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イカすスイカ

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 イカススイカと言われてもピンと来なかった。それを目にした時驚いた。
 スイカが四角かったのだ。それは枠の中に入れて育てたスイカで首長族がクビに輪をはめて首を長くするのと同じ考えなのか、枠の中に収めることで四角い個性的なスイカが出来上がったのだ。スイカの気持ちは分からない。もしかして嫌なのかもしれない。しかし結果的に見た目の話になってしまうが個性的なスイカが出来た。それがイカスかどうかは別にしてだ。下町の八百屋で「イカススイカだよ」との掛け声で目をとめた俺は、考えさせられるものがあった。トマトでも水分をあまり与えずストレスをかける事で甘みが増すというのを聞いた事がある。しかし、それはトマトだから出来る事で人間に置き換える事で、上手く行くかどうかはそう簡単に上手く行くかと言われれば分からない。そこが人間を育てる事のむずかしさかもしれない。愛情を持って相手が潰れない様にバランスよく育てる難しさはトマトの非ではないだろう。人それぞれストレスの感じ方は違うので全員に同じやり方をしても上手く行くとは限らない。良い指導者というのはそこらへんのバランスが上手いのだろう。強豪校などは自分から覚悟の上で入ったりするから上手く行きやすいという本人の意思の問題もあるだろうが。とかスイカを眺めた事でふとそんな事を考えてしまった俺であった。
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