとも思った。
弱点が全く無さそうだったブルースターたが、《オーロラウィング》で空を飛ぶことはあっても高さの概念に限りがあった。
(雷鳥の背に乗ったことが効いているのかな? 悪いことしたね)
ルカはそう思い、亜空間の中から薬を取り出した。
もちろん自然由来のもので、健康に害はないものをルカが選りすぐり、魔法で調整したものだった。
「ブルースター、本当に辛かったらコレを飲んで」
ルカが手渡した瓶の中には緑色の如何にも健康そうな液体が入っていた。
青汁のようだが、タプンタプンでシルヴィアが怪訝な表情を浮かべた。
「うわぁ、それってかなり濃い青汁よね?」
「そうだね。でも薬だよ?」
「薬!? ってことはかなり煮詰めたポーションってこと? かなり効きそうだけど、飲むの大変よね」
シルヴィアはこの手の薬を知っていた。
しかしあまり美味しくない上に吐き出しそうになることもあった。
嫌な顔をしてしまったが、ルカはさらに別の容器を用意した。
乳牛の絵が描いてあった。
「大丈夫。この薬は牛乳を混ぜるから」
「「「牛乳!?」」」
シルヴィアだけではなく、エシュナ達も驚いていた。
如何やら初耳だったらしいが、別にそのままで飲む必要は一ミリもなかった。
何故なら食べ合わせが悪くなければ基本的に水でもお茶でもアジト効果は変わらないのだが、如何やら知らなかったみたいでルカは意外に思った。
ゆっくり雪の絨毯の上を歩きながらだったが、確実に村が見えてきた。
「おっ!? よ、ようやくね」
「あははー。やっとだねー」
ここまで大体三時間ほど掛かった。
登る時より楽ではあったが、それは崖登りが無かったからだ。
普通に考えれば下山の方が苦労した。
少しでも足下を疎かにするとすってんころりんで、たちまち死へと直行する羽目になった。
それを考えればルカ達はかなり運が良かった。
変なモンスターの襲われただけで、こっちにはライラックが居たのだ。
おまけにミヨンも無理しない程度に頑張ってくれた。
「皆さん、無事に下山できましたね!」
ダリアがそんなことを口にした。
まだ完全に降りてはいないので油断はできないが、とりあえずここまでは順調だった。
「ライとミヨンのおかげだよ。ありがとう」
「あはは、ちょっと照れるなー」
「特に何もしていない」
ライラックは調子に乗った。
しかしミヨンは謙虚な対応だった。
ライラックは常に命綱用の糸を巻き付けてくれていた。
そのおかげで全員が雪の上から落ちなくて済んだのだ。
もしもこれが無ければ最悪転落していた。
そうなれば当たり所が悪ければ、死んでいたかもしれなかった。
ミヨンがやってくれていたことは地味だけど重要なことだった。
足元の雪を下から支えてくれていたのだ。
ミヨンの魔術は【氷結】と言う属性で言えば氷系の魔術だ。
水糸の魔術の派生形であり、非常に強い結び付きがあった。
雪の真下の地面を固めてくれていた。
そのおかげでどれだけ足を踏み込んでも決して崩れることも滑ることもない地盤が完成していた。
一体どれだけの魔術師が気付けるだろうか?
ルカやエシュナは気が付いていたが、《オーロラウィング》を使っていないブルースターや魔眼を発揮していないダリアでも気が付けなかったはずだ。
あまりに地味過ぎる活躍ではあった。
けれどそれがミヨンを土台から支えてくれる根幹にあるとルカは睨んでいた。
「とりあえず麓の村に下りたらブルズさんに報告しに行こうか」
「そうね。とりあえず密猟者は居たものね」
シルヴィアが間髪入れずに返してくれた。
とりあえず密猟者を倒したことを報告するまでは呑気に観光もできなかった。
「ルカ達も村長に?」
「はい。もしかしてエシュナさん達もですか?」
「私達は情報を集めるために来た」
如何やらエシュナ達が密猟者を追っていたのは今更だが意味があった。
ブルズに話を伺った後、エシュナとミヨンも魔術省の名の下で情報を集めていたそうだ。
「だがこんな学生にまで頼み込む始末とは」
「世も末」
エシュナとミヨンがそう答えた。
ダリアはその度に「うっ」となっていたが、気負いしても仕方なかった。
「ダリアが気に留めることじゃないよ。それよりエシュナさん達も報告しに行きますよね?」
「もちろんだ。情報の提供と結果の報告は重要だからな」
エシュナはしっかりしていた。
しかしミヨンは怠そうだが、それでも真面目だった。
「一応は」
「ミヨン、少しは覇気を出せ」
「無理。疲れるから」
「その点はドライだな。まあいい」
エシュナとミヨンは絶妙な言葉の間合いで会話していた。
そうこうしていると、麓の村に辿り着いた。
急激に気温が変化して、一瞬だけブルースターは頭を押さえた。
「大丈夫ブルースター?」
「はい。少し休めば……」
「寒暖差は標高の変化によっても生じるからね。気を付けてよ。高山病は命を蝕むからね」
「そうですね。肝に銘じておきます」
ブルースターは少し休む必要がありそうだった。
そこでシルヴィアとダリアには傍について貰うことにした。
それにしても珍しいとも思った。
弱点が全く無さそうだったブルースターたが、《オーロラウィング》で空を飛ぶことはあっても高さの概念に限りがあった。
(雷鳥の背に乗ったことが効いているのかな? 悪いことしたね)
ルカはそう思い、亜空間の中から薬を取り出した。
もちろん自然由来のもので、健康に害はないものをルカが選りすぐり、魔法で調整したものだった。
「ブルースター、本当に辛かったらコレを飲んで」
ルカが手渡した瓶の中には緑色の如何にも健康そうな液体が入っていた。
青汁のようだが、タプンタプンでシルヴィアが怪訝な表情を浮かべた。
「うわぁ、それってかなり濃い青汁よね?」
「そうだね。でも薬だよ?」
「薬!? ってことはかなり煮詰めたポーションってこと? かなり効きそうだけど、飲むの大変よね」
シルヴィアはこの手の薬を知っていた。
しかしあまり美味しくない上に吐き出しそうになることもあった。
嫌な顔をしてしまったが、ルカはさらに別の容器を用意した。
乳牛の絵が描いてあった。
「大丈夫。この薬は牛乳を混ぜるから」
「「「牛乳!?」」」
シルヴィアだけではなく、エシュナ達も驚いていた。
如何やら初耳だったらしいが、別にそのままで飲む必要は一ミリもなかった。
何故なら食べ合わせが悪くなければ基本的に水でもお茶でもアジト効果は変わらないのだが、如何やら知らなかったみたいでルカは意外に思った。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる