失踪14年 美月の帰還

軽部雄二

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第98章

秋元真夏の十面埋伏 ②

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「では、3年前に生きていた美月さんは、2年ちょっと前に何が原因で亡くなったんでしょうか?」
「・・・・・・・。」
 死んだ原因?それも設定を決めていなかった。何が原因で死んだのかを今、決めなければならない。
「・・・・・病死です。」
「病死?何の病気ですか?」
 真夏という議員秘書の女は根掘り葉掘り質問してくる。後ろ暗い所のあるひとみは、幾分苛立ちながらも、墓穴を掘らないよう慎重に答えを選んだ。
「よく分かりません。」
「分からない?どういう事ですか?」
「熱が出て、衰弱してゆく病気です。北では医療の水準が低く、何の病名か分からなかったんです。」
「・・・・・そうですか。それが原因で2年ちょっと前に亡くなったと。」
「はい。」
「間違いなく?」
「そう言ってるじゃないですか。何故、しつこく聞くんですか?」
「済みません。職業柄、細かい事が気になりますもので・・・・・。」
 真夏は申し訳なさそうに頭を下げ、笑顔を見せたが、目は笑っていない。ひとみは得体の知れない胸騒ぎを覚えた。
「では、質問を変えます。お母さんのみよしさんは何年前に何が原因で亡くなったのですか?」
 これは本当に拙い。ボロが出るかもしれない。ひとみは対談を打ち切る事にした。
「何なんですか?美月さんの事を聞きたいというから答えているのに、私の母の事はあなた達には関係ないじゃないですか。」
「関係あるかも知れないんです。」
「ないわ。しつこく尋問して。不愉快だわ。もうお帰り下さい。」
「DNA鑑定の結果が出ました。」
「はっ?」
「あなたが美月さんの遺骨と言って持ち帰った骨片のDNA鑑定の結果が出ました。」
「う、嘘よ。出る訳ないわ。」
「何故、そう思うんですか?骨は焼いてある上に砕いてあるので、鑑定は不可能と北で言われたんじゃないですか?」
「・・・・・・・。」
「ひとみさん。朝鮮と日本では科学技術に雲泥の違いがあるの。北ではDNA鑑定出来ないものでも、日本の技術を使えば鑑定は可能よ。」
「・・・・・・・。」
「鑑定の結果、骨片5個からDNAを採取出来ました。4個から同一のDNA。別の1つからもDNA。あの遺骨は少なくとも2人の遺骨が合わさったモノ。美月さんの遺骨なのに可笑しくないですか?」
「・・・・・・・。」
「検出された2人分のDNAは滋さんとも早紀江さんとも血縁関係がなかった。どういう事か分かりますか?」
「・・・・・・・。」
「あの骨は美月さんの骨じゃないんです。別人の骨が2人分合わさったモノよ。」
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