1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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聖夜編

308.不思議な光

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 ルカは如何やって本気を隠しながら戦えるか模索していた。
 しかしヘルボロスの薬指はそんな悠長に時間をくれたりしなかった。

 ドーン!

「また来た」

 発達した長い首を武器に、振り子の要領で次々にネッキングを繰り返した。
 一発ごとに間があるとはいえ、もの凄く厄介なのはその破壊力だった。

「如何するのよルカ。近づけないけど?」
「そうだよね。ちょっと面倒だよ」

 ヘルボロスの体は遠距離攻撃を吸収してしまう構造になっていた。
 それが邪魔をしてブルースターの援護も全く効かなかった。

「シルヴィ、風でどれだけ戦える?」
「ちょっと、風も《星の銃》と同じで遠距離攻撃なのよ?」
「それは知っている。だから風圧でどれだけ浮かせられるか聞いてるんだよ」

 ルカの中ではシルヴィアとライラックがヘルボロスの薬指を浮かせた後、ダリアと一緒に近接戦で倒す算段だった。
 けれどシルヴィアは苦い表情を浮かべた。

「それはちょっと無理ね。流石に重いわ」

 ヘルボロスの薬指はそれなりに重量感があった。
 しかも森の中だと満足に風を起こせなかった。
 色んな事が噛み合わなくて、シルヴィアの武器も大半が潰されていた。

「せめてもう少し高度があればね……」

 昨日みたいにルカが蹴り飛ばされれば楽だった。
 けれどそうするにしてもこの森の地形や掛けられている力が影響して上手くできなかった。

(多分帰って来ちゃうよね)

 この森の現状的にその可能性が極めて高いと踏んだ。
 ルカも考えを巡らせる中、ヘルボロスの薬指は更に攻撃に苛烈さを加えた。

 ドーン! ドーン! ペッ!

 首を何度も地面に叩きつけては粉々にした石の欠片を飛ばしてきた。
 更には何でも溶かしてしまう唾を吐きかけて近づけないように地面をドロドロにしていた。

「ああっ! これじゃあ近づけないじゃない」
「困ったなー。糸も溶かされちゃったよ」

 ライラックが足に纏わせていた糸が溶かされてしまった。
 流石は悪魔と言うべきか、ルカは感心する一方でマズいと感じていた。

「何か策を練って……うーん、近づけないから向こうから攻撃して来ることはないだろうけど……」

 逆に言えばこっちから攻撃ない分、向こうも攻撃できなかった。
 とは言え放置はしておけないのは相変わらずで、ヘルボロスの薬指の様子を窺いながらだった。
 すると膠着状態を打ち破ったのはブルースターの一言だった。

「ルカさん、私に強化系の魔術を掛けてはいただけませんか?」
「ブルースターに? 何をするって……もしかして?」
「はい、《星の銃》を最大火力で放ちます」

 一辺倒なやり方だった。だけどブルースターの目は本気も本気で、一切曲げる気はないようだ。
 その根拠を聞くのがいつものルカだった。
 だけど今日のところはそんなことをしなくてもいいくらい、ブルースターの目に真意を感じた。

「倒せる? 再生までの時間を考慮しても一発だよ?」
「お任せください。私は絶対に外しませんから」

 ブルースターの目はキラキラしていた。
 生気の迸りを感じ、ルカは強化魔術を掛けた。

「《ブースト》」

 ルカはブルースターの体を心配して、無理をしない範疇で魔術を掛けた。
 すると優しい光がブルースターの体を包み込んだ。
 全身から力がみなぎり、ブルースターは指先を銃口に見立てて得意の魔術を放った。

「行きます、この一発に全てを乗せます——《星の銃》フルバースト」

 バーン!

 ブルースターの指先から光の弾丸が発射された。
 ヘルボロスの薬指は異変を感じて光の弾丸へと首を傾けた。けれどもう時すでに遅かった。

ドーン! キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

 放たれた光の弾丸は突然ブルースターが発射した以上に光輝いた。
 圧倒的な閃光が夜空を駆ける流れ星を彷彿とさせ、気が付けば視界から消えていた。
 そして次にその姿を現した時には、ヘルボロスの薬指の体が音の集約と共にボロボロと崩れて消滅し、残された弾丸だけが空っぽになった光と一緒に木の幹に突き刺さっていた。

「た、倒せたのでしょうか?」
「倒したに決まっているでしょ!」

 ブルースターには実感が無かった。
 けれどシルヴィアが無事にヘルボロスの薬指を倒したことを伝えた。

「倒せた……私の力で?」

 ブルースターは自分の手のひらを握ったり閉じたりして見た。
 まさか一発で倒せるとは思っていなかったらしく、ブルースターにはいまいちピンと来ていなかった。

「ブルースター、もっと喜びなさいよ」
「そうですよ。ブルースターさんが倒したんです。カッコよかったです!」
「やるねー。にしてもさっきの《星の銃》はいつもよりもパワーあったね。破壊力が段違いだったよー」

 ブルースターはシルヴィア達から褒められた。
 だけど納得はできないでいたが、ルカが声を掛けた。

「やったねブルースター」
「ルカさん……はい!」

 ルカはブルースターとハイタッチをした。
 軽快なパン! と言う音が耳に心地よく、一同が勝利の余韻に浸っていた。
 けれどルカだけは余韻に浸る前に考えることができた。

(とは言えあの光は……まさかね)

 だけどルカだけは違う視点を考えていた。
 あの一瞬、急激に光が増した。
 ルカの魔術ではなく、別の所から光を増幅させられたように感じていた。
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