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聖夜編
333.子供の面倒を見るのは大変
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「ガォー! ウォーン! みんな逃げろ逃げろぉ! 早くしないと食べちゃうよぞぉー!」
「「「うわぁーん!」」」
子供達を追いかけるダリアは本格的な演技を混ぜる。
何処でその技術を覚えたのかは分からないけれど、とにかくリアルな森の動物の鳴き真似をしていた。ルカはその姿を遠めに確認しつつ、「やってるなー」とダリアを褒めた。
「凄いわよねダリア。子供達の無限の体力に翻弄されずにさっきからずっと全力」
「ダリアは鍛えているからできるんじゃない?」
「確かにそうよね。それを言ったらルカやライだって……」
「私は体力はあっても子供を相手にするのは難しいよ。だからこうして隅っこに座っているんだよ?」
ルカは説得力があることを言った。
だけどシルヴィア達からしてみれば悲しい以外の何物でもない。
「ルカ、ちょっと悲しいわよ」
「悲しい?」
ルカは首を捻る。シルヴィアの言っていることが言葉としては理解しているつもりなのに、全く心に響かない。
悲しいという感情が欠落しているせいでルカにシルヴィアの言葉が中途半端に伝わった。
「悲しい……悲しい……だけど子供を相手にするのって難しくない? 大変だって聞くよ?」
「それはそうだけど……可愛いでしょ?」
「可愛い? うーん、まあ確かに?」
「本当ルカは喜怒哀楽がちょっと欠けているわね」
普通に批判されてしまった。
ルカは自分でもよく分かっているので蟀谷をポリポリ掻きながら、「あはは」とうすら笑いを浮かべるのが精々だった。
「あの話は終わりましたか?」
頃合いを見てブルースターが声を掛けた。
膝を折ってシルヴィアの隣に座ると、「こほん」と咳払いを一つした。
「ルカさん一つお尋ねしてもよろしいですか?」
「なに?」
「先程ルカさんが使用した魔術……アレは一体?」
ブルースターは後学のためにも知りたがっている。
とは言えルカが説明してもどうせブルースターには使えない。
それを見越した上で聞いて来ているので、詳しくは説明せず簡単に答えることにした。
「ああ、アレ? 時を止めたんだよ」
「「はい?」」
「だから時を止めたんだよ。時空系魔術の初歩を追及して極めたら、少しくらいは時が止められるでしょ?」
「「知らないです」」
「あれ? 時空系魔術は有名だけど、何をできるかとかは知らないんだ。ちょっと意外だね」
だけど考えてみれば当然だ。生きている限り、時空系魔術を筆頭に扱う魔術師何てどんな天文学的な確率で対峙することになるのか。
ルカもちょっと考えて見れば判ることに納得し、シルヴィア達の質問攻めに遭う。
「ルカさんは如何やって時を止められるようになったんですか?」
「私の固有魔術だよ」
「固有魔術?」
「うん。私の固有魔術は時空系魔術に適しているからね。だからこそずっとこの魔術を使い続けて、いわゆる極めた? って言うのかな。並大抵の魔術師以上には扱えるようにしたよ」
「それで空を飛んだり、空間を捻じ曲げたりしているのね。恐ろしいわ」
シルヴィアに引かれてしまった。
けれどブルースターは対照的に興味を示す。
「ルカさんの魔術は凄いですね。本当に魔法みたいです」
「ブルースターの《オーロラウィング》だって魔法でしょ?」
「正直に申せば、私には魔術も魔法も何が違うのか分かりません」
「何が違うって、概念的かつ直感的な力が魔法で、計算と言霊を頼りに練習次第で無限の可能性を引き出すのが魔術。一点物の金庫かたくさん引き出しのある棚みたいな違いだよ」
「何で、金融的な例えを出してくるのよ」
シルヴィアが渋い表情を浮かべた。
そこで少しだけ捻って分かりやすく例える。
「模造品の剣と神様が産み出した本物の剣の違いかな?」
「うわぁ、今度は壮大な例えね!」
シルヴィアにはなかなか伝わらなかった。
しかしこれ以上面白い例えも無いので、ルカはそのままスルーする。
「はぁー。何だかルカとの実力差がまた開いた気がしたわ」
「張り合ってたの?」
「そうじゃなくて、何でこのメンバーなのかなって」
「そんなの友達だからに決まってるでしょ? それにナタリーに目を付けられた憐れな魔術師達ってことでもう納得……いいや諦めるしかないよ」
「諦める……確かにそうね。ってことはこの平穏も校長先生の思し召しってことかしら? はぁ、それならちゃんとやらないと後で怒られちゃうわね」
シルヴィアは立ち上がった。お尻に付いていた芝を払うと、ライラック達に混ざる。
子供の相手をするメンバーが増え、子供達も楽しそうにする。
その様子を浸るように見つめるルカは「やっぱり適材適所って言葉があるよね。私には難しいよ」とブルースターに問いかけた。
「そうですか?」
「そうだよ。これが才能の差ってやつなのかな?」
あまり使いたくない言葉だった。
ルカは自分の口から発した言葉に唇を閉じ、ブルースターもクスッと笑い顔を浮かべるのだった。
「「「うわぁーん!」」」
子供達を追いかけるダリアは本格的な演技を混ぜる。
何処でその技術を覚えたのかは分からないけれど、とにかくリアルな森の動物の鳴き真似をしていた。ルカはその姿を遠めに確認しつつ、「やってるなー」とダリアを褒めた。
「凄いわよねダリア。子供達の無限の体力に翻弄されずにさっきからずっと全力」
「ダリアは鍛えているからできるんじゃない?」
「確かにそうよね。それを言ったらルカやライだって……」
「私は体力はあっても子供を相手にするのは難しいよ。だからこうして隅っこに座っているんだよ?」
ルカは説得力があることを言った。
だけどシルヴィア達からしてみれば悲しい以外の何物でもない。
「ルカ、ちょっと悲しいわよ」
「悲しい?」
ルカは首を捻る。シルヴィアの言っていることが言葉としては理解しているつもりなのに、全く心に響かない。
悲しいという感情が欠落しているせいでルカにシルヴィアの言葉が中途半端に伝わった。
「悲しい……悲しい……だけど子供を相手にするのって難しくない? 大変だって聞くよ?」
「それはそうだけど……可愛いでしょ?」
「可愛い? うーん、まあ確かに?」
「本当ルカは喜怒哀楽がちょっと欠けているわね」
普通に批判されてしまった。
ルカは自分でもよく分かっているので蟀谷をポリポリ掻きながら、「あはは」とうすら笑いを浮かべるのが精々だった。
「あの話は終わりましたか?」
頃合いを見てブルースターが声を掛けた。
膝を折ってシルヴィアの隣に座ると、「こほん」と咳払いを一つした。
「ルカさん一つお尋ねしてもよろしいですか?」
「なに?」
「先程ルカさんが使用した魔術……アレは一体?」
ブルースターは後学のためにも知りたがっている。
とは言えルカが説明してもどうせブルースターには使えない。
それを見越した上で聞いて来ているので、詳しくは説明せず簡単に答えることにした。
「ああ、アレ? 時を止めたんだよ」
「「はい?」」
「だから時を止めたんだよ。時空系魔術の初歩を追及して極めたら、少しくらいは時が止められるでしょ?」
「「知らないです」」
「あれ? 時空系魔術は有名だけど、何をできるかとかは知らないんだ。ちょっと意外だね」
だけど考えてみれば当然だ。生きている限り、時空系魔術を筆頭に扱う魔術師何てどんな天文学的な確率で対峙することになるのか。
ルカもちょっと考えて見れば判ることに納得し、シルヴィア達の質問攻めに遭う。
「ルカさんは如何やって時を止められるようになったんですか?」
「私の固有魔術だよ」
「固有魔術?」
「うん。私の固有魔術は時空系魔術に適しているからね。だからこそずっとこの魔術を使い続けて、いわゆる極めた? って言うのかな。並大抵の魔術師以上には扱えるようにしたよ」
「それで空を飛んだり、空間を捻じ曲げたりしているのね。恐ろしいわ」
シルヴィアに引かれてしまった。
けれどブルースターは対照的に興味を示す。
「ルカさんの魔術は凄いですね。本当に魔法みたいです」
「ブルースターの《オーロラウィング》だって魔法でしょ?」
「正直に申せば、私には魔術も魔法も何が違うのか分かりません」
「何が違うって、概念的かつ直感的な力が魔法で、計算と言霊を頼りに練習次第で無限の可能性を引き出すのが魔術。一点物の金庫かたくさん引き出しのある棚みたいな違いだよ」
「何で、金融的な例えを出してくるのよ」
シルヴィアが渋い表情を浮かべた。
そこで少しだけ捻って分かりやすく例える。
「模造品の剣と神様が産み出した本物の剣の違いかな?」
「うわぁ、今度は壮大な例えね!」
シルヴィアにはなかなか伝わらなかった。
しかしこれ以上面白い例えも無いので、ルカはそのままスルーする。
「はぁー。何だかルカとの実力差がまた開いた気がしたわ」
「張り合ってたの?」
「そうじゃなくて、何でこのメンバーなのかなって」
「そんなの友達だからに決まってるでしょ? それにナタリーに目を付けられた憐れな魔術師達ってことでもう納得……いいや諦めるしかないよ」
「諦める……確かにそうね。ってことはこの平穏も校長先生の思し召しってことかしら? はぁ、それならちゃんとやらないと後で怒られちゃうわね」
シルヴィアは立ち上がった。お尻に付いていた芝を払うと、ライラック達に混ざる。
子供の相手をするメンバーが増え、子供達も楽しそうにする。
その様子を浸るように見つめるルカは「やっぱり適材適所って言葉があるよね。私には難しいよ」とブルースターに問いかけた。
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