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かくれんぼ

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 僕達はかくれんぼをする事になった。やる仲間は皆最近出会ったばかりの奴らで知り合いはいない。知り合ってもすぐに別れてしまう事が殆どで、僕自身も引っ越しが多いというよりほぼ毎日引っ越しを繰り返していた。
 僕はすぐにへたってしまう体で、周りは頑丈な奴が多くがちゃがちゃとうるさいけど、立場的には僕が一番上で、リーダー的存在である。とはいえ、かくれんぼは僕が、僕達が提案したわけではなく、僕を従える上の立場の奴の命令でする事になった。そこに僕達の意志はない。
 僕達は上の指示に従いそれぞれグループ毎に分かれ暗い部屋の更に奥の場所に隠れた。
 どれぐらいの時間が経ったのだろうか。もしかして二百年ぐらい経ったのかもしれない。年は確かにとったが僕達のグループの価値はもしかして見つけられた時、上がっているかもしれない。
 そう思うと少し嬉しくなった。
 そして、ある日、突然光が僕達がいる場所に差し込んで来た。僕はとても嬉しくなった。ようやく見つけてくれたんだね。
「あっ、こんな所に古い時代の札束が……凄い。誰のへそくりだろうか!?」
 人間の手に取られた一万円の僕は新たなご主人を見て、新たな旅の始まりの予感に胸を膨らませるのであった。
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