338 / 733
聖夜編
336.まずは水問題の解決へ
しおりを挟む
ルカは早速行動に移る。この手の厄介ごとは早急に方を付けた方が絶対に良い。
そこでまずは何をするかだが、優先順位は決まっていた。
ライフラインの確保。これ以上に生活していく上で不便を解決する最短距離の突破口はない。
「ルカさん、まずは何をしますか?」
「水を確保しよう。それがないと始まらない」
とは言え元々この孤児院ではどんな手法でこれまで水の確保を務めていたのか気になる。
本来町が住色は管理しているはずで、飲み水は地下水や川の水を利用しているはずだ。
例えば地下に水道管が張り巡らされているのが一般的だが、それなら介入は難しくなってしまう。勝手な真似できないから仕方ない。
「ジルアさん、ここは何処から水を引いていたんです?」
「あの山です」
「「山?」」
ルカとダリアの視線がジルアの指を指した方向に向いた。
孤児院の屋根と教会の屋根が重なって良くは見えないが、確かにちょっとした山があった。山頂は白くなっていて、雪が降り積もった跡があるので雪解け水を使っていたわけだ。
「なるほど。ちなみに水道管は何処に?」
「こちらです」
ジルアは案内してくれた。孤児院の中に入ると、蛇口が壁から生えていた。
如何やらここから水道管が続いていて、その先には井戸らしきものが古くなってはいるものの設置されていた。
「もしかして詰まってしまったんですか?」
「いいえ。それは既に試して、ゴライアスさんが掃除もしてくれました。ですがそれでも出なかったんです……」
「ってことは山の中の管が破裂している可能性がある。それが判っていても子供達の相手を四六時中要求される現状だと調査にも行けない。だから回復も望めない。重症だね」
ルカは下唇の下側に指を当てて考えた。
とりあえず一番酷い部分は分かったので、早速ルカは向かうことにした。
「ダリア、一緒に来てくれるかな? 錬成魔術が欲しい」
「任せてください! 私はルカさんのお願いであれば何処にだって馳せ参じますよ!」
まるで犬の様にルカにべったりだった。
ルカはありがたいと思いつつもちょっと近いなと思ってしまった。
王位継承権的なものは低くても、ダリアは一国の姫だからだ。あまり危険な目に遭わせるのも如何かと思うが、ここは本人の意思に甘えることにした。
「ありがとうダリア。後はライがいてくれたら完璧なんだけど……」
「……無理そうですよ」
ブルースターの視線の先が楽しそうに子供達と遊ぶライラックへと注がれた。
さっきから東の島国で伝わる伝統的なおもちゃで遊んでいて、こっちでは見られない珍しいものに子供達の興味がなかなかそがれてくれなかった。子供は飽きっぽいとは言うものの、簡単かつ遊びやすいものばかりなのでなかなか離れられなかった。
「大変そうだね。それじゃあ一旦ライは置いておいて、私達だけで行こうか」
「はい! もしもモンスターが出て来たとしても、私が倒しちゃいますね!」
ダリアは剣を構えてはいなかったが、剣を縦に振る動作をして勇ましさをアピールした。
頼りになる魔術騎士(お姫様)だなと思いつつ、ブルースターにはその間で別のことを頼んでおいた。
「ブルースター、私達が戻る間にやって置いてほしいことがあるんだけど、良いかな?」
「はい。私も草むしりくらいはお手伝いさせていただこうと思っておりました」
「半分正解。草むしろは後でシルヴィにも手伝ってもらうけど、そうじゃなくて魔力濃度を測っておいて欲しいんだ」
「魔力濃度ですか?」
ブルースターは不思議な顔をしていた。
それもそのはず自分が想像していない、より斜め上のお願いごとに驚くのも無理はなかった。
「ルカさん、失礼ですが如何して魔力濃度を測る必要があるんですか?」
「理由は……まあ、これからやることのためにかな?」
ルカの頭の中には魔力濃度を測る意味ができていた。
この孤児院全体の魔力を測りつつ、戻って来てからすることをまとめた。
「それじゃあジルアさん、私達行ってきますね」
「ま、待ってください! この時期の雪山は危険です」
ジルアは全力で止める。
十二月にもなると雪は降るし寒さも厳しくなる。
いくら分厚いコートを着ているとはいえ、ルカ達の体が保たないと思ってしまうのも無理はない。けれどルカとダリアは全く問題なかった。
「大丈夫ですよジルアさん。私達はこの程度で死ぬような魔術師ではないです」
「はい! 私も良く先生と雪山の中で修業したので大丈夫です」
それにこの間は雷山に行った。あっちの方が標高も高いから段違いに寒かった。
この程度で音を上げてはいけない。あの経験がルカ達の心を縛り付け、とりあえず行かせてしまった。
「ダリア、早く行こう。この後もやることが山積みだからね」
「はい!」
ルカとダリアは早速小高い山へと向かった。
ジルアは不安そうな表情を浮かべて手を握っていたけれど、ブルースターは「心配いりませんよ」と肩を抱いていた。
そこでまずは何をするかだが、優先順位は決まっていた。
ライフラインの確保。これ以上に生活していく上で不便を解決する最短距離の突破口はない。
「ルカさん、まずは何をしますか?」
「水を確保しよう。それがないと始まらない」
とは言え元々この孤児院ではどんな手法でこれまで水の確保を務めていたのか気になる。
本来町が住色は管理しているはずで、飲み水は地下水や川の水を利用しているはずだ。
例えば地下に水道管が張り巡らされているのが一般的だが、それなら介入は難しくなってしまう。勝手な真似できないから仕方ない。
「ジルアさん、ここは何処から水を引いていたんです?」
「あの山です」
「「山?」」
ルカとダリアの視線がジルアの指を指した方向に向いた。
孤児院の屋根と教会の屋根が重なって良くは見えないが、確かにちょっとした山があった。山頂は白くなっていて、雪が降り積もった跡があるので雪解け水を使っていたわけだ。
「なるほど。ちなみに水道管は何処に?」
「こちらです」
ジルアは案内してくれた。孤児院の中に入ると、蛇口が壁から生えていた。
如何やらここから水道管が続いていて、その先には井戸らしきものが古くなってはいるものの設置されていた。
「もしかして詰まってしまったんですか?」
「いいえ。それは既に試して、ゴライアスさんが掃除もしてくれました。ですがそれでも出なかったんです……」
「ってことは山の中の管が破裂している可能性がある。それが判っていても子供達の相手を四六時中要求される現状だと調査にも行けない。だから回復も望めない。重症だね」
ルカは下唇の下側に指を当てて考えた。
とりあえず一番酷い部分は分かったので、早速ルカは向かうことにした。
「ダリア、一緒に来てくれるかな? 錬成魔術が欲しい」
「任せてください! 私はルカさんのお願いであれば何処にだって馳せ参じますよ!」
まるで犬の様にルカにべったりだった。
ルカはありがたいと思いつつもちょっと近いなと思ってしまった。
王位継承権的なものは低くても、ダリアは一国の姫だからだ。あまり危険な目に遭わせるのも如何かと思うが、ここは本人の意思に甘えることにした。
「ありがとうダリア。後はライがいてくれたら完璧なんだけど……」
「……無理そうですよ」
ブルースターの視線の先が楽しそうに子供達と遊ぶライラックへと注がれた。
さっきから東の島国で伝わる伝統的なおもちゃで遊んでいて、こっちでは見られない珍しいものに子供達の興味がなかなかそがれてくれなかった。子供は飽きっぽいとは言うものの、簡単かつ遊びやすいものばかりなのでなかなか離れられなかった。
「大変そうだね。それじゃあ一旦ライは置いておいて、私達だけで行こうか」
「はい! もしもモンスターが出て来たとしても、私が倒しちゃいますね!」
ダリアは剣を構えてはいなかったが、剣を縦に振る動作をして勇ましさをアピールした。
頼りになる魔術騎士(お姫様)だなと思いつつ、ブルースターにはその間で別のことを頼んでおいた。
「ブルースター、私達が戻る間にやって置いてほしいことがあるんだけど、良いかな?」
「はい。私も草むしりくらいはお手伝いさせていただこうと思っておりました」
「半分正解。草むしろは後でシルヴィにも手伝ってもらうけど、そうじゃなくて魔力濃度を測っておいて欲しいんだ」
「魔力濃度ですか?」
ブルースターは不思議な顔をしていた。
それもそのはず自分が想像していない、より斜め上のお願いごとに驚くのも無理はなかった。
「ルカさん、失礼ですが如何して魔力濃度を測る必要があるんですか?」
「理由は……まあ、これからやることのためにかな?」
ルカの頭の中には魔力濃度を測る意味ができていた。
この孤児院全体の魔力を測りつつ、戻って来てからすることをまとめた。
「それじゃあジルアさん、私達行ってきますね」
「ま、待ってください! この時期の雪山は危険です」
ジルアは全力で止める。
十二月にもなると雪は降るし寒さも厳しくなる。
いくら分厚いコートを着ているとはいえ、ルカ達の体が保たないと思ってしまうのも無理はない。けれどルカとダリアは全く問題なかった。
「大丈夫ですよジルアさん。私達はこの程度で死ぬような魔術師ではないです」
「はい! 私も良く先生と雪山の中で修業したので大丈夫です」
それにこの間は雷山に行った。あっちの方が標高も高いから段違いに寒かった。
この程度で音を上げてはいけない。あの経験がルカ達の心を縛り付け、とりあえず行かせてしまった。
「ダリア、早く行こう。この後もやることが山積みだからね」
「はい!」
ルカとダリアは早速小高い山へと向かった。
ジルアは不安そうな表情を浮かべて手を握っていたけれど、ブルースターは「心配いりませんよ」と肩を抱いていた。
0
あなたにおすすめの小説
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる