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炎の悪魔編
557.ワイバーン型の死闘3
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シルヴィアとダリアは、大剣の上に乗っていた。
炎に風を当てることで、強弱を変える。
そのおかげか、炎が波のようになると、シルヴィアとダリアは高度を維持する。
「それでシルヴィアさん。この後はどうしますか?」
「あー、えっと……流れで」
「流れですか! 分かりました」
シルヴィアにこの後の計画は無かった。
いつも通り適当になるも、ダリアは飲み込む。
威勢の良いハキハキとした返事をすると、ベルトのポーチの中に入っていた鉄くずを使う。
「《剣錬成》!」
ダリアは何本もの短剣を作り出す。
二本を手にし、残りは宙に浮く。
剣身に炎が灯ると、轟々と燃えていた。
「《無数の短剣》!」
ダリアが短剣に指示を出すと、ワイバーン型に向かって飛ぶ。
炎の灯った剣身は、ワイバーン型を真っ直ぐ追う。
しかし翼をはためかせるワイバーン型は、強風を起こして短剣を払い落とした。
「ええっ!?」
カタン……カタン、コトン
か細い音を立てると、短剣は地面に転がった。
先制の一撃は、簡単に終わってしまうと、ワイバーン型は吠える。
「ワイヤラララァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ワイバーン型の怒号に、耳を劈かれる。
シルヴィアとダリアはまともに喰らってしまうと、咄嗟に耳を防ぐ。
しかし頭の中がグワンとなって、軽い脳震盪を起こしかけた。
そのせいもあってか、大剣がユラユラと揺れ始め、風の微弱になってしまう。
「シルヴィアさん、このままじゃ……」
「マズいわね。体勢を戻さないと……」
シルヴィアとダリアは体幹で何とか耐えていた。
しかし所々に穴があり、ワイバーン型はそこを突く。
飾りだと思っていた翼をはためかせ、気持ち良く空を飛ぶ。
「ファン!」
ワイバーン型の口から火球が放たれた。
体内から溢れ出る地獄の炎を固め、シルヴィアとダリアを殺そうとする。
「ちょっと、そんなの聞いてない!」
「シルヴィアさん、離脱しましょう」
「そうね。えいっ!」
シルヴィアとダリアは直撃寸前で大剣を捨てる。
それぞれ右と左に分かれると、火球は炎の中に吸い込まれた。
壁のように燃える炎がより一層火力を増すと、酸素を吸収して激しく震えた。
「あっっ!」
「シルヴィアさん! 《レジスト・ファイア》」
シルヴィアの頬が焼けそうなほど熱くなる。
飛び散った火の粉が霞め、火傷を負わせた。
体勢を大きく崩すと、先に地上に落ちていたダリアが咄嗟に魔術を掛ける。
それでも火傷痕は残ってしまい、痛々しかった。
「《インフェルノ》に対抗するには、私も魔眼を使うしか無いんでしょうか」
ダリアは悔しかった。
魔眼を使えば、炎は魔法に変わる。
《インフェルノ》にも匹敵し、それを凌駕する魔法を唱えることもできた。
けれどそんな真似はできない。エルフの森の寿命を縮めるだけで、奥歯を噛んで苦しんだ。
「魔眼にも魔法にも頼ってはダメです。今私ができることは……コレしかありません!」
ダリアは地面に手を当てると、魔術を唱えた。
何本もの長剣を生み出すと、宙に浮かべる。
空を飛んでいるワイバーン型目掛けて、真っ直ぐ、それも確実に放った。
「《百錬の剣》。お願します!」
ダリアは百本もの剣を錬成した。
魔力を一気に消費すると、膝を地面に付く。
それでも百本あれば届く筈。数による力技を狙ったが、ワイバーン型は余裕な素振りを見せる。
グサッ! グサッグサッグサッグサッ!
何本もの剣がワイバーン型の体に突き刺さる。
何本もの剣が夜空の向こうに消えて行く。
けれど確実に入った筈の剣では、ワイバーン型は一切ビクともしない。
ましてや、刺さった剣を抜く動作すらなく、淡々と標的をダリアに定めた。
「ワイヤァ」
「効いていないんですね」
ダリアは苦い顔を浮かべた。
一つくらいは嗚咽を漏らしてくれると思った。
けれどワイバーン型には効果が薄く、ただ睨まれるだけになる。
「ですがそれでいいんです……私の役目は果たしましたよ、シルヴィアさん!」
ダリアは顔を下げ、表情を隠した。
悔しさが滲み出る……かと思いきや、ニヤッと笑みを浮かべた。
ダリアは最初から、倒せるとは思っていなかった。
否、倒せるとしても、今はシルヴィアに任せる選択をしたのだ。
「ワヤッ? ギャァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ワイバーン型は絶叫を上げた。
とぼけた様子を見せていたのも一瞬で、すぐに痛みと苦しみが襲う。
「ちょっと、暴れないでよ! このっ」
ワイバーン型の首には、一本の剣が突き刺さっていた。
ダリアが当てたもので、柄の部分からは、太いワイヤーが出ている。
その先を引き寄せるのは、上空高く飛び上がったシルヴィアだった。
「ここからは私と戦って貰うわよ。付いて来なさい!」
シルヴィアはワイヤーを持ったまま、空高く更に上昇する。
けれどワイバーン型は一切動かない。
ただ苦しんでバタついているだけで、シルヴィアは唇を曲げる。
「私の方がパワーが無いからね。それなら無理にでも引っ張ってあげるわ。主を迎えるは無なる窓。満ち足りぬ力を我に与えよ—《ストレングス》!」
シルヴィアが魔術を唱えると、全身から力が溢れる。
筋力を強化すると、シルヴィアの二の腕が分厚くなった。
女の子らしい華奢さは無いが、それでも今は充分。
ワイバーン型を引き連れると、空を目指した。
「ほら、付いて来なさい!」
「ワイヤラララァァァァァァァァァァァァァァァ」
ワイバーン型は苦しんでいた。
首が引き千切れそうになり、息もできなくなる。
魔力経路が壊れそうになるも、シルヴィアは容赦をしない。
夜空を少女が竜を連れ飛ぶ姿だけが、エルフの森に届いた。
炎に風を当てることで、強弱を変える。
そのおかげか、炎が波のようになると、シルヴィアとダリアは高度を維持する。
「それでシルヴィアさん。この後はどうしますか?」
「あー、えっと……流れで」
「流れですか! 分かりました」
シルヴィアにこの後の計画は無かった。
いつも通り適当になるも、ダリアは飲み込む。
威勢の良いハキハキとした返事をすると、ベルトのポーチの中に入っていた鉄くずを使う。
「《剣錬成》!」
ダリアは何本もの短剣を作り出す。
二本を手にし、残りは宙に浮く。
剣身に炎が灯ると、轟々と燃えていた。
「《無数の短剣》!」
ダリアが短剣に指示を出すと、ワイバーン型に向かって飛ぶ。
炎の灯った剣身は、ワイバーン型を真っ直ぐ追う。
しかし翼をはためかせるワイバーン型は、強風を起こして短剣を払い落とした。
「ええっ!?」
カタン……カタン、コトン
か細い音を立てると、短剣は地面に転がった。
先制の一撃は、簡単に終わってしまうと、ワイバーン型は吠える。
「ワイヤラララァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ワイバーン型の怒号に、耳を劈かれる。
シルヴィアとダリアはまともに喰らってしまうと、咄嗟に耳を防ぐ。
しかし頭の中がグワンとなって、軽い脳震盪を起こしかけた。
そのせいもあってか、大剣がユラユラと揺れ始め、風の微弱になってしまう。
「シルヴィアさん、このままじゃ……」
「マズいわね。体勢を戻さないと……」
シルヴィアとダリアは体幹で何とか耐えていた。
しかし所々に穴があり、ワイバーン型はそこを突く。
飾りだと思っていた翼をはためかせ、気持ち良く空を飛ぶ。
「ファン!」
ワイバーン型の口から火球が放たれた。
体内から溢れ出る地獄の炎を固め、シルヴィアとダリアを殺そうとする。
「ちょっと、そんなの聞いてない!」
「シルヴィアさん、離脱しましょう」
「そうね。えいっ!」
シルヴィアとダリアは直撃寸前で大剣を捨てる。
それぞれ右と左に分かれると、火球は炎の中に吸い込まれた。
壁のように燃える炎がより一層火力を増すと、酸素を吸収して激しく震えた。
「あっっ!」
「シルヴィアさん! 《レジスト・ファイア》」
シルヴィアの頬が焼けそうなほど熱くなる。
飛び散った火の粉が霞め、火傷を負わせた。
体勢を大きく崩すと、先に地上に落ちていたダリアが咄嗟に魔術を掛ける。
それでも火傷痕は残ってしまい、痛々しかった。
「《インフェルノ》に対抗するには、私も魔眼を使うしか無いんでしょうか」
ダリアは悔しかった。
魔眼を使えば、炎は魔法に変わる。
《インフェルノ》にも匹敵し、それを凌駕する魔法を唱えることもできた。
けれどそんな真似はできない。エルフの森の寿命を縮めるだけで、奥歯を噛んで苦しんだ。
「魔眼にも魔法にも頼ってはダメです。今私ができることは……コレしかありません!」
ダリアは地面に手を当てると、魔術を唱えた。
何本もの長剣を生み出すと、宙に浮かべる。
空を飛んでいるワイバーン型目掛けて、真っ直ぐ、それも確実に放った。
「《百錬の剣》。お願します!」
ダリアは百本もの剣を錬成した。
魔力を一気に消費すると、膝を地面に付く。
それでも百本あれば届く筈。数による力技を狙ったが、ワイバーン型は余裕な素振りを見せる。
グサッ! グサッグサッグサッグサッ!
何本もの剣がワイバーン型の体に突き刺さる。
何本もの剣が夜空の向こうに消えて行く。
けれど確実に入った筈の剣では、ワイバーン型は一切ビクともしない。
ましてや、刺さった剣を抜く動作すらなく、淡々と標的をダリアに定めた。
「ワイヤァ」
「効いていないんですね」
ダリアは苦い顔を浮かべた。
一つくらいは嗚咽を漏らしてくれると思った。
けれどワイバーン型には効果が薄く、ただ睨まれるだけになる。
「ですがそれでいいんです……私の役目は果たしましたよ、シルヴィアさん!」
ダリアは顔を下げ、表情を隠した。
悔しさが滲み出る……かと思いきや、ニヤッと笑みを浮かべた。
ダリアは最初から、倒せるとは思っていなかった。
否、倒せるとしても、今はシルヴィアに任せる選択をしたのだ。
「ワヤッ? ギャァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ワイバーン型は絶叫を上げた。
とぼけた様子を見せていたのも一瞬で、すぐに痛みと苦しみが襲う。
「ちょっと、暴れないでよ! このっ」
ワイバーン型の首には、一本の剣が突き刺さっていた。
ダリアが当てたもので、柄の部分からは、太いワイヤーが出ている。
その先を引き寄せるのは、上空高く飛び上がったシルヴィアだった。
「ここからは私と戦って貰うわよ。付いて来なさい!」
シルヴィアはワイヤーを持ったまま、空高く更に上昇する。
けれどワイバーン型は一切動かない。
ただ苦しんでバタついているだけで、シルヴィアは唇を曲げる。
「私の方がパワーが無いからね。それなら無理にでも引っ張ってあげるわ。主を迎えるは無なる窓。満ち足りぬ力を我に与えよ—《ストレングス》!」
シルヴィアが魔術を唱えると、全身から力が溢れる。
筋力を強化すると、シルヴィアの二の腕が分厚くなった。
女の子らしい華奢さは無いが、それでも今は充分。
ワイバーン型を引き連れると、空を目指した。
「ほら、付いて来なさい!」
「ワイヤラララァァァァァァァァァァァァァァァ」
ワイバーン型は苦しんでいた。
首が引き千切れそうになり、息もできなくなる。
魔力経路が壊れそうになるも、シルヴィアは容赦をしない。
夜空を少女が竜を連れ飛ぶ姿だけが、エルフの森に届いた。
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