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村亡編
467.中毒症状の魔の手
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村長宅に賑やかなムードは一変して消失した。
代わりにルカの放った殺気のおかげか、静寂が包み込んでいた。
圧倒的なルカの殺気……と言うわけでも無いのだが、完全にお通夜だった。
「それで、改めてなにが起きているんです? あれだけ陽気に憑り付かれるなんて、普通考えられないよね?」
「それは、わしらにも分からんのだ。ただ、全身から何とも呼べないパワーを感じて、体がフラフラしての」
「体がフラフラ?」
それが異様なまでのテンションに関係しているのは明白。
けれど一体何故? 突然そんなことになるなんて、やっぱり土地の魔素が関係しているのだろうか? 一気に大気中に放出され、許容できなくなってしまった。
とすれば、フラフラにも起因する。ルカはこの状況を良く知っていた。
「まさか、急性魔素中毒?」
「えっ、なんて?」
ルカが突如として発した言葉に、シルヴィアが食い付いた。
ルカの顔をジッと覗き込むと、そのまま詰め寄る。
如何やら気掛かりがあるようで、ルカに相談したい模様だった。
「どういうことよ、急性魔素中毒って。さっきまでそんな症状一切見られなかったわよ」
「そうだよね。やっぱり土地の魔素が大気中に……」
「それがおかしいのよ。やっぱりルカ、なにかしたんでしょ?」
完全に疑われていた。ルカは心外だと思った。
けれどこうなった手前、白状するのもまた然り。
下唇に指先を当てると、何か思う所があるのか、ルカは口走った。
「私はあくまでも魔素を借りて、その分を返しただけだよ」
「はっ? なに言ってるのよ」
「だからね、私は魔素を土地から借りたよ。だけどその分魔素を返した。もしかすると、その影響で土地から溢れ出た魔素が大気中の魔素の濃度を上回っちゃって、耐性が比較的疎い人達が急性魔素中毒を起こしたのかもね」
ルカはあくまでも悪魔の手を知っているからこそ、そんな説明ができた。
けれどシルヴィア達は知る由もない。
パッともピンとも来ない情報の一方的な羅列に首を捻ると、表情に顰めっ面ができた。
「ちょっと意味が分かんないわ」
「だろうね。まあ略すと、この土地の魔素が急速に活性化したせいで、大気中に魔素が溢れ返った。後は分かるよね?」
「なんとなくね。耐性の疎い人から順に魔素を魔力に変換できなくて、体の中に溜め込んじゃった。それでホルモンバランスを崩して、陽気に憑り付かれちゃったのね」
「いわゆる幸せホルモンだね。分泌が活性化して、この通り」
村長やキヤチャは酔っていた。完全に中毒症状の坩堝に落ちている。
ここから引き上げるのは大変。それもそのはず中毒症状は依存症にも発展しかねない。
流石にそれは色んな意味で困るだろう。
そう考えるルカは、即効性の高い解決策を提案することにした。
「村長さん、宴会をしましょう。今晩、村人全員を集めて」
「「「えっ!?」」」
ルカの口からあり得ない言葉が出た。
先程まで宴会を開いていたことを咎めるような口振りは何処へやら、一変して手のひら返しをする。
村長もキヤチャも口をあんぐり開けたまま固まる。
シルヴィア達も突然のルカの対応の変化に付いていけない。
「待ちなさいよ、ルカ。なんで急に宴会なんて!」
「中毒症状を治すのはこれが一番です」
ルカ言い分がちっとも理解できない。
シルヴィアは怪訝な表情を浮かべると、ルカのことを睨みつける。
「ルカ、貴女は分かっているの?」
「分かっているってなにを?」
「急性魔素中毒よ。最悪死に至るのよ!」
急性魔素中毒を侮っていると思われているのは心外で、ルカはよく理解していた。
体内で処理できない魔素によってホルモンバランスを崩される。
その結果、今は陽気で止まっているが、最悪の場合は死にも至る。
千年前にも同じような事例は何百件と存在し、ルカ自身もその現場に立ち会ったことはしばしばだ。
「宴会なんて真似、セロトニンを分泌させるだけよ!」
「それがいいんだよ」
「それがいいって、ホルモンバランスを極端に崩すことの何所がいいのよ? 私にはさっぱり分からないわ」
「それはそうだね。でも、宴会をするのには訳があるよ。村長、幾つか酒を私が用意するので、陽気に駆られている村人全員を集めてください。どうですか? 宴会、できますよ?」
ルカは脅し文句的に問い掛ける。
すると村長は青ざめた顔になっている。
もしかすると先程までの殺気に当てられた後遺症が出ているのか。
ルカはこのままだと話しが進展しないので再度訊ねた。
「村長!」
「うっ、ああ。すまんの。宴会か……してもよいのか?」
「はい、構いませんよ。殺気は怒ってすみませんでした。今夜は皆さんで楽しみましょう」
にこやかな笑みを浮かべ、表情をコロッと変える。
すると村長はルカの優しい魔力に触れ、考える素振りを見せるがやがて宴会をやりたい欲求に駆られた。
「うむ。酒も用意してくれるのなら、進んでみな来るじゃろうな。分かった、お嬢さんの気分を害さないよう、言葉に甘えさせて貰おう」
「ありがとうございます。それじゃあ酒を用意しますね」
ルカはにこやかな笑みを浮かべた。一見すると非常に不気味だ。
そのまま踵を返し、村長宅を後にしようとする。
その最中、シルヴィアが顔を手で覆い、「はぁ、なによこの地獄絵図」と溜息を吐くのだった。
代わりにルカの放った殺気のおかげか、静寂が包み込んでいた。
圧倒的なルカの殺気……と言うわけでも無いのだが、完全にお通夜だった。
「それで、改めてなにが起きているんです? あれだけ陽気に憑り付かれるなんて、普通考えられないよね?」
「それは、わしらにも分からんのだ。ただ、全身から何とも呼べないパワーを感じて、体がフラフラしての」
「体がフラフラ?」
それが異様なまでのテンションに関係しているのは明白。
けれど一体何故? 突然そんなことになるなんて、やっぱり土地の魔素が関係しているのだろうか? 一気に大気中に放出され、許容できなくなってしまった。
とすれば、フラフラにも起因する。ルカはこの状況を良く知っていた。
「まさか、急性魔素中毒?」
「えっ、なんて?」
ルカが突如として発した言葉に、シルヴィアが食い付いた。
ルカの顔をジッと覗き込むと、そのまま詰め寄る。
如何やら気掛かりがあるようで、ルカに相談したい模様だった。
「どういうことよ、急性魔素中毒って。さっきまでそんな症状一切見られなかったわよ」
「そうだよね。やっぱり土地の魔素が大気中に……」
「それがおかしいのよ。やっぱりルカ、なにかしたんでしょ?」
完全に疑われていた。ルカは心外だと思った。
けれどこうなった手前、白状するのもまた然り。
下唇に指先を当てると、何か思う所があるのか、ルカは口走った。
「私はあくまでも魔素を借りて、その分を返しただけだよ」
「はっ? なに言ってるのよ」
「だからね、私は魔素を土地から借りたよ。だけどその分魔素を返した。もしかすると、その影響で土地から溢れ出た魔素が大気中の魔素の濃度を上回っちゃって、耐性が比較的疎い人達が急性魔素中毒を起こしたのかもね」
ルカはあくまでも悪魔の手を知っているからこそ、そんな説明ができた。
けれどシルヴィア達は知る由もない。
パッともピンとも来ない情報の一方的な羅列に首を捻ると、表情に顰めっ面ができた。
「ちょっと意味が分かんないわ」
「だろうね。まあ略すと、この土地の魔素が急速に活性化したせいで、大気中に魔素が溢れ返った。後は分かるよね?」
「なんとなくね。耐性の疎い人から順に魔素を魔力に変換できなくて、体の中に溜め込んじゃった。それでホルモンバランスを崩して、陽気に憑り付かれちゃったのね」
「いわゆる幸せホルモンだね。分泌が活性化して、この通り」
村長やキヤチャは酔っていた。完全に中毒症状の坩堝に落ちている。
ここから引き上げるのは大変。それもそのはず中毒症状は依存症にも発展しかねない。
流石にそれは色んな意味で困るだろう。
そう考えるルカは、即効性の高い解決策を提案することにした。
「村長さん、宴会をしましょう。今晩、村人全員を集めて」
「「「えっ!?」」」
ルカの口からあり得ない言葉が出た。
先程まで宴会を開いていたことを咎めるような口振りは何処へやら、一変して手のひら返しをする。
村長もキヤチャも口をあんぐり開けたまま固まる。
シルヴィア達も突然のルカの対応の変化に付いていけない。
「待ちなさいよ、ルカ。なんで急に宴会なんて!」
「中毒症状を治すのはこれが一番です」
ルカ言い分がちっとも理解できない。
シルヴィアは怪訝な表情を浮かべると、ルカのことを睨みつける。
「ルカ、貴女は分かっているの?」
「分かっているってなにを?」
「急性魔素中毒よ。最悪死に至るのよ!」
急性魔素中毒を侮っていると思われているのは心外で、ルカはよく理解していた。
体内で処理できない魔素によってホルモンバランスを崩される。
その結果、今は陽気で止まっているが、最悪の場合は死にも至る。
千年前にも同じような事例は何百件と存在し、ルカ自身もその現場に立ち会ったことはしばしばだ。
「宴会なんて真似、セロトニンを分泌させるだけよ!」
「それがいいんだよ」
「それがいいって、ホルモンバランスを極端に崩すことの何所がいいのよ? 私にはさっぱり分からないわ」
「それはそうだね。でも、宴会をするのには訳があるよ。村長、幾つか酒を私が用意するので、陽気に駆られている村人全員を集めてください。どうですか? 宴会、できますよ?」
ルカは脅し文句的に問い掛ける。
すると村長は青ざめた顔になっている。
もしかすると先程までの殺気に当てられた後遺症が出ているのか。
ルカはこのままだと話しが進展しないので再度訊ねた。
「村長!」
「うっ、ああ。すまんの。宴会か……してもよいのか?」
「はい、構いませんよ。殺気は怒ってすみませんでした。今夜は皆さんで楽しみましょう」
にこやかな笑みを浮かべ、表情をコロッと変える。
すると村長はルカの優しい魔力に触れ、考える素振りを見せるがやがて宴会をやりたい欲求に駆られた。
「うむ。酒も用意してくれるのなら、進んでみな来るじゃろうな。分かった、お嬢さんの気分を害さないよう、言葉に甘えさせて貰おう」
「ありがとうございます。それじゃあ酒を用意しますね」
ルカはにこやかな笑みを浮かべた。一見すると非常に不気味だ。
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その最中、シルヴィアが顔を手で覆い、「はぁ、なによこの地獄絵図」と溜息を吐くのだった。
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