1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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聖夜編

367.一人で調査に行かせてくれない

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 ルカ達は朝ご飯を食べていた。
 夜はなかったけれど、朝は頼んでおいたのでちゃんと出て来てくれる。

「みんなおはよう」
「おはよー。ふはぁー」

 シルヴィアは欠伸をした。
 珍しいと思ったものの、隣に居るライラックの方が酷い。

「眠そうだね。何かあったの?」
「何かじゃなくて、ライと寝る前に話してたのよ。そしたら時間が経っちゃって」
「そうなんだ。何を話してたの?」
「ん? ライが食べ過ぎてたけど、朝ごはん食べられるのって話」
「ああ、なるほどね。それで、当の本人は寝ながら食べているけど?」
「なっ!?」

 シルヴィアは隣に居るライラックの姿を見つめた。
 ウトウトしたまま目を閉じ、首が上下に動いていた。
 完全に眠っている。

「ちょっと、ライ! 寝ながら食べる何て行儀が悪いわよ」
「ムシャムシャ」

 ライラックは寝ながら食べていた。
 目を閉じているだけで、もしかしたら起きているのかもしれないが、魔力の流れがオフになっている。
 つまりは意識がほぼ眠っているような状態だった。

「でも凄いですねよ」
「そうですね。眠りながら食べるのは確かに行儀が悪い行いです。ですが、正確にフォークを刺していますよ」
「本当に凄いですよ、ライラックさん。如何してそんな真似ができるんですか?」
「さあね。でも、ライは器用だから」

 シルヴィアはリネアの質問をその一言で一蹴した。
 ルカは(シルヴィアらしい)と思う。
 
「あむ」

 ルカも用意されているサラダボウルの中にフォークを突き刺す。
 レタスに被り付くと、奥歯でムシャムシャと噛み砕く。

 この宿の朝ご飯は豪華だった。
 一人ずつにパンとサラダボウルが置かれていて、スクランブルエッグとカリカリに焼いたベーコンが並ぶ。
 こんな量を果たして食べられるのか。昨日の夕食が重たく胃に圧し掛かる。

「そう言えばルカさん、今朝のことですが」
「なになに、何かあったの?」

 シルヴィアはルカとブルースターに質問を投げかける。
 何かあったのと尋ねられるが、そこまで大したことはない。
 しかしブルースターが口を割ってしまった。

「今朝ルカさんが、妙なものを感じ取ったんですよね?」
「その答えにも質問にもなっている問いかけは止めてくれるかな?」

 ルカはスクランブルエッグを食べながらブルースターに投げ返す。
 しかし余計にシルヴィア達の疑問を煽ってしまう。

「何か感じたってなに?」
「まあ、魔術師なら分かるでしょ?」
「……意地悪ね。でも分かったわ。魔力よね」
「正解。ちょっと変な魔力を感じただけだから」

 ルカは平然としていた。
 何故なら変な魔力を感じた程度で、別にルカの敵ではない。
 とは言え後のことを考えると、今回は見過ごせない。
 そう言う約束になっているので、面倒なことを避けるため、仕方なく面倒に飛び込む選択肢を迫られる。

「あの、ルカさん?」
「如何したのダリア?」
「ルカさんが疑問を思ったと言うことは、それほどまでに強大な敵と言うことですか?」

 ダリアの質問は的を少し逸れていた。
 しかしルカは逸れた質問を軌道修正してあげた。

「強大でも何でもないよ。私にとってはね?」
「そりゃルカにとってはそうでしょ? そうじゃなくて、そんな相手が居ることが問題なのよ!」
「だろうね。しかも、場所も場所だから」
「「場所ですか?」」

 二人は首を捻った。
 ルカは言うべきか迷ったものの、ブルースターは知ってしまっているので、今更嘘を付いても無駄だ。

「昨日、私達が通った森、覚えているよね?」
「森って、どっちですか?」
「サンタ・ク・ロースじゃない方かな。孤児院に続いている方。あの森の中で、変に強い魔力がチラホラって感じかな」

 ルカは何の気なしに結構重大なことを言ってのける。
 するとシルヴィア達は目を見開いた。

「「「それって大変じゃない!」」」

 確かに大変ではある。
 アレだけ広大な森だから、それだけ身を顰めるには適している。
 しかし怪しい存在があるのなら、近くの孤児院が危ない。
 何かあるのではと、脳内で画策する。

「孤児院を狙っているってことじゃないの!」
「かも知れないね。それか、全くの別案件か」
「別ですか? それでは一体何を?」

 想像が伝播する。
 とは言えそれぞれが怪しいことを考えていて、ルカ達はどんより空気に包まれた。
 けれどルカは一蹴した。

「それを調べるために、後で行ってみようと思うんだ」
「そうなんですか?」
「うん。約束だったからね」
「約束? えっと、それじゃあ私も付いて行っていいですか、ルカさん!」
「ダリア? 良いよ。私一人で行くから、ゆっくり観光でもしておいて」

 ルカはダリアが付いてきそうになるので遠慮する。
 正直一人で事足りる。こんな時間に動き出すとは思えないからだ。
 きっと反応があった周囲も、蛻の殻日なっている。だから行くだけでは意味がない。

「いいえ、私はルカさんのお手伝いがしたいんです。足手纏いにはなりません!」
「ダリア……まあいいよ」
「あ、ありがとうございます! 精一杯頑張りますね」

 ダリアはニコニコ笑顔を浮かべた。
 こんなことで喜ばれると、ルカも思いもよらなかった。
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