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聖夜編
321.一撃で倒しても良いよね?
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ルカは小屋を出た。
森の中には不穏な魔力が立ち込めていて気分が悪い。
しかしルカは「はっ」と一息吐くだけで、不穏な魔力を押し殺してしまった。
「さてと。流石に三匹目は面白くないな」
ルカは全然楽しそうじゃない。むしろげんなりした様子で、味のないガムを噛んでいるようなものだ。
それぐらいお腹いっぱいでつまらない。けれどヘルボロスに言っても仕方ないので、とっとと帰って貰うことにした。
「デルカ?」
「必要無いよ。一瞬で蹴りを付けるから」
バルトラがようやくの出番だと思い、亜空間の中から語り掛ける。
しかしルカは一蹴してしまい、一撃で仕留めることを宣言した。
「イチハワカルノカ?」
「もちろん。森の中に入った段階で、ある程度目途は付けているから」
ルカは優れた魔法使いなので、例え悪魔であろうと瞬時に見つけてしまう。
ここから北に少し行けば居るはずなのだが、ここから遠距離で攻撃すると森自体が飛散目にあるだろう。そう思ったルカは仕方なく空へと舞い上がると、ヘルボロスの中指を捜した。
「えーっと、この辺に居るはずで……はい、見つけた」
空へと舞い上がったルカは俯瞰的に森を見回した。
するとヘルボロスの中指が呑気に歩いていて、何が気に食わないのか、首をブンブン振り回している姿がある。ルカは一瞬のうちに距離を詰めると、早速有言実行だ。
「《ブレイジング・レグブレード》」
ルカは覇気が全く無く、淡々としていた。
しかし使う魔法はかなり派手で、右足に魔力が集中すると、一気に燃え上がる。
一太刀の巨大な刃になると、ヘルボロスの中指が気が付く前にその足を叩きつけた。
「消えろ」
ズシャァァァァァァァァァァァァァァァ!
炎を纏った刃がヘルボロスの中指を容赦なく切り付ける。
ジュウジュウと燃える音が聞こえるわけでも、パチパチと軽やかで可愛い音がするでもない。高温で熱せられた刃が、まるで柔らかい肉をナイフで切るみたいに、簡単に溶かしてしまった。超振動刃を高温で熱したため、例えヘルボロスの中指であろうが関係ない。
「はい、お終い」
ルカは魔法を解いた。無駄な魔力の消費を抑えると、去り際に言葉を贈った。
多分聞こえてないけれど、一応言いたい気分だから言ってみる。
「もしも私が寛容だったらもう少しまともに相手をしてあげたよ。でもね、流石に三匹は無いよ」
ルカが去り際に言ったのは完全に皮肉だった。
だけどヘルボロスの中指がその言葉を最後まで聞くことはなく、気が付けば粒子になって地獄へ帰ってしまった。
ルカが居なくなった小屋の中では不安が広がっていた。
突然魔力が消え、もしかして負けちゃったのかと嫌な想像が巡る。
「も、もしかしてルカが……」
「それはないでしょー」
「そ、そうですよ! ルカさんに限って、そんな……」
だけど魔力が消えたのは事実。それが深く突き刺さる。
どんよりとした気分がリビングの中を覆いこむも、サンタ・ク・ロースは「ふぉっふぉっふぉっ」と笑い声をあげた。
「あの主に限ってそれはないじゃろ」
「そ、そんな分からないじゃない。ルカだって……流石にヘルボロスの中指なんて」
ヘルボロスの薬指でもあんなに強かった。
ヘルボロスは経験値を共有できるから、薬指よりも残った中指の方が断然強い。
その事実は明白で、ルカの強さを知っていても心配になるしかない程だ。
「あの主はお主らが思う以上に場数を踏んでおる。この程度のことで屈するはずがなかろう」
しかしサンタ・ク・ロースは一蹴してしまう。
シルヴィア達の心配など、サラサラ意味が無いみたいだ。
「如何してそこまで分かるんですか?」
「儂も魔法使いじゃぞ? あの主が全盛期の儂以上に強いことぐらいすぐに知れて当然じゃ。こう見えて若い頃に踏んできた場数は伊達ではないからの」
サンタ・ク・ロースは自分のことを卑下している。
しかしドリアードが中身なので、そう思っても仕方ないのだ。
「本当に無事なら良いけど……」
シルヴィアが感情を吐露した。
すると急に小屋の扉がギィィと音を立てて開いた。
「ただいま」
「「「ルカ!?」」」
平然とした顔で入って来たのは戻ってきたルカだった。
意外や意外、全く疲れた様子も苦戦してボロボロになってもいなかった。
シルヴィア達は困惑するが、声を無理矢理絞り出す。
「だ、大丈夫だったの? 相手はヘルボロスなのよ!」
「もちろん大丈夫だよ。無事に倒せたし、これで一安心だよ」
ルカの飄々とした態度にシルヴィア達は言葉を失った。
けれど一人だけ分かっていた人もいる、サンタ・ク・ロースだ。
高笑いを上げながら、「やはりのー」と不安を全く物ともしていない理由を感じる。
「倒しましたよ。これで大丈夫ですね」
「うむ。やはりナタリーの見込んだ魔術師じゃわい」
サンタ・ク・ロースは褒めちぎる。
だけどシルヴィア達は「いや、無理無理」と否定的な意見を心の中だけで共有していた。
ルカが異常だと改めて認識し、乾いた笑いを浮かべるのが精一杯になる。
森の中には不穏な魔力が立ち込めていて気分が悪い。
しかしルカは「はっ」と一息吐くだけで、不穏な魔力を押し殺してしまった。
「さてと。流石に三匹目は面白くないな」
ルカは全然楽しそうじゃない。むしろげんなりした様子で、味のないガムを噛んでいるようなものだ。
それぐらいお腹いっぱいでつまらない。けれどヘルボロスに言っても仕方ないので、とっとと帰って貰うことにした。
「デルカ?」
「必要無いよ。一瞬で蹴りを付けるから」
バルトラがようやくの出番だと思い、亜空間の中から語り掛ける。
しかしルカは一蹴してしまい、一撃で仕留めることを宣言した。
「イチハワカルノカ?」
「もちろん。森の中に入った段階で、ある程度目途は付けているから」
ルカは優れた魔法使いなので、例え悪魔であろうと瞬時に見つけてしまう。
ここから北に少し行けば居るはずなのだが、ここから遠距離で攻撃すると森自体が飛散目にあるだろう。そう思ったルカは仕方なく空へと舞い上がると、ヘルボロスの中指を捜した。
「えーっと、この辺に居るはずで……はい、見つけた」
空へと舞い上がったルカは俯瞰的に森を見回した。
するとヘルボロスの中指が呑気に歩いていて、何が気に食わないのか、首をブンブン振り回している姿がある。ルカは一瞬のうちに距離を詰めると、早速有言実行だ。
「《ブレイジング・レグブレード》」
ルカは覇気が全く無く、淡々としていた。
しかし使う魔法はかなり派手で、右足に魔力が集中すると、一気に燃え上がる。
一太刀の巨大な刃になると、ヘルボロスの中指が気が付く前にその足を叩きつけた。
「消えろ」
ズシャァァァァァァァァァァァァァァァ!
炎を纏った刃がヘルボロスの中指を容赦なく切り付ける。
ジュウジュウと燃える音が聞こえるわけでも、パチパチと軽やかで可愛い音がするでもない。高温で熱せられた刃が、まるで柔らかい肉をナイフで切るみたいに、簡単に溶かしてしまった。超振動刃を高温で熱したため、例えヘルボロスの中指であろうが関係ない。
「はい、お終い」
ルカは魔法を解いた。無駄な魔力の消費を抑えると、去り際に言葉を贈った。
多分聞こえてないけれど、一応言いたい気分だから言ってみる。
「もしも私が寛容だったらもう少しまともに相手をしてあげたよ。でもね、流石に三匹は無いよ」
ルカが去り際に言ったのは完全に皮肉だった。
だけどヘルボロスの中指がその言葉を最後まで聞くことはなく、気が付けば粒子になって地獄へ帰ってしまった。
ルカが居なくなった小屋の中では不安が広がっていた。
突然魔力が消え、もしかして負けちゃったのかと嫌な想像が巡る。
「も、もしかしてルカが……」
「それはないでしょー」
「そ、そうですよ! ルカさんに限って、そんな……」
だけど魔力が消えたのは事実。それが深く突き刺さる。
どんよりとした気分がリビングの中を覆いこむも、サンタ・ク・ロースは「ふぉっふぉっふぉっ」と笑い声をあげた。
「あの主に限ってそれはないじゃろ」
「そ、そんな分からないじゃない。ルカだって……流石にヘルボロスの中指なんて」
ヘルボロスの薬指でもあんなに強かった。
ヘルボロスは経験値を共有できるから、薬指よりも残った中指の方が断然強い。
その事実は明白で、ルカの強さを知っていても心配になるしかない程だ。
「あの主はお主らが思う以上に場数を踏んでおる。この程度のことで屈するはずがなかろう」
しかしサンタ・ク・ロースは一蹴してしまう。
シルヴィア達の心配など、サラサラ意味が無いみたいだ。
「如何してそこまで分かるんですか?」
「儂も魔法使いじゃぞ? あの主が全盛期の儂以上に強いことぐらいすぐに知れて当然じゃ。こう見えて若い頃に踏んできた場数は伊達ではないからの」
サンタ・ク・ロースは自分のことを卑下している。
しかしドリアードが中身なので、そう思っても仕方ないのだ。
「本当に無事なら良いけど……」
シルヴィアが感情を吐露した。
すると急に小屋の扉がギィィと音を立てて開いた。
「ただいま」
「「「ルカ!?」」」
平然とした顔で入って来たのは戻ってきたルカだった。
意外や意外、全く疲れた様子も苦戦してボロボロになってもいなかった。
シルヴィア達は困惑するが、声を無理矢理絞り出す。
「だ、大丈夫だったの? 相手はヘルボロスなのよ!」
「もちろん大丈夫だよ。無事に倒せたし、これで一安心だよ」
ルカの飄々とした態度にシルヴィア達は言葉を失った。
けれど一人だけ分かっていた人もいる、サンタ・ク・ロースだ。
高笑いを上げながら、「やはりのー」と不安を全く物ともしていない理由を感じる。
「倒しましたよ。これで大丈夫ですね」
「うむ。やはりナタリーの見込んだ魔術師じゃわい」
サンタ・ク・ロースは褒めちぎる。
だけどシルヴィア達は「いや、無理無理」と否定的な意見を心の中だけで共有していた。
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