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まだゆっくりする時間がある事が分かった。

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「俺達も早く行かないと」
 魔男が言う。
「どうして?」
「どうしても何も、先にクラーケンを退治させられてしまうぞ」
「そうなの?」
「そうなのって、そう名乗っていたじゃないか」
「まあ、問題はなさそうね。だってあの海賊帰る時ステータス確認したから」
「で、どうだった?」
「何か、かなづちみたい」
「泳げない海賊か。だが、船の上からでも倒す方法はあるはずだ」
「大丈夫、予知魔法も使ってみたから。クラーケンはあの男に倒されないって」
「そうなのか」
「うん。で、あの男が死ぬ事はないけど倒す事もないらしいわ」
「へえ、じゃあ別に急ぐ必要はないんだな」
「そうね」
「なんだか俺達の旅、何だかんだでゆったりしているよな」
「まあ、でもその方が良いんじゃない? 医院に行くように急ぐより、委員に行くように緊張するよりも」
「そうだな。まあ適度な緊張感もあるしな」
「そうでしょ。あっ、禁鳥今呼び出してみる?」
「呼び出せるのか?」
「まあね。私はあのダンジョンを攻略してダンジョンマスターになったからね」
「是非呼び出して欲しい物だな」
「分かったわ」
「禁鳥! カモン」
 魔女は家紋を掲げてそう言った。
 すると、禁鳥が空から飛んで来た。
「えっ、来るの早すぎない?」
「まあ、実は禁鳥、私呼んでいたのよね。既に。でも禁鳥、緊張していたっぽかったからあえて、近くまでは呼ばなかったの」
「言ってくれたら良かったのに」
「言った事で逝ったらどうするの? 禁鳥で」
「それもそうだな」
 そう言って頷く魔男であった。
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