上 下
1 / 1

聞く茎

しおりを挟む
 ただ今、減量中だ。
 試合が間近に迫っていて食事制限をしている。
 試合が近づくにつれ、五感が研ぎ澄まされている様な感覚を感じる。それは減量と向き合う事で死を感じていると同時に生も感じているからかもしれない。
 この時ほど、食べる事のありがたみを感じる事は自分の中でないだろう。
 今は茎を食べている。
 味わう様に、そして満腹中枢を刺激する様に何度も何度も噛みながら、茎を噛み、茎の音を聞きながら五感を研ぎ澄まし、ただひたすらに試合に向けて調整するのみである。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...