410 / 733
聖夜編
406.まだ進化するモグラ
しおりを挟む
ライザーの掛け声で総力戦が始まった。
ウォビュートモール目掛けて早速風の魔術を放つ。
三本の指が空気を裂き、背中に傷を付けた攻撃が終盤戦再開の合図となった。
「《風刃の爪戟》ぉ!」
空気を裂き、三本の巨大な爪が襲い掛かる。
体を裂き、強烈な一撃で破壊しようとした。
しかし今回はウォビュートモールも抵抗する。
鋼鉄の爪を十字に汲み、攻撃を弾こうとしていた。
「無駄だよぉ。私の攻撃はぁ……貫通するよぉ」
鋼鉄の爪で風の刃を弾こうとした。けれど元は風だ。空気をいくら切り裂けるウォビュートモールだとしても、魔力を伴ったライザーの攻撃を弾くことはできない。
鋼鉄の爪を傷付け、体に無数の傷痕を付ける。
「モグルァ! モグルァモグルァモグルァァァァァ!」
鋼鉄の爪を振り回して風を弾こうとする。
けれど弾く度に風が避け、さらに体が傷付いた。
このままライザー一人で倒せるのでは? と思ったのも束の間。
新しい動きをウォビュートモールは見せる。
「モグルァァァァァァァァァァァァァァァ!」
地面に更迭の爪を突き立てる。そのまま腕を押し出すと地面が揺れ始める。
亀裂が走り、ボコボコと地面が盛り上がる。
突然のことに動揺するのも一瞬で、盛り上がった地面が隆起して四人に襲い掛かる。
「マズいよー。飲み込まれたらひとたまりも無いってー」
「皆さん、すぐに退避を!」
「その必要は無い。《ロック・ハード》!」
ゴライアスは一歩前に出た。
右手で拳を作り隆起していない地面を叩く。
振動が隆起する地面を伝い鎮めると、そのまま元の姿に固まった。
《ロック・ハード》。岩で固めてしまう特殊な魔術を前に、ウォビュートモールの新手の技も無意味と化した。
「その程度か? ならばこちらから行くぞ」
今度はゴライアスが仕掛ける番だ。
ウォビュートモールは警戒するが、ゴライアスは気にせず地面を叩いた。
右手の拳で隆起していたはずの地面を叩くと振動が生まれる。振動が伝っていき、ウォビュートモールの足元まで寄る。
「落ちろ! 《クランドホール》!」
ウォビュートモールの足元の地面に大きな円ができた。
瞬く間に円は魔術用の陣を形成し、大きな落とし穴に早変わりする。
ウォビュートモールは逃げる暇も無かった。突然できた穴に下半身がスッポリ嵌ってしまい完全に動けなくなる。
「モグルァァァァァァァァァァ!」
「叫ぶな」
ウォビュートモールを威圧するゴライアスの口調は怖かった。
穴に嵌ったウォビュートモールの体がドンドン地面の中に沈んでいく。
暴れ狂う度に体が飲み込まれる。ゴライアスの内側にひしめく底無しの渇望が体現されているようだった。
「凄いですが恐ろしいですね」
「本当にねー。でもさ、まだ足りなくない?」
「そうですね。ウォビュートモールはどれだけダメージを与えようが回復してしまいます。ここで仕留めましょう」
「最初っからそのつもりだってー。《伝雷の有刺鉄線》!」
「放て、《星の双銃》!」
動けないウォビュートモールに目掛けて二人は魔術を放った。
今回も見事に命中し、電撃が炸裂した。
体中が痺れ出し、ウォビュートモールは発狂する。けれどいくら暴れようとも、穴の中で動けない。痛みだけが延々と襲い掛かり、全身の皮膚を焼いてひりつかせる。
「これは結構入ったんじゃないかなぁ?」
「どうだろうな。この程度で死ぬとは思えないが……」
「えー、私達結構削ったはずなんだけどなー」
「そうですね。これ以上の戦闘は……」
流石に魔力も尽きかけていた。
けれどゴライアスの懸念は当たっていた。
ウォビュートモールにはまだ余力が十分残っている。
それを象徴するように、目の色が変わった。真っ赤に染まり、全身から分厚くて鋭い棘を生やす。
「うわぁ、ここに来て進化は聴いてないよぉ」
「なるほど。体内に棘を隠し、ダメージを軽減していたのか」
「つまり私達の攻撃は当たっていた。それを棘の硬度で防ぎ、表面上に見える皮膚だけを再生し回復したように見せかけていた……全く恐ろしい性質ですね」
ここに来てまだ技を見せてくれるウォビュートモールに、もはや楽しみさえ感じ始めていた。
ダメージを受け、内側に隠した本性を見せつける。
総力戦を広げるには十分で、お互いに全力を出し切っていた。
けれど最後に勝つのは自分達だと、ブルースター達は確信していた。
ウォビュートモール目掛けて早速風の魔術を放つ。
三本の指が空気を裂き、背中に傷を付けた攻撃が終盤戦再開の合図となった。
「《風刃の爪戟》ぉ!」
空気を裂き、三本の巨大な爪が襲い掛かる。
体を裂き、強烈な一撃で破壊しようとした。
しかし今回はウォビュートモールも抵抗する。
鋼鉄の爪を十字に汲み、攻撃を弾こうとしていた。
「無駄だよぉ。私の攻撃はぁ……貫通するよぉ」
鋼鉄の爪で風の刃を弾こうとした。けれど元は風だ。空気をいくら切り裂けるウォビュートモールだとしても、魔力を伴ったライザーの攻撃を弾くことはできない。
鋼鉄の爪を傷付け、体に無数の傷痕を付ける。
「モグルァ! モグルァモグルァモグルァァァァァ!」
鋼鉄の爪を振り回して風を弾こうとする。
けれど弾く度に風が避け、さらに体が傷付いた。
このままライザー一人で倒せるのでは? と思ったのも束の間。
新しい動きをウォビュートモールは見せる。
「モグルァァァァァァァァァァァァァァァ!」
地面に更迭の爪を突き立てる。そのまま腕を押し出すと地面が揺れ始める。
亀裂が走り、ボコボコと地面が盛り上がる。
突然のことに動揺するのも一瞬で、盛り上がった地面が隆起して四人に襲い掛かる。
「マズいよー。飲み込まれたらひとたまりも無いってー」
「皆さん、すぐに退避を!」
「その必要は無い。《ロック・ハード》!」
ゴライアスは一歩前に出た。
右手で拳を作り隆起していない地面を叩く。
振動が隆起する地面を伝い鎮めると、そのまま元の姿に固まった。
《ロック・ハード》。岩で固めてしまう特殊な魔術を前に、ウォビュートモールの新手の技も無意味と化した。
「その程度か? ならばこちらから行くぞ」
今度はゴライアスが仕掛ける番だ。
ウォビュートモールは警戒するが、ゴライアスは気にせず地面を叩いた。
右手の拳で隆起していたはずの地面を叩くと振動が生まれる。振動が伝っていき、ウォビュートモールの足元まで寄る。
「落ちろ! 《クランドホール》!」
ウォビュートモールの足元の地面に大きな円ができた。
瞬く間に円は魔術用の陣を形成し、大きな落とし穴に早変わりする。
ウォビュートモールは逃げる暇も無かった。突然できた穴に下半身がスッポリ嵌ってしまい完全に動けなくなる。
「モグルァァァァァァァァァァ!」
「叫ぶな」
ウォビュートモールを威圧するゴライアスの口調は怖かった。
穴に嵌ったウォビュートモールの体がドンドン地面の中に沈んでいく。
暴れ狂う度に体が飲み込まれる。ゴライアスの内側にひしめく底無しの渇望が体現されているようだった。
「凄いですが恐ろしいですね」
「本当にねー。でもさ、まだ足りなくない?」
「そうですね。ウォビュートモールはどれだけダメージを与えようが回復してしまいます。ここで仕留めましょう」
「最初っからそのつもりだってー。《伝雷の有刺鉄線》!」
「放て、《星の双銃》!」
動けないウォビュートモールに目掛けて二人は魔術を放った。
今回も見事に命中し、電撃が炸裂した。
体中が痺れ出し、ウォビュートモールは発狂する。けれどいくら暴れようとも、穴の中で動けない。痛みだけが延々と襲い掛かり、全身の皮膚を焼いてひりつかせる。
「これは結構入ったんじゃないかなぁ?」
「どうだろうな。この程度で死ぬとは思えないが……」
「えー、私達結構削ったはずなんだけどなー」
「そうですね。これ以上の戦闘は……」
流石に魔力も尽きかけていた。
けれどゴライアスの懸念は当たっていた。
ウォビュートモールにはまだ余力が十分残っている。
それを象徴するように、目の色が変わった。真っ赤に染まり、全身から分厚くて鋭い棘を生やす。
「うわぁ、ここに来て進化は聴いてないよぉ」
「なるほど。体内に棘を隠し、ダメージを軽減していたのか」
「つまり私達の攻撃は当たっていた。それを棘の硬度で防ぎ、表面上に見える皮膚だけを再生し回復したように見せかけていた……全く恐ろしい性質ですね」
ここに来てまだ技を見せてくれるウォビュートモールに、もはや楽しみさえ感じ始めていた。
ダメージを受け、内側に隠した本性を見せつける。
総力戦を広げるには十分で、お互いに全力を出し切っていた。
けれど最後に勝つのは自分達だと、ブルースター達は確信していた。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
【完結】王子と結婚するには本人も家族も覚悟が必要です
宇水涼麻
ファンタジー
王城の素晴らしい庭園でお茶をする五人。
若い二人と壮年のおデブ紳士と気品あふれる夫妻は、若い二人の未来について話している。
若い二人のうち一人は王子、一人は男爵令嬢である。
王子に見初められた男爵令嬢はこれから王子妃になるべく勉強していくことになる。
そして、男爵一家は王子妃の家族として振る舞えるようにならなくてはならない。
これまでそのような行動をしてこなかった男爵家の人たちでもできるものなのだろうか。
国王陛下夫妻と王宮総務局が総力を挙げて協力していく。
男爵令嬢の教育はいかに!
中世ヨーロッパ風のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる