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気持ちシャボン玉

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 テレパシーが開発されて10年が経った。
 しかしテレパシーは相手に文章やイメージだけを送れるが、気持ちそのものはダイレクトに送れない、伝わりにくかった。イメージ画像から、文脈から気持ちを察する事は出来ても、その気持ちが本音なのかどうかは分からなかった。
 口でやると言ってやらないのと同じで文章だけでは真意は不明なのだ。 
 しかし気持ちを込める技術が開発された事で、それは劇的に変わる。
 すぐにそれは応用され子供の遊び、シャボン玉にまですぐさま発展した。
 子供が気持ちを込めてシャボン玉を飛ばす。それに当たって割れると込めていた気持ちが周囲に伝わる。
 それは一時的に大ブームになったが、弊害があまりにも多すぎた。
 驚かす気持ちで込めたシャボン玉が動物や虫に当たった時、生き物は驚き事故にあるいは人間を襲ったりした。
 運転中窓ガラスを開けていてシャボン玉に当たった時、集中力が途切れ、様々な結果をもたらした事もあった。
 だから今では犯罪者の気持ちを知る時、結婚する相手の気持ちを知る時など、限定的に使われる様に制限された。
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