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勤続金属

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 人間には定年があるように金属にも金属疲労による終わりがある。それは人間で言うところの定年である。
 長らく工場の機械の一部として働いて来た金属は、金属疲労による交換時期を迎えようとしていた。
 いよいよか。
 金属は懐かしさと共に、この工場に来た時の事を思い出した。
 色々な人間がいた。機械に八つ当たりする人間。大事にする人間。あっと言う間の数十年だった。
 だが悲しむ事はない。人間に輪廻転生があるように、金属にはリサイクルがあるのだから。
 次はどんな機械の一部に生まれ変わるのだろうか。
 金属はそんな事を思いながら、工場内で眠りについた。
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