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寛容観葉

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 最新技術で機械と融合させた植物は会話を出来るようになった。
 感情を読み取り、それを言葉に変換する。
 今や植物が話す時代だ。
 俺は話す観葉植物を買った。
 しかしいざ部屋に置いているとちょっと不気味に感じられ、話しかける事はほとんどなかったのだが、ある日の夏の猛暑日、家に帰って来ると観葉植物が枯れかかっていた。水やりを最近サボっていて忘れてしまっていたのだ。
「ごめん。すぐに水をやるから」
「ええんやで。急がんで」
 関西弁? だった。あれっこんなキャラだったっけ。聞いてみた。「君性格変わった?」
「いやあ、せっかくこの家に住まわしてもろてるのにわしもつまらん観葉植物だったと思うてな」
 観葉植物が自己反省の弁を述べていた。
「これからは仲良くしようや」
「は、はい」
 観葉植物に敬語になってしまった。
「タメ語でええんやで」
「今から水持って来るからね。今にも枯れそうだから」
「せやな。頼むで」
 僕は観葉植物に水をあげた。
「プハー!! 生き返るわ」
 観葉植物も喉が(幹が?)乾いて水を飲む時はプハーなのかとちょっとだけ笑った。
「ごめんね。水やり忘れていて」
「かまへん、かまへん。失敗は誰にでもある。だから気にせんとどんどん二酸化炭素を吐き出しや。わしが吸収しちゃるさかい」
 僕の家にやってきたのは寛容な観葉植物だった。
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