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28.入った気がする

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 ピーピーと耳元でツバメの鳴く声に起きてからふと思った。

 ツバメなんてどこにいるんだ?

 俺はまだ赤ちゃんで外に居るはずもなく、窓の外にツバメがいたとしても鳴き声が聞こえてくるはずはないんだけどな。

〉おっ、起きたか
〉親が帰ってきたぞ
〉一緒に出かけていたみたいだし、夫婦仲は良好なのかしら?
〉仮面夫婦かもよ
〉息子への対応がこんなんだしな

 リスナー達のコメントを見てあ~と思う。

 そういえば親が帰ってきたらイヤホンにアラームが鳴るようにしたんだったな。まさかアラーム音がツバメの鳴き声だとは思わなかったけど。

 そのことを思い出したので早速俺もコンタクト型のモニターに映像を映すと、親達が玄関に入っていく様子が見えた。
 なので、ツバメをドローンに切り替えて親達を追う。

「ジルベイル。食事の支度は出来ているな?」
「はい」
「では、食事にするので子供達を呼んでこい」
「かしこまりました」

 親達に軽く一礼したメイド達が二人の子供を呼びにいった。

 それからは親達は執事に子供達の様子を聞くわけでもなく食堂に入り、自分達の席に座るとワインらしき物を飲み始めた。

〉家に帰ってきて子供の様子すら聞かずにワインを飲み始める
〉これで一家団欒な食卓が始まると思うか?
〉無言か威圧尋問が始まりそうだな
〉笑顔が一切なさそう
〉恐怖の食卓でしかねー!

《やっぱり今後の行動計画のトップは家出だな》

〉こっちはこっちでスゴい事言い出してて草
〉赤ちゃんの家出計画ってwww
〉赤ちゃんの家出計画というパワーワード
〉色々異常すぎる一家www
〉レインがその異常一家の筆頭になってるwww

《誰が異常一家の筆頭だ!》

〉赤ちゃんの時点で家出を考えてるヤツが異常じゃないほうが異常www
〉これが異常じゃなくてなんというwww

 扉が開いてシャーズとギングズが入ってきた。

『おかえりなさい、父上、母上』
「ただいま。座りなさい。食事にしよう」

 子供達の顔を見て親達は笑顔にはなったのだけど、先程までの様子を見ていたのでなんとも違和感のある光景だ。

「シャーズ。剣の練習は順調か?」
「はい!今日もガイアス相手に勝てそうなところまでいきました!」

〉そうだったか?
〉いや。簡単にあしらわれてたぞ
〉スゲー見栄を張ってるwww

「そうか。その調子で剣の練習を頑張るといい」
「はい!」

 子供のことを知ろうとしないからあっさりと頷くか。

「シャーズは五日後に鑑定の儀があるが、準備は順調か?」
「はい。魔術師の素質が僕にあることを父上と母上にお見せできます」

〉気持ちいいくらいに言い切ったな
〉上げて落とすテッパンパターンに入った気がするのは俺だけか?
〉大丈夫よ。みんな思ったわ
〉だよな

「そうか。期待してるぞ」
『はい』

 子供達の答えにさらに笑顔になる親達だが………。

〉子供達のことを執事に聞かずに直接子供達から聞くのはいいことなんだろうけど………
〉なんか違和感
〉親の笑顔が嘘くせー
〉気持ち悪い一家団欒の食卓見せられてる
〉仮面家族みたいだな
〉やっぱり最低の食卓になってるね
〉あぁ

 その後はとくに話したりすることはなく、黙々と食事をする風景が流れた。

〉無言の食卓
〉テレビとか無いから仕方ないのか?
〉仕方ないかもしれないけど、もう少し会話とかあってもいいんじゃね?
〉さっきの嘘くさい笑顔のあとだから余計に気持ち悪い光景

《いつかは俺もこの食卓でご飯を食べないといけないと思うとホントに憂鬱なんだが》

〉ぷぷぷwww
〉乙www
〉ドンマイwww
〉頑張れwww
〉応援してるぞwww

《はぁ~》

 イヤな光景を見せられて内心ため息しか出なかった。

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神「見事に似たもの親子だな」
天使「四人ともサイテーですね。作者と同じくらい」
神「えっ?俺ってあの四人と同じレベルだというのか?」
天使「同じどころかそれ以上の可能性もあるわね」
神「以上………だと………」
天使「なんでそんなに驚くのですか?」
神「いやいや!そもそも俺がサイテーなわけないだろ!」
天使「サイテーです」
神「俺はサイテーじゃねー!」
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