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65.壁にめり込む

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「そうですね」

 イメージで浮いているので、いざ「どうすれば空を飛べるのか」と聞かれると答えに困るわけだが、すぐに思いついた方法としては、

「空を飛ぶ方法として思いつくのは三つですかね」

〉三つもあるのか?
〉そんなに思いつくか?
〉なにがある?
〉俺は思いつかねぇ
〉私も思いつかないわね

「三つもか」
「どんな方法なのかしら?」

 曾祖父さんは驚き曾祖母さんは興味津々だった。

「一つ目は風を纏う方法です」
「風を纏う、だと?」
「どういうことなの?」

〉ちょっと何言ってるかわからないな
〉俺は理解出来るぞ
〉解ることはわかるけど、それって失敗しやすい方法じゃないの?
〉そういえばそうだな
〉漫画なんかで風魔法を使って空を飛ぼうとすると大概吹っ飛んで壁にめり込むよな

 確かに漫画なんかではよくあるパターンだが、今は飛ぶわけじゃないので説明を続ける。

「例えばですが」

 俺は机の上にあったコップの周りに薄い風の膜を纏わせると浮き上がらせた。

「おぉ!」
「浮いたわね」
「コップに触ってみてください」

 俺の言葉でみんなが順番にコップに触った。

「これは」
「確かに風を感じますね」
「風に守られている感じですか」
「不思議な感じですね」
「こんな魔法の使い方があるんですね」

〉見てるだけじゃわかんねーな
〉流石に風は見えねーからな
〉風を感じれたら俺も飛べるかな?
〉いやいやムリだろ
〉ちょっと風を感じるためにバンジー行ってくる
〉じゃあ俺はスカイダイビングやってやるぜ!
〉高さで対抗し始めるヤツいて草
〉確かに風は感じれるけどwww

《ついでに恐怖も感じることになるぞ》

〉しかもどちらも飛ぶじゃなくて飛び降りるだからなwww
〉それで風を感じても意味ないぞwww
〉それでも俺は飛ぶぞー!
〉行くぞ!
〉あっ行っちまった………
〉ただいま!
〉あっ帰ってきた
〉どうだった?
〉ギブしてきた!
〉俺高所恐怖症だった!
〉そんな堂々ということか?
〉高所恐怖症を忘れるってwww
〉バカが二人居たよwww
〉無駄足乙www
〉なにしてるんだか

《ホントになにがしたかったんだよ》

〉もちろん飛びたかったんだよ!
〉風を感じたかったんだよ!
〉飛べもせずに風も感じれなかったヤツがなに言ってるんだよwww
〉飛んでから出直してきな

《そうしてくれ》

 俺はコップを机に着地させて魔法を解いた。

「このように風を纏うことによって飛ぶことは可能だと思います」

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天使「というわけで、作者に代わりにバンジーを飛んでもらいましょう」
神「えっ?なに!?なんでもう準備万端なの!?」
天使「しっかり飛んで風を感じてくださいね」
神「いや!俺は風を感じたいとか言ってねーから!」
天使「では3秒前から!」
神「いや!おかしいだろ!」
天使「3!2!1!バンジー!」
神「ムリムリムリ!」
天使「飛べ!」
神「グハッ!ギャーーーーーー!」
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