【完結】二度目のお別れまであと・・・

衿乃 光希

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第三部 仲良し姉妹

34 個性

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「食中毒予防の三原則は」
「つけない・増やさない・やっつける」

「小学生の回答。麻帆は高校何年生?」
「はいはい。三年ですよ。洗浄・清潔、温度管理、加熱・殺菌」

「よろしい。熱湯消毒は何℃の熱湯で時間は」
「80℃以上を10秒以上かける」

煮沸しゃふつ消毒は」
「80℃以上で10分以上煮沸」

「正解。食中毒菌が増殖する条件は」
「栄養、水分、温度」

「菌が増殖する温度は」
「35℃」

「菌が数を減らし始める温度は」
「えーと、55℃から60℃」

「食肉類の保存基準は5℃。〇か×か」
「ええっと、〇?」

「不正解。4℃」
「ああ。間違えた」

「1℃ぐらいって思うけど、試験では落ちるから、ちゃんと覚えていようね」
「はーい」

 テストに備えてお姉ちゃんと復習。お姉ちゃんが問題を出して、あたしが答える。
 お姉ちゃんは、やっぱりすごい。あたしより覚えてる。

 高校を卒業すれば国家資格である調理師免許は取得できるけど、そのためには1単位も落とせない。
 もちろんお姉ちゃんに答えを教えてもらえれば落とすはずはないけど、カンニングはできない。お姉ちゃんが答えを教えてあげる、なんて絶対に言わないし、あたしもお姉ちゃんに頼ろうなんて思ってない。
 自分の力でちゃんと取ろうと思っている。
 ただ勉強には付き合ってくれるので、助けてもらっているけど。

「実習は得意なんだけどなあ」
「そうだね。よく頑張ってる」
 お姉ちゃんに褒めてもらえると、自信に繋がる。

 一年次に料理の基本を学べなかったあたしは、補講と二年の授業を並行して受けながら、基本を覚えた。切り方、下ごしらえ、出汁だしの取り方、火加減、調理方法などを。

 二年次には和食や海外の料理とコース、スイーツ作り。テーブルコーディネートと、サービス、テーブルマナーも学んだ。

 三年からはこれまでに勉強をしたことをさらに深く学び、実際の店舗での実習もある。
 卒業制作には創作料理を作る。文化祭での調理披露もあって、とても楽しみにしている。
 
 一年生から調理科に入学すれば良かったと、今は思っている。

 うしなった姉の代わりになることで、姉やパパとママのためになると思っていた。実際、看護科の受験を決めた時、パパとママは応援してくれたし、合格をとても喜んでくれた。

 自分のしたいことを犠牲にすることで、罪をつぐなったつもりになっていた。

 ただ深い悲しみから逃げただけに過ぎなかったのに。

 14歳だったあたしは気づかなかった。
 あたしでは、姉になることはできない。
 姉になる必要もなかった。

 姉は姉で、あたしあたし。どれだけ大好きで仲の良い姉妹でも、個人だから得意は違う。
 姉の得意は座学。あたしの得意は手先が器用だったこと。

 個性の違いがわからず、勝手に自信を喪失しておいて、自棄やけになってバカなことをした。
 ママの深い悲しみと、怯えた顔。二度と見たくないと思っていたのに、またあの顔をさせてしまった。
 機会があったら謝らなきゃって思っているのに、今のところ我が家は平穏で。突然謝るのもなんだかなあ、っていう感じだから、謝罪はできていない。

 だから、今は調理科の勉強を頑張ることで、返せるかなと思っている。
 座学は、思っていたよりは大変。最初はうわあとなった。
 栄養学はまた人体からだったし、計算もある。
 衛生学はさまざまな細菌について学び、予防や、温度管理、殺菌などについて勉強している。

 人の口に入る物だから、ちゃんと覚えないといけない。だから頑張ろうと思った。
 覚えきれていないから、もっとちゃんと覚えなきゃね。
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