1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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聖夜編

336.まずは水問題の解決へ

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 ルカは早速行動に移る。この手の厄介ごとは早急に方を付けた方が絶対に良い。
 そこでまずは何をするかだが、優先順位は決まっていた。
 ライフラインの確保。これ以上に生活していく上で不便を解決する最短距離の突破口はない。

「ルカさん、まずは何をしますか?」
「水を確保しよう。それがないと始まらない」

 とは言え元々この孤児院ではどんな手法でこれまで水の確保を務めていたのか気になる。
 本来町が住色は管理しているはずで、飲み水は地下水や川の水を利用しているはずだ。
 例えば地下に水道管が張り巡らされているのが一般的だが、それなら介入は難しくなってしまう。勝手な真似できないから仕方ない。

「ジルアさん、ここは何処から水を引いていたんです?」
「あの山です」
「「山?」」

 ルカとダリアの視線がジルアの指を指した方向に向いた。
 孤児院の屋根と教会の屋根が重なって良くは見えないが、確かにちょっとした山があった。山頂は白くなっていて、雪が降り積もった跡があるので雪解け水を使っていたわけだ。

「なるほど。ちなみに水道管は何処に?」
「こちらです」

 ジルアは案内してくれた。孤児院の中に入ると、蛇口が壁から生えていた。
 如何やらここから水道管が続いていて、その先には井戸らしきものが古くなってはいるものの設置されていた。

「もしかして詰まってしまったんですか?」
「いいえ。それは既に試して、ゴライアスさんが掃除もしてくれました。ですがそれでも出なかったんです……」
「ってことは山の中の管が破裂している可能性がある。それが判っていても子供達の相手を四六時中要求される現状だと調査にも行けない。だから回復も望めない。重症だね」

 ルカは下唇の下側に指を当てて考えた。
 とりあえず一番酷い部分は分かったので、早速ルカは向かうことにした。

「ダリア、一緒に来てくれるかな? 錬成魔術が欲しい」
「任せてください! 私はルカさんのお願いであれば何処にだって馳せ参じますよ!」

 まるで犬の様にルカにべったりだった。
 ルカはありがたいと思いつつもちょっと近いなと思ってしまった。
 王位継承権的なものは低くても、ダリアは一国の姫だからだ。あまり危険な目に遭わせるのも如何かと思うが、ここは本人の意思に甘えることにした。

「ありがとうダリア。後はライがいてくれたら完璧なんだけど……」
「……無理そうですよ」

 ブルースターの視線の先が楽しそうに子供達と遊ぶライラックへと注がれた。
 さっきから東の島国で伝わる伝統的なおもちゃで遊んでいて、こっちでは見られない珍しいものに子供達の興味がなかなかそがれてくれなかった。子供は飽きっぽいとは言うものの、簡単かつ遊びやすいものばかりなのでなかなか離れられなかった。

「大変そうだね。それじゃあ一旦ライは置いておいて、私達だけで行こうか」
「はい! もしもモンスターが出て来たとしても、私が倒しちゃいますね!」

 ダリアは剣を構えてはいなかったが、剣を縦に振る動作をして勇ましさをアピールした。
 頼りになる魔術騎士(お姫様)だなと思いつつ、ブルースターにはその間で別のことを頼んでおいた。

「ブルースター、私達が戻る間にやって置いてほしいことがあるんだけど、良いかな?」
「はい。私も草むしりくらいはお手伝いさせていただこうと思っておりました」
「半分正解。草むしろは後でシルヴィにも手伝ってもらうけど、そうじゃなくて魔力濃度を測っておいて欲しいんだ」
「魔力濃度ですか?」

 ブルースターは不思議な顔をしていた。
 それもそのはず自分が想像していない、より斜め上のお願いごとに驚くのも無理はなかった。

「ルカさん、失礼ですが如何して魔力濃度を測る必要があるんですか?」
「理由は……まあ、これからやることのためにかな?」

 ルカの頭の中には魔力濃度を測る意味ができていた。
 この孤児院全体の魔力を測りつつ、戻って来てからすることをまとめた。

「それじゃあジルアさん、私達行ってきますね」
「ま、待ってください! この時期の雪山は危険です」

 ジルアは全力で止める。
 十二月にもなると雪は降るし寒さも厳しくなる。
 いくら分厚いコートを着ているとはいえ、ルカ達の体が保たないと思ってしまうのも無理はない。けれどルカとダリアは全く問題なかった。

「大丈夫ですよジルアさん。私達はこの程度で死ぬような魔術師ではないです」
「はい! 私も良く先生と雪山の中で修業したので大丈夫です」

 それにこの間は雷山に行った。あっちの方が標高も高いから段違いに寒かった。
 この程度で音を上げてはいけない。あの経験がルカ達の心を縛り付け、とりあえず行かせてしまった。

「ダリア、早く行こう。この後もやることが山積みだからね」
「はい!」

 ルカとダリアは早速小高い山へと向かった。
 ジルアは不安そうな表情を浮かべて手を握っていたけれど、ブルースターは「心配いりませんよ」と肩を抱いていた。
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