野球の王子様4 孤独な猫殺し

軽部雄二

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第45章

女子トイレの中(完)

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「みんな、今日から一年の門松がボクシング部に入部する事になった。仲良くしてやってくれ。」
「門松巧大です。宜しくお願いします。」
 門松が大きな声で挨拶するのを見届けて、咲良、手塚、越前、愛菜はボクシング部の部室を後にした。
「もう心配ないだろう。後は真壁が上手くやってくれるさ。」
「だね。」
 手塚の言葉に咲良も同意した。
「あいつがボクシングやりたいなんて意外っすね。」
「愛菜もそう思います。どう考えてもゲーム研究会とか鉄道同好会とかの方が向いてるんじゃないですか?」
 越前と愛菜は門松にボクシングが出来るのか半信半疑だ。
「向いてるのとやりたいものが必ずしも一致するとは限らないさ。本人がやりたいものをやれば後悔が残らない。」
 手塚は門松の選択に一定の理解を示す。
「きっと大丈夫だよ。真壁君も付いてくれてるんだし。」
 咲良は門松の更生を信じていた。一度失敗しても、やり直すチャンスは誰にでもあるのだから。
「これで万事解決ですね。愛菜も早く習志野との練習試合の動画を編集しないと。」
「しっかりとしたのを作ってね。習志野に勝ったって言っても、誰も信じてくれないんだから。」
「任せて下さいって!」
 愛菜の横で浮かない顔なのが越前だ。
「ちょっと待って下さい。まだ、分からないことがあるんすっけど。」
「何が?」
「門松が芦田に猫や兎を落とした時に、直ぐに校舎を包囲しましたけど、あいつは煙の様に姿を消しましたよね。どうやって逃げてたんですか?」
「ああ、それね。」
 咲良と手塚は顔を見合いながら、苦笑いする。
「何すか?」
「門松は逃げて居なくなったわけではなく。ずっと校舎の中に隠れていたんだそうだ。」
「隠れていた?いや、全部探しましたけど。」
「女子トイレの中を探したか?」
「・・・・・女子トイレ?」
「そこに隠れていたそうだ。俺達は男だから女子トイレには入らなかった。マネージャー達は捜索には加わらなかった。その盲点を突かれたという訳だ。」
「・・・・なんだ。逃げた訳じゃなかったんすね。まさか女子トイレに居ただなんて・・・・。」
「門松、変態なんだけど・・・・。」
 越前と愛菜は呆れたように言った。
「もう、今後は女子トイレには侵入しないと門松は約束した。今後は大丈夫だ。」
「まさか、使用済みのナプキンを集めるのが趣味って訳じゃないですよね。門松は?」
「何て事を言うの、愛菜ちゃん。」
「だって・・・そうじゃないですか。」
 咲良と愛菜の掛け合いを、手塚と越前は気まずい思いで聞いていた。

                          (完 5に続く)
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