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第106章
求めるのは拉致被害者全員の帰国
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山下美月帰国会見。
美月は会見で帰国に尽力した両親や秋元真夏、政府関係者に謝意を表した。北での暮らしや拉致された時の状況などをひとしきり説明した後、曽我部ひとみの母・みよしやその他の拉致被害者らは自らの意思で北朝鮮での生活を望んでいると説明し、皆を困惑させた・・・・・。
「美月さんは何故、あのような出鱈目を言うのでしょうか?・・・・・。」
会見後、美月の居ない時を見計らって、真夏はこっそり早紀江と滋に語った。
「・・・・・。分からないわ。長い間、北に居たから洗脳されてしまったのかも・・・・・。」
ひとみの証言からみよしもその他の拉致被害者も生きている。厳しい監視の中で息を詰めて望郷の思いに涙している事は明白なのに、皆、自分の意思で北朝鮮に残っている等と美月は言うのだ。
「ひとみさんも北朝鮮の脅迫を受けていました。美月さんも同じような脅迫を受けているのでは?」
「でも、ひとみさんと美月では立場が違うでしょう?ひとみさんは親子で拉致され、お母さんを人質に取られていた。美月は単身拉致され、北朝鮮に取られる人質もいない。日本に帰ってくれば自由の身。北に怯える必要もないわ。」
確かに北では監視され色々な制約を受けていただろう。だが、もうそんな事を気にする必要もない。美月には北に残されている拉致被害者について知っている事を話して貰いたいのだが・・・・・。
「・・・・・これから、どうしますか?美月さんの言う事を鵜呑みにして、これで拉致被害者の問題は解決したとは出来ません。」
「・・・・・・・。」
正義感の強い真夏はあくまで拉致被害者の全員帰国を求めていくべきだという考えだが、早紀江は美月が帰ってくれば後は、もう手を引いても良いんじゃないかという邪な考えが頭を擡げる。だが、滋の考えは一貫していた。
「勿論。真夏さんの言う通り。美月だけでなく、全ての拉致被害者が帰って来るまで、北への圧力は弱めるべきでない。とくに曽我部さんのお母さんは高齢な訳で、何としても生きている内に奪還しないと。ひとみさんとの約束が果たせない。」
「・・・・・・・。」
早紀江は夫の滋のあくまで全員の帰国を求めるという姿勢に、自らの自分本位の浅ましい考えを恥じた。自分の家族だけ良ければ後は関係ないという考えでは駄目なのだ。拉致被害者一人一人に帰国を待っている家族がいて、それぞれが居ても立ってもいられない悲嘆の中にいるというのは、全て自分らが経験して味わって来た事ではないか。一人残らず奪還するまで戦うのだ。
美月は会見で帰国に尽力した両親や秋元真夏、政府関係者に謝意を表した。北での暮らしや拉致された時の状況などをひとしきり説明した後、曽我部ひとみの母・みよしやその他の拉致被害者らは自らの意思で北朝鮮での生活を望んでいると説明し、皆を困惑させた・・・・・。
「美月さんは何故、あのような出鱈目を言うのでしょうか?・・・・・。」
会見後、美月の居ない時を見計らって、真夏はこっそり早紀江と滋に語った。
「・・・・・。分からないわ。長い間、北に居たから洗脳されてしまったのかも・・・・・。」
ひとみの証言からみよしもその他の拉致被害者も生きている。厳しい監視の中で息を詰めて望郷の思いに涙している事は明白なのに、皆、自分の意思で北朝鮮に残っている等と美月は言うのだ。
「ひとみさんも北朝鮮の脅迫を受けていました。美月さんも同じような脅迫を受けているのでは?」
「でも、ひとみさんと美月では立場が違うでしょう?ひとみさんは親子で拉致され、お母さんを人質に取られていた。美月は単身拉致され、北朝鮮に取られる人質もいない。日本に帰ってくれば自由の身。北に怯える必要もないわ。」
確かに北では監視され色々な制約を受けていただろう。だが、もうそんな事を気にする必要もない。美月には北に残されている拉致被害者について知っている事を話して貰いたいのだが・・・・・。
「・・・・・これから、どうしますか?美月さんの言う事を鵜呑みにして、これで拉致被害者の問題は解決したとは出来ません。」
「・・・・・・・。」
正義感の強い真夏はあくまで拉致被害者の全員帰国を求めていくべきだという考えだが、早紀江は美月が帰ってくれば後は、もう手を引いても良いんじゃないかという邪な考えが頭を擡げる。だが、滋の考えは一貫していた。
「勿論。真夏さんの言う通り。美月だけでなく、全ての拉致被害者が帰って来るまで、北への圧力は弱めるべきでない。とくに曽我部さんのお母さんは高齢な訳で、何としても生きている内に奪還しないと。ひとみさんとの約束が果たせない。」
「・・・・・・・。」
早紀江は夫の滋のあくまで全員の帰国を求めるという姿勢に、自らの自分本位の浅ましい考えを恥じた。自分の家族だけ良ければ後は関係ないという考えでは駄目なのだ。拉致被害者一人一人に帰国を待っている家族がいて、それぞれが居ても立ってもいられない悲嘆の中にいるというのは、全て自分らが経験して味わって来た事ではないか。一人残らず奪還するまで戦うのだ。
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