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桜兄弟

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 私達は母なる桜から生まれた桜の花びら。
 今は満開で兄弟はたくさんいる。しかし後、一週間もすれば兄弟みな散り散りである。
 風に吹かれそれぞれ旅立つ、と同時にそれは人生の終わりでもある。何の為にこうして生まれたのかは分からない。
 兄弟達と喋る事は出来ないが、同じ母なる木の一部である私達は通じるものがある。
 明日は雨が降るそうだ。明日には私はもうここにいないかもしれない。
 哀しい運命ではあるが、人々の心に一つでも灯りを僅かでも灯すことが出来たのなら、悪くない運命だったと思う。
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