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第20章
戦い終わって
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「それでは、また。」
「有難う御座いました。」
手塚とミカエルナインは校門まで見送りに来た久里・小川・林に礼を述べると、習志野高校を後にした
「驚きましたね。まだ、県内にこんな高校があったなんて。」
ミカエルナインを見送りながら小川が口を開いた。
「そうだな。」
久里は短く答える。
「今日の事は良い教訓だ。格下に思える相手でも油断すると足元を掬われるという事だ。今日が夏の予選だったら危なかった。」
「そんな、確かに2軍はやられましたけど、1軍は終始、押し気味だったですよ。」
今日の失態を認めたくない林は久里に反論した。
「だが、0-1で負けた。野球というのは必ずしも強い方が勝つとは限らないスポーツだ。向こうがクレバーだった。」
「でも、9回までやってたら負けることはなかったですよ。」
「確かにな。でも、2軍が取られた9点を取り返せる程、甘いピッチャーじゃなかった。夏の予選で戦力を温存して、9点取られていたら敗色は濃厚だ。」
林はミカエルを認めたくなかったが、久里はある程度の評価をしていた。それはエースの小川もである。
「ミカエルと言いましたか?向こうの高校は、林さん?」
「何か・・・・・ミカエル青春学園って云うらしいです。ふざけた名前ですね。」
「ミカエル学園で良いだろうに。何で青春って付けますかね。」
小川は笑う。
「分からん。名前からして只者ではない連中だった訳だ。」
久里も笑った。
「バッターも何って言いましたっけ?不破さんでしたっけ?あの人以外にもタレントが揃ってましたね。女も居ましたし。」
「ピッチャーの越前とか言ったか?彼もなかなかのピッチャーだ。低めのカットボールに、スプリットかチェンジアップか何か良く分からない球を投げていた。」
小川も久里もミカエルに対しての警戒を露わにした。
「出来ればもっと向こうのデータが欲しかったな。」
「逃げたんですよ。こちらがわざわざ向こうまで出向くって言ったのに、再戦を断ったのはビビってるんです。」
「それは違うな。」
林の否定的な意見に、久里は同調しなかった。
「向こうはこちらがデータを欲しがってるのを分かった上で、試合を断っているんだ。それは手の打ちを晒さない様にする為。本気で夏の予選、うちを叩きに来るつもりだ。」
「・・・・・・・。」
林はミカエルが再選を断った真の理由を突き付けられ戦慄した。無名の高校がそこまで考えているとは考えもしなかった。
「心配ないですよ、林さん。」
小川は林の背中を笑いながら擦る。
「こちらもまだ向こうに奥の手は見せていない。お互い様です。が、チームとして底力があるのはこちら。夏の大会で戦ったとしても負けはしませんよ。」
「有難う御座いました。」
手塚とミカエルナインは校門まで見送りに来た久里・小川・林に礼を述べると、習志野高校を後にした
「驚きましたね。まだ、県内にこんな高校があったなんて。」
ミカエルナインを見送りながら小川が口を開いた。
「そうだな。」
久里は短く答える。
「今日の事は良い教訓だ。格下に思える相手でも油断すると足元を掬われるという事だ。今日が夏の予選だったら危なかった。」
「そんな、確かに2軍はやられましたけど、1軍は終始、押し気味だったですよ。」
今日の失態を認めたくない林は久里に反論した。
「だが、0-1で負けた。野球というのは必ずしも強い方が勝つとは限らないスポーツだ。向こうがクレバーだった。」
「でも、9回までやってたら負けることはなかったですよ。」
「確かにな。でも、2軍が取られた9点を取り返せる程、甘いピッチャーじゃなかった。夏の予選で戦力を温存して、9点取られていたら敗色は濃厚だ。」
林はミカエルを認めたくなかったが、久里はある程度の評価をしていた。それはエースの小川もである。
「ミカエルと言いましたか?向こうの高校は、林さん?」
「何か・・・・・ミカエル青春学園って云うらしいです。ふざけた名前ですね。」
「ミカエル学園で良いだろうに。何で青春って付けますかね。」
小川は笑う。
「分からん。名前からして只者ではない連中だった訳だ。」
久里も笑った。
「バッターも何って言いましたっけ?不破さんでしたっけ?あの人以外にもタレントが揃ってましたね。女も居ましたし。」
「ピッチャーの越前とか言ったか?彼もなかなかのピッチャーだ。低めのカットボールに、スプリットかチェンジアップか何か良く分からない球を投げていた。」
小川も久里もミカエルに対しての警戒を露わにした。
「出来ればもっと向こうのデータが欲しかったな。」
「逃げたんですよ。こちらがわざわざ向こうまで出向くって言ったのに、再戦を断ったのはビビってるんです。」
「それは違うな。」
林の否定的な意見に、久里は同調しなかった。
「向こうはこちらがデータを欲しがってるのを分かった上で、試合を断っているんだ。それは手の打ちを晒さない様にする為。本気で夏の予選、うちを叩きに来るつもりだ。」
「・・・・・・・。」
林はミカエルが再選を断った真の理由を突き付けられ戦慄した。無名の高校がそこまで考えているとは考えもしなかった。
「心配ないですよ、林さん。」
小川は林の背中を笑いながら擦る。
「こちらもまだ向こうに奥の手は見せていない。お互い様です。が、チームとして底力があるのはこちら。夏の大会で戦ったとしても負けはしませんよ。」
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