1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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チョコレート編

595.チョコレート菓子を作ろう

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「さてと。それじゃあ作ろうか」

 ルカはキッチンに案内された。
 調理器具が幾つも用意されており、準備よくルカ以外の三人はエプロンを着けていた。

「あれ、ルカは着けないのー?」
「着けないけど。着た方がいい?」
「当り前よ。一応調理実習でしょ?」
「ここでも学校気分なんだね。まあいいよ……はい」
「「「早っ!?」」いですね」

 ルカは亜空間からエプロンを取り出す。
 一瞬で着替えてしまうと、まるで“時を止めた”みたいだった。

「それで材料は?」
「一応カカオ? と市販品を買ってきてもらったわ」

 シルヴィアは自信無さげに答える。
 冷蔵庫と言う食べ物を冷やす魔道具の中から、材料を取り出した。

 牛乳を始め、チョコレート作りに欠かせないものばかり。
 その中でも今回用意したチョコレートは二つ。本物のカカオ豆(品質Cくらい)と市販品のチョコレート(高級品)を並べた。

「まあ妥当だよね。市販品を溶かして型に流し込むのが、一番簡単だから」
「えー、それってチョコレート作りになるのー?」
「ライ、貴女今たくさんの人を敵に回したわよ」
「ん?」

 ライラックは自分の発言の意味が分かっていなかった。
 首を捻ってしまうと、シルヴィアは腰に手を当てる。
 流石に市販品を溶かすのは芸が無い。

「とりあえず作りたいけど、市販品を使うのは味気ないわね」
「そ、そうですよね。私も作るからにはカカオから作りたいです」

 シルヴィアの提案にダリアは乗っかる。
 とは言え問題はここからだ。
 テーブルの上に並んだカカオ豆に目をやった。

「それじゃあどうするの?」
「今から買ってくる? それともこれ潰す?」
「潰す……しかないわよね。ちょっとダリア、物騒な大剣を持ってこないで」
「えっ、ですがこれが一番早くて」
「一国の姫様がそんなこと言わないの!」

 シルヴィア達は予定が崩れる。こうなったら、用意したカカオを使うしかない。
 けれど何故か大剣を持ち出し、パワープレイで潰そうとするダリアを止める。
 始める前から雑な展開が繰り広げられる中、ルカが一石を投じた。
 
「そう思って持って来たよ」

 ルカは亜空間の中から材料を取り出す。
 テーブルの上に置くと、本物のカカオ豆(天然物品質Aくらい)を取り出す。
 予め粉末状にしており、溶かせば簡単に使える。下処理を完璧にこなすと、シルヴィア達の作業をかなり省いた。

「凄っ、これ全部ルカが?」
「まあね。さてと、始めようか」

 ルカはチョコレート作りを始める。
 まずは粉状にしたカカオをペーストにする。

「それじゃあまずはペースト作りから。シルヴィ、やり方は分かるよね?」
「もちろんよ。ルカが粉状にしてくれたおかげで、面倒な力作業はやらなくていいものね」

 ルカが潰したカカオ豆は微粒子サイズに細かくしてある。
 そのおかげで下手なことをしなくても、滑らかで口当たりがサッパリしたチョコレートになる。
 おまけにここにはいい材料が揃っている。ルカが手解きをしなくても、容易く完成しそうだ。

「ペーストですか?」
「そう。ブラックにしたくないなら、このまま牛乳を使ってぬるま湯を使って少しずつ流動形にしていく。そうすれば後は型に注いで、冷やせば完成だよ」
「へぇー、意外に簡単だねー」

 ライラックが相槌を打った。
 ルカの説明は大まかな部分を省き、ある程度簡潔な説明に留めている。
 それでも大事なポイントは押さえているので、シルヴィア達も感嘆としてくれた。

「チョコレート作りは奥が深いよ。でも私達は一介の学生だ。そこまで凝ったものを作る必要は無い。楽しくやろう、料理は楽しいものだからね」
「ルカ、ちゃんといいこと言うのね」
「そうそう。いっつも無茶なこと言うのねにねー」
「そうかな?」
「「そうよ!」だよ~」

 中々に厳しいことを言われてしまった。
 ルカは畏まった表情になり、眉根を寄せてしまう。
 正直そんな立場が悪く話しをしないで欲しいと内心思うが、当に遅かったらしい。
 ビシバシと感じる強い殺気がより一層鋭くなり、首筋にナイフの切っ先が触れる。

(監視されてるな。まあ、リューラの警戒範囲にヒットしただけだろうけど)

 リューラの姿は周囲には無く、ましてやルカから逃れることは不可能。
 恐らく何らかの魔術か、経験則で研ぎ澄まされた聴力でシルヴィア達の言葉を察知。
 自然と狂気じみた殺気を当事者にだけ送りつけ、威圧的な態度で喉を潰す。
 まさに暗殺向きな魔術師特有の能力だった。

「まあいっか。さてと……」

 ルカは亜空間の中から大量の贖罪を更に取り出す。
 今回はケーキの材料のようで、ダリアは興味津々だ。

「ルカさんはなにを作られるんですか?」
「ちょっとケーキを作ろうかなって」
「ケーキ!? また大掛かりなものを作るわね」
「そうかな?」
「そうよ。それにしても、ルカが料理できるって毎回意外ね。本当に釈然としないわ」

 ルカはケーキを作ろうとしただけで、ダリアとシルヴィアの視線を集めていた。
 けれど料理が得意なことが意外なのか、シルヴィアは納得がいかないらしい。
 
「別に得意って訳じゃないよ。ただ、料理をしないといけないだけ」
「どうしてよ?」
「せっかく食べるなら、美味しく食べたいからね」

 千年前を知っていれば、どうせなら美味しく食べたい。
 食事を摂れること。当たり前のような日々がありがたく感じる。
 ただそれを実感したいだけ、そうしてセレナに怒られないようにしたい。ルカの手は喋りながらではあったが、素早く材料に手を掛けていた。
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