1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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エルフの森編

517.エルフの幹部は強いぞ

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 ルカは木と同化した。
 空気を極端に殺すと、シルヴィア達が炎獣を相手取る姿を見守る。

(私がこれ以上戦ったら、みんなの出番奪っちゃうね……おまけに少し本気を出しただけでこの様か)

 ルカは近くの木に触れた。
 すると木の幹がフニャフニャになってしまう。あまりにも頼もしくない木の幹に体を預けると、早速炎獣と交戦するシルヴィア達に視線を移した。

「さてと、どうするのかな? ん……?」

 ルカの目が捉えたのは、シルヴィア達が茫然自失する姿。
 強襲する炎獣の姿に目を奪われると、如何したらいいのか分からなかった。

「ど、どうするのよ、これ」
「うーん、私の糸に熱耐性を付けるとかー?」
「そうじゃなくて、私は戦えないわよ?」
「それじゃあ……どうしよっか?」

 シルヴィアとライラックが考え込む中、その脇を通る姿があった。
 まずは左右から二つの影。金と銀の髪が揺らめくと、鋭いナイフを炎で煌めかせ、狼型に飛び掛かった。

「いくよ、セレビュ」
「うん、お姉ちゃん」

 ゾーラは狼型の目の前に飛び出すと、ナイフを叩き付けた。
 視界の中に自分だけを映すと、狼型はゾーラに集中する。

「背中ががら空き」

 セレビュは狼型の背中を捉え、ナイフを振り下ろす。
 メラメラと背中から漏れる炎がセレビュをあしらう。
 当然、ナイフで刺すなんて不可能な距離。
 それだけの熱量の前に屈するかと思えば、セレビュは構わなかった。

「ツラルカァ・シュルブ・ランザス—《銀の槍》」

 セレビュはナイフを直線で投げ付ける。
 するとセレビュの手元から離れたナイフは、謎の詠唱と合わせて、刃は長く、枝も長く、その上で銀色の煌めきを迸らせると、狼型の背中に突き刺さった。

「ルガッ!? ルガラァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 狼型は絶叫した。
 突然背中に痛みが走り、炎の噴き出す量が増える。
 勢いを増し、暴れ狂うと、左右に転げ回って顔を前脚で抑えた。

「効いてる!?」
「効いてるよ、お姉ちゃん」
「そっか。それじゃあ今度は、私の番だね」
「うん、美味しい所は取ってあるよ」
「流石は私の妹だね。ありがとう、それじゃあ、キュリーサック・ゴルドゥ・ソーディス—《金の剣》」

 セレビュは美味しい所を任されたゾーラはワクワクした様子で、ナイフを突き出す。
 嬉々とした目を浮かべると、セレビュと同じで謎の詠唱を始める。

 ゾーラが突き出したナイフはセレビュに比べると、短い。けれど金色の輝きを迸らせると、豪胆なナイフに変化して、狼型の顔を切り裂いた。

「ルガガガガァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 狼型はまだまだ転げ回る。
 痛くて痛くて仕方ないのだが、ゾーラはまだまだ切り付ける。
 金の剣をバッサリバッサリ叩き込むと、狼型は目や鼻にダメージを負った。

「いいじゃん、いいじゃん、後はコレを刺し込めば」
「ダメだよ、お姉ちゃん。まだ弱ってないよ」
「それじゃあ……まだまだ攻撃するしかないってことだね」
「うん、お姉ちゃん。それじゃあ行くよ」

 ゾーラとセレビュは《金の剣》と《銀の槍》を叩き込み続け、狼型を痛めつける。
 もはや他の炎獣には目を向けず、次から次へと切り傷刺し傷を生み出す。
 もはや狼型は虫の息で、炎の量もかなり減っていた。

「それじゃあ刺すよ」
「うん、お姉ちゃん」

 ゾーラはコールド・ストッパーを刺した。
 狼型の体内に埋め込まれ、中に入っていた液体がドンドン入って行く。
 その度に狼型の体がピクピクすると、炎の勢いは完全に殺された。

「うえっ、結構惨い」
「命を奪うって感じがするね」
「うん、うん。なーんか気持ち良くないね」
「でもこれが私達の役目だから」

 ゾーラとセレビュは割り切っていた。
 それでも顔色が芳しくは無く、ゾーラとセレビは口元を隠す。
 気持ち悪くなったのか。そう思ったルカは木の影から覗き見ると、全くそんな様子は無かった。単純に口元を抑えただけで、特に意味も無いらしい。

(な、なんだろう。このキマってる感じ)

 明らかに他のエルフ達とは格が違う。
 ゾーラとセレビュの二人は慣れ切っていた。
 倒れた狼型の最後を見守ると、腰に手を当て、次の炎獣を倒しに向かった。

「ゾーラ、セレビュ、次を倒しますよ」
「「森長様!?」」
「休んでいる暇はありません。私達である程度は始末しますよ」
「「はい!」」

 ディンネルは余裕を見せるゾーラとセレビュに叱咤した。
 腕を突き出し、迫り来る炎獣を睨み付けると、《ブラックアウト》を発動した。

 ドスン、ドスン、ドスン、ドスン!?

 ゴーレム型より一回り小さい人型炎獣は視界を奪われてしまい暴れ狂うと、ディンネルは近付きコールド・ストッパーを刺す。
 あっという間に人型炎獣を倒してしまうと、木の裏で見守るルカでさえ唖然とした。

(な、なんだろ。エルフの幹部達って、桁違いに強い?)

 ルカはこう思ってしまった。
 他の一般兵のエルフ達が可哀そうになるくらい、力の差に開きがあった。
 ルカは目を細め、額を摘まむと、「まあいっか」と忘れた振りをする。

「ゾーラとセレビュ、ディンネルは良いとして、シルヴィア達は……おっ!?」

 ルカは視線を外し、シルヴィア達に目を向ける。
 困惑した表情から一変していることを期待したが、ちょっとおかしなことになっていた。
 特にシルヴィア。風の魔術が使えないせいだろうが、何故か手には剣が握られている。
 いつもとは違う、おかしな先頭スタイルに、ルカは興味津々だった。
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