ルイヨウ

小屋瀬 千風

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僕の学校

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「ううっ………」
ドッ    「いった、うーっわ、マジで痛いんだけど。」
僕は羽柴 瑠衣(はしば るい)、中学三年生のごくごく普通の学生だ。中三と言っても、今は春。
中三になったばかりであまり実感がない。
「うっわ、やべ、寝坊した…」


「おはようございます………」小さな声で言う。
僕の通うこの、中高一貫朝日陽立男子中学校 (あさひようりつだんしちゅうがっこう)、通称朝立中(あさりつちゅう)は、普通の男子校だ。
男子専用の中学校は、ここ最近増えてきていて、今では当たり前になっている。
普通の学校と言っても、この学校はほかの学校よりも技術が進んでいる……らしい。
実感がない。
この学校に来て、もう二年。さすがに慣れた。

「ふぅ、なんとか間に合った…」三年二組のドアをくぐる。息が上がるも、なんとか教室に着いた。チャイムがなる、十五分前の事だった。
「結構大丈夫そうだったな。」

「………………………」
僕には友達がいない。というか、人と話すことに慣れていない。だから一、二年の時もずっと一人だった。

そんな時だった。
「うわぁ、やめてよぉ、」僕と同じ、いわゆる陰キャの楠木さんが、クラスの陽キャどもにいじめられている。僕はそれを見ていることしか出来なかった。
どんどんいじめがやばくなっていき、とうとう陽キャどものリーダーが、楠木さんに殴りかかろうとした時だった。

ピンポンパンポーン

チャイムがなった。

陽キャどもが手を止めた。そいつらのリーダーもだ。

めずらしい。
チャイムが鳴った。

僕が通うこの学校はほかの学校よりも技術が進んでいる。だから朝会や授業前の連絡は全て、学校から渡されたパソコンで行われている。
入学してからずっと、こんなことは初めてだ。
クラス中がザワザワしはじめた。

「皆さんにお知らせします、この学校が何者かによって、ハッキングされました。皆さん、今すぐ自分のパソコンのデータを今から言うパスワードの所に移してください!」

それは校長の声だった。酷く焦っている。
っていうか、は?データを移す?今すぐ?
そこまでしなくてもいいんじゃないかとも思ったが、この学校のほとんど、いや、全員がパソコンを持っている。入学と同時に買わされるのだ。だから卒業後もずっと同じのを使える。
しかし、だからこそ一つ一つのパソコンには、その持ち主の個人情報が多く入っている。

(先生は………まだ教室に来てない!こんな時に限ってなんで!

……移すといっても、すぐだと思うし、しょうがないか……)
僕は校長の指示に従った。

3...621…62…5……
パスワードは長かったが、自分の安全のためだ。

その時、
エラー発生、エラー発生
みんなの画面が暗くなった。
ハッキングされたんだ。

あれ?なんで僕は平気なんだ?パスワードはまだ打ち終えてないのに、

トットットットッ、走ってくる足音が聞こえた。

「先生だ!」
そう思ったのもつかの間、三年二組のドアに立っていたのは、知らない男だった。
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