1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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聖夜編

396.二人を回収します

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「おっ! 二人が勝ったんだ」

 ルカはレーヴの背中に座った状態で、シルヴィアとダリアの勝利を魔力から読み取った。
 しかしながらかなり苦戦を強いられたらしい。
 完全に切れた二つの魔力を弾くと、自然とシルヴィアとダリアの魔力の方がやや多く感じた。それ故に勝利を確信したのだが、レーヴは納得がいっていないらしい。

「ふん。ほざけ。アイツらが負けるはずがねえ」
「そう? 信じたいのならそれは自由だよ。私は否定したりしないから」
「そう言って居られるのも今の内だい。今頃チッチとクブがガキ二人を始末して……」
「あっ、そうなったら今度は私がその二人を始末するよ。お前の目の前で跡形もなく無残に惨たらしく一切の慈悲も与えずに、永久を彷徨い続けるまでね」

 ルカの目が異様に怖かった。声音も非情が籠っていて、レーヴは声を失った。
 喉の奥がひりつき息が詰まりそうになる中、ルカはレーヴの背中から降りて立ち上がる。
 その足で向かうのはシルヴィアとダリアの下だ。
 今頃魔力切れを起こして酷く疲れているに違いない。

「さてと、二人を回収しに行こうかな」
「待ちやがれ!」

 ふとレーヴはルカの足を止めた。
 うつ伏せで動けない中、必死の思いで声を振り絞ると、威圧するようにルカに尋ねる。

「殺さないのか?」
「殺す? そんな真似、する気無いよ。そもそもする価値も意味もない」

 人の命を殺めるのはルカにとっては簡単至極。
 けれどそれをしたからと言って空しさだけが残る。
 馬鹿げていてつまらない話に口を割いている時間はなく、それ以降はスルーしようとした。けれどレーヴはもう一つ尋ねた。

「待ちやがれ!」
「今度はなに?」
「如何して俺の……《獄炎拳武》を防げたんだ!」
「それはさっき説明したでしょ」
「そうじゃねえ。俺の魔術は拳法は間違っていないはずだ。にもかかわらず何故」
「何故何故って考えたことはないの? 隙も大きくて溜めの長い動作。おまけに片腕に魔力を集中させるから読まれやすい。それくらい考えたら分かるよね?」

 説教をしている時間はない。ここは手短に済ませるため、ルカはそう伝えた。
 レーヴは驚愕していた。あまりの地震から盲目になっていて忘れていたのだ。
 そんなレーヴを憐れむ目で見てしまったルカは「はぁー」と溜息を吐きそうになった。

「一つアドバイス。その魔術拳法を使いたいのなら、もう少し遠距離として技を磨くべきだと思うよ」
「はぁ? 敵に塩を送るのか。馬鹿だな」
「馬鹿でも何でもいいよ。少なくとも、今のお前は私が塩を送っても大差ないってことだからね」

 ルカは挑発的にそう伝えた。
 これで何を思うのかは本人の勝手だ。精々少しでも強くなって、もう少し面白くなって欲しいとルカは密かに願うのだった。

「さてと、二人は……うわぁ!?」

 ルカはシルヴィアとダリアを探した。
 しかし距離感的には間違っていないはずが目の前に姿が無い。
 何故? と思ったのも一瞬。目の前には炎の壁が形成されていて、揺ら揺らと風も無いのに揺らめいていた。

「これはシルヴィとダリアの魔力。なるほど、一対一にしたんだ。ってことは……《ヘルウォーター》」

 ルカは炎の壁を一瞬で消してしまった。
 壁が無くなると、項垂れる二人の少女が浮かび上がる。
 シルヴィアはペタンと座り込み、ダリアは剣を杖のように使い必死に耐えていた。
 あまりにも酷い状況に、ルカは急ぎ二人の下の傍に寄った。

「シルヴィ、ダリア! 大丈夫」

 ルカはシルヴィとダリアの下を行ったり来たりする。
 声を掛けてはみるものの、意識がほとんど飛んでいた。
 かろうじてダリアは息遣いが残っているが魔力の消費が大きすぎて酷い有り様になっていた。

「マズいね。二人共魔力切れを起こしてる。こうなったら……はい、飲んでね」

 ルカは亜空間の中からポーションを取り出す。
 瓶の中には大量の液体が入っている。
 蓋を開けると無味無臭。味わいは無く、まるで水のようだった。
 そんな怪しい液体の入った瓶の口を唇に押し当てると、一気に流し込んだ。
 すると二人の喉は突然の異物に慌てふためき、「げほっげほっ!」と肩から咳き込んで荒げた。

「ちょっと、急に飲ませないでよ。げほっげほっ!」
「ですが助かりました。ありがとうございます、ルカさん!」
「二人とも顔色が良くなって良かったよ」

 シルヴィアとダリアは急速に魔力が回復して元気になった。
 体の気怠さはなく、息苦しさも無くなっていた。
 これもルカが作ったポーションの効果だ。魔力の回復促進に効果のある魔性植物と霊水を調合しているのでとんでもない魔力回復速度になる。
 万が一に備えて持って来ていたことが功を奏し、二人の回復も手っ取り早く済みそうだった。
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