1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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聖夜編

303.子供とぶつかってしまった

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 中央の広場にはたくさんの人が居た。
 お目当ては目の前の巨大なツリー、センチュリーもみの木のクリスマスツリーだった。

 その大きさは圧倒的で、建物の大きさが他の街に比べて小さいこともあってか、かなり大きく見えた。
 もちろん実際かなり巨大なサイズ感で、たくさんの装飾が施されていた。
 とは言え点灯していないのでただ大きな木にガラクタをくくり付けたようにしか今のところは見えなかった。

「みんなコレを見るためにわざわざ……凄いね。もの好きの集まりだよ」
「そうかもねー。でもさ、お祭りってそう言うもんじゃない?」

 ライラックが頭の上で腕を組みながらそう言った。
 確かにお祭りごと、イベントに関して言えば、何か珍しく代表的なものが不可欠だった。
 ルカも納得して、「なるほど」と口走っていた。とはいえ……。

「まあ、それ以上でもそれ以下でもないかな。今の時間帯じゃ」

 このクリスマスツリーが輝くのは夜だ。
 今は昼間なのでその真価を発揮できていないでいた。
 だからルカはすぐさま目的を思い出し切り換えた。

「それじゃあナタリー校長の頼みを先に果たしに行こうか」

 するとみんなポカンとしていた。
 もしかして本来の目的を忘れているのではないかと、ルカは心配になった。だけど案の定の様子だ。

「えっ、校長先生のお願い事?」
「そうだよ。薬を届けないと」
「薬?」
「私が預かったやつがあったでしょ? それに手伝って欲しいことがあるって。バイトを押し付けられたじゃないか」

 シルヴィアはしばし考えた。考えた結果、「あっ!」と声を上げた。
 如何やら本当に忘れていた様子で、ルカは若干呆れてしまった。

「そ、そう言えばそんなこともあったわね」
「フリーズドロップの影響で記憶障害でも出てるのかな?」
「ちょっと。人を記憶喪失みたいに言わないで。ただ少し頭がボーッとしただけよ」
「ボーッとね。完全に麻痺してる」

 フリーズドロップは細胞すらも凍結させてしまう。
 つまり脳細胞が凍結してしまい、著しく記憶に影響が出ている。
 親和性が高いとこういうこともあるので、本当に取扱注意だと思った。

(うーん。でも脳細胞にまで影響する何て、千年前には無かったのに。何でだろ?)

 ルカは腕を組んで考えてしまった。
 だけど考える時間や余裕は幾らでもあったので、そのまま踵を返して広場を離れようとした。すると突然小さい影がルカにぶつかった。

 ドン!

 ルカは素早く後ろに下がった。
 だからぶつかったとは言っても掠った程度で、相手に怪我はさせなかった。

「うわぁ!」
「大丈夫?」

 そこに居たのは子供だった。
 尻餅を付いてしまっていたが、見たところ怪我はしていなかった。

 サバサバと乱れた髪をしていた。
 頬には少し傷もあって、綿を押し当てていた。

「痛てててて。何だよ、急にぶつかって来るなよ!」
「ぶつかった覚えはないけど?」
「はぁ!? 何だよ、大人はそうやって自分は悪くないみたいなこと言って」
「偏見だよ。とは言え間違ってもいない。人間はズルい生物だからね。それに怪我はしていないはずだよ」

 だってルカは素早く下がったからぶつかっていなかった。
 多分脳がぶつかったと勘違いしているだけだった。

「うるさい! ああ、糞っ!」
「ごめんね。でも次からは気を付けるんだよ」
「だから何で俺がぶつかったみたいになってんだよ。……ってこんな時間だ。そろそろ戻らねえと……」

 子供はそのまま駆けて行った。
 ルカは一応謝ったので悪くはないのだが、何やら野暮用があるのか、子供はルカに謝りもしなかった。

「全く最低ね。自分からぶつかっておいて」
「そうだよねー。ルカは避けたからぶつかってないのにねー」
「全くです。これは……」
「ダリアさん、職権乱用ですよ。おまけに子供相手にやり過ぎは禁物です」

 みんな複雑な心境を抱いていた。
 とは言え当の本人のルカはそんなこと一切気にしていなかった。むしろ考えていたのは、町にはいる時に見た少年のことだ。

(多分あの子だよね。でも……)

 ルカは違和感を感じていた。
 だけど今更答えを知る術はないので頭の片隅に置きっぱなしにした。
 そんなことよりも早めに問題は解決したかったからだ。

「あれ?」

 ルカはふと足を止めた。
 視線の先には少し錆びたメダルが落ちていた。

「如何したんですか、ルカさん?」
「ダリア。足下を見て」
「あれ? さっきまでこんなもの落ちていましたか? 誰かの落としものでしょうか?」

 いいや先程までは無かったはずだ。
 つまり誰かが落とした。しかしこの場所にはさっきの子供がいたはずだ。
 つまりあの子供が落としたことになるのだが……。

「しばらく戻ってこないよね。如何しよう」
「預かって置いたら? 後で守衛にでも届ければいいでしょ?」

 ルカもシルヴィアの案に賛成だった。
 一旦ルカは亜空間の中に落ちていたメダルを拾い上げて収納すると、早速目的地へと向かうのだった。
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