1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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村亡編

434.フロスト・マッピング

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 ルカは空の上に居た。
 いつも通り飛行魔法を使い空へと舞い上がると、雲の上に来ていた。

「さてと。始めようかな」

 何のために来たのか。もちろん目的ははっきりしている。
 ルカは手のひらをパチンと合わせ、魔術を唱えた。

「《フロスト・マッピング》!」

 ルカが魔術を発動すると、ルカを中心として周囲一帯に魔力が満たされる。
 大気中の魔力に反応し、魔術が発動。
 白っぽい粉粒が形成され、ゆっくりと地上へと向かう。

「ふぅ。これを一時間か。まぁ、良いけどね」

 ルカは忍耐力もある。
 少し寒いのでコートをしっかりと着込み、全身を温める。
 これで長時間もルカの魔術を合わせれば問題無しだ。

「それにしても、何でこんなことに……ナタリーも人使いが荒いよ」

 ルカはちょっと文句を吐く。今回もナタリーに頼まれてやっていた。
 本当は断っても良かった。
 だけどお金を握らされてしまったので、仕方なく受けざるを得ない。

「街のお金を渡されちゃったら、完全に依頼なんだよね。しかも雪を降らせる依頼何て……そんなに雪が好きなのかな?」

 ルカは別に雪が嫌いでもなければ好きでもない。
 去年は散々雪を見たし、今年は身飽きてしまった。

「確かに雪雲は停滞していたけど、自然の雪の方が断然綺麗なのに……はぁ」

 ルカは頭を抱えていた。
 ここ数日ずっと雪雲が停滞していたものの、一向に雪が降る気配が無い。
 四季折々の景色を楽しみにしてくれる人もいる上に、魔術学校の生徒として雪を作る魔術を知りたい人もいるはずだ。そのお手本をやって欲しいと頼まれてしまった。
 以上の二つで、ルカは冬休みの最中も大変だった。

「まあ、綺麗だから良いんだけどね」

 ルカは地上を見ることはできない。
 けれどきっと綺麗な雪の結晶が形成されているはずだ。



 リューネラ家の屋敷。
 外は寒いので屋敷の中でシルヴィア達は過ごしていた。

「今日も寒いねぇー。こういう時は、部屋の中でゴロゴロしないとねー」
「私はあまり寒くありませんが、確かに外は寒そうですよね」

 ライラックはリビングの床でゴロゴロしていた。
 暖炉の近くでずっと温まり、隣の椅子に座ってダリアは本を読んでいた。
 傍らには剣が置いてある。先端が丸くなっているので危なくはない。

「ちょっと二人とも、火の傍で危ないでしょ!」

 シルヴィアがライラックとダリアを叱る。
 しかしライラックは唇を尖らせた。

「えー、でも寒いんだよー」
「もう! それじゃあ外で遊んできなさい!」
「えー、絶対に嫌だぁー」

 ライラックは糸を使って自分の体を丸める。
 動かないことを固く誓った合図で、シルヴィアは溜息を吐くと、ダリアの前に紅茶の入ったティーカップを置く。

「はい、ダリア」
「ありがとうございますシルヴィアさん」
「いいわよ、これくらい」

 メイドも居るのだができることは自分でやりたい。そんなシルヴィアの本分が働いたのだ。
 それからゴロゴロしているライラックのことをジッと見る目る。

「ライ、宿題は終わったの?」
「うん、もう終わっているよー」
「うっ……コツコツやらないのね」
「私はコツコツやらなくても覚えられるから。それよりさー、何か暇じゃなーい。ん?」

 シルヴィアはライラックの言い分に腹を立てそうになる。
 お腹の中でグッと押し殺すと、ライラックの視線が窓の外を向いていることに気が付く。
 シルヴィアにも気になって見てみると、何か白いものが落ちてきていた。

「何よアレ?」
「雪でしょうか?」

 窓に近づいてみた。白いものが降っていて、冷たそう。確実に雪だと判断できた。
 さっきまでただ暗いだけだった外が一瞬にして面白くなる。

「行ってみようよー」

 急にライラックがさっきまでの言い分を変えた。
 寒いんじゃなかったのかと、シルヴィアは思ってしまう。しかしダリアも椅子から落ちていたので、シルヴィアも外に出てみることにした。


 シルヴィア達は中庭に出てみた。
 たくさんの雪が降っていて幻想的な世界が作られようとしていた。

「綺麗ね」
「はい。こんなに綺麗な雪が降るなんて……」

 ダリアも手をギュッとしていた。
 シルヴィアも手を伸ばして、降る雪を掴もうとする。
 するとシルヴィアに手に雪が触れた瞬間、パッと光り出した。

「ちょっと何よコレ!」
「如何したの、シルヴィ?」
「何かあったんですか、シルヴィアさん?」

 驚くシルヴィアに、二人は声を掛けた。
 するとシルヴィアは降って来た雪を見せた。
 何と雪が六芒星の形をした結晶体になっていて、二人も驚く。

「如何なっているんでしょうか?」
「如何なっているって、誰かが雪を降らせているのよ。きっと私達みたいな魔術師が触れると、魔力に反応してこの形に形成される……って、これって凄い技術なんじゃないの!」

 シルヴィアは声を上げて驚く。
 まさかこんな魔術が使える魔術師が居るなんて。シルヴィアは感動した。

「もしかしてルカさんでしょうか?」
「ナタリー校長かもよー」
「うっ、まああの二人なら……って、結晶が消えて雪に戻ってる」

 シルヴィアの手からは雪の結晶が消えていた。
 白い雪に変わり、シルヴィアの体温で解けて無くなってしまう。儚いものだと感じた。
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