1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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村亡編

454.チャカチャ村の危機

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 ルカ達はジュナイダー二代目に振り回されてしまった。
 荷車の中でてんやわんやになっていた。
 全身を壁や床に打ち付けられるのを防ぐべく床に蹲ったまま、ルカは何の対策も取れないキヤチャを庇う。

「うっ、うぉぉぉ! な、なんだ。なんだなんだ! うっ、気持ちわるぃ……うぉっ! あん?」

 キヤチャは荷車の壁に背中を強く打ち付けた。
 相当痛いのか、発狂しかけていた。
 けれどGのおかげで痛みに気が付いていないようなので、ルカは回復魔術と念動魔術を使ってキヤチャのことを支えた。

「い、痛くない?」

 キヤチャは訳が分かっていなかった。
 突然体の痛みが引いていき、ましてやこのGの中、何食わぬ顔で過ごしていた。

「ちょっとルカ! キヤチャさんだけじゃなくて、私達のことも支えなさいよ!」
「そうだよー。こっちは魔術を使って大変なんだよー?」

 シルヴィア達は怒りだした。
 それもそのはずで、各々が魔術を使って体を支えている。

 例えばシルヴィアは体の周りに風を起こして宙に浮いていた。
 ダリアや剣を荷車の壁に突き刺し間に入り込み、ブルースターは小さく《オーロラウィング》を展開し、ほんの少しだけ浮いている。
 だけど一番面白いのはライラックで、まるで蜘蛛のように糸を張り、荷車の天井の隅っこにくっ付いていた。

「ごめんごめん。でも大丈夫そうだからね」
「それはルカが勝手に思っているだけでしょ?」
「そうだよ。でも、みんな大丈夫そうだからね」

 ルカはみんなが大丈夫だと思ったが、如何やら咄嗟だったらしい。
 けれどこれまでの経験が活きている。
 ルカはシルヴィア達の成長を感じ取ったが、シルヴィアにはムッとされてしまった。

「とは言え、早く着いてくれればいいんだけど……」
「着いたよ!」
「「「えっ!?」」」

 ルカは早く村に辿り着いてくれればと、当たり前のことを思った。
 けれど唐突にジュナイダー二代目から、村に着いたと教えて貰えた。
 それを聞いてルカ達は声を上げる。

「う、嘘でしょ!? そんな訳ないで……」
「いやいや、本当に見えて来たよー」
「本当ですか、ライラックさん!?」

 ダリアはライラックの見えている景色に感嘆とした。
 壁に張り付いているおかげか、唯一窓の外が見られる。
 薄っすらと建物が見えたようで、ジェスチャーで伝えてくれた。

「うんうん。藁とかで編んだ屋根とかー。ちょっとした柵が見えるよー」
「それならチャカチャ村ですよ。いや、やはり竜は速いんだね」

 そんなの当たり前だ。だけど竜車に乗ったことがないのなら当然抱いていい反応だ。
 ルカは一人興奮しているキヤチャのことを新鮮に感じた。
 これだけ早く村に着けるのなら、今日はゆっくりできそうだと、ホッと胸を撫で下ろす。

「みんな村に着くよ。今日は野営しなくていいね」
「これでゆっくり休めるわね」
「流石に荷車で何夜も明かすのは体に堪えますよ」
「でも楽しかったですよね!」

 みんな思い思いの旅を送っていた。
 けれどそろそろ体をゆっくり休めたい。
 何日も荷車の中に籠っていると、景色は変わるが疲れるのだ。

「ジュナ二、チャカチャ村に入ったら村の人達を怖がらせないようにね」
「分かってるよ~! それじゃあ突入だぁ! ゴー!」

 ジュナイダー二代目は村の中に飛び込んだ。
 小さなモンスター除けの柵を飛び越える。
 竜の分厚い爪が地面を抉ると、そのまま重心移動も無しに立ち止まった。完全に急ブレーキを掛けられてしまい、荷車のルカ達は天井にまで背中がくっ付くんじゃないかとヒヤリとした。
 けれど生憎そんなファンタジーは起こることなく、慣性も効いたので、壁に叩き付けられる程度で終わった。

「みんな~、着いたよ~」
「痛てて。そうだね。でももう少し安全運転でお願いしたかったけどね」
「全くよ、もう。ってブルースター。早く避けて、重いんだけど」
「すみません。ですがおかげで怪我はしませんでした」
「それは良かったわね」

 壁に叩き付けられたルカ達は完全に上の人が流れ込んできて押し潰されていた。
 けれどシルヴィアが咄嗟に風で幕を作ったおかげか、怪我はせずに済んだ。
 最悪死んでいたかもしれないが、無事で何より。
 ルカ達は荷車の中から降りると、チャカチャ村に足を付けた。

「ここがチャカチャ村?」
「なんだか長閑だけど、小さな村よね」

 チャカチャ村はかなり小さな村だった。
 寂しい村ではなく、単純に発展を遂げていない田舎の村なのだ。
 とは言えそれが普通の光景で、特に言うこともない。
 それに何より、こういう場所だからこその名産もあるのだが、今はあり付ける訳もないだろう。

「小さくても良い村ですよ。この村には名産のチャカンプキンがあるんだよ」
「チャカンプキン? あまり耳にした気が……」
「この村の名産だけど、流通量が少ないからね。本当は食べて貰いたかったよ」

 キヤチャはそう答えた。
 確かに食べてみたかったとルカも思ったが、それはさておきこの村に食料を卸さないとダメだと思い、全員揃って村の奥まで向かった。先導はキヤチャに任せ、ルカ達は続くのだった。
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