宝くじが当たったボッチの俺が高嶺の花で隠れドスケベな巨乳生徒会長を買ったら、日々エロく迫られて人生が変わった。

ファッション@スカリー

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第87話 恭介の過去を覗くとき 霞SIDE——

霞SIDE——

先輩と話したあの日、私は恭介の過去に向き合おうと心に決めた。
そして今、私は恭介と一緒に病院にいる。
彼の隣に寄り添うために。
なぜ病院なのか。
その理由は、少し前の出来事に遡ることになる——


————


先輩との話を終えて帰宅した私は、ソファでくつろぐ恭介の隣にそっと腰を下ろしさりげなく話を切り出してみた。

「ねぇ恭介、そういえばいままで聞いてなかったけど恭介の家族っていまどちらにいるの?」
「霞?どうしたんだ急に?」

私の問いかけに、恭介はばつが悪そうに目を逸らしながら誤魔化すような言葉を返してくる。

「いや、ちょっと気になって……だって恭介ずっとひとりで住んでるんでしょ?」
「……まあ、ちょっと色々あってな……親父はいなくて……母さんは……」

そこまで言いかけたところで彼はふと口を噤む。
それ以上は話したくないという空気が、はっきりと伝わってくる。
でも私は引き下がらず、できるだけ慎重に言葉を選んで続きを促した。

「うん……母さんは……どうしたの?」
「母さんは……今は入院してる……というか、退院してもここには来ない感じかな……」

どこか遠くを見つめながら力なく語る彼の姿に、私は初めて彼の心の奥底に触れた気がした。
私自身も複雑な家庭に育ったからこそ他人の家庭には踏み込まない。
それがいつの間にか自分の中でのルールになっていたのだと思う。

けれど私は今そのルールを初めて破った。
そしてなおも彼の心に手を伸ばそうとしていた。
私にしか出来ないこと……神山先輩から言われたその言葉の意味を理解する為に……

「そうなの……ねぇ恭介……お母さんのお見舞いとかは行ってるの?」
「ああ、一応な……俺いつも月末に用事があるってひとりでどっか行ってたろ?」

その一言で私の中ですべてが繋がった。
恭介の行動を思い返してみると、確かに毎月月末になると彼はひとりでどこかに出かけていた。
なんでも細かく話してくれる恭介が、そのときだけは用事としか言わなかったのを私ははっきり覚えている。

「あっ……そうだったの……私、気付かなくてごめんなさい……」
「いやいや、いいんだよ。これは俺の家族の問題だから……」

そのかすかな悲しみを帯びた声に、胸が締め付けられる。
きっと、触れてほしくない部分だったんだと思う。
けれど私は、それでも彼に寄り添いたくて、そっと言葉を差し出した。

「ねぇ恭介……凄く言いにくいお願いなんだけど……今度、お見舞いについていってもいい?」
「えっと……それは…………」

恭介は口をつぐみしばらく黙り込んでしまう。
重たい空気がふたりの間に漂い、沈黙だけが場を支配する。
そんな中、彼はゆっくりと私の目を見て言葉を紡ぎはじめた。

「その気持ちは嬉しいんだけど……ちょっと驚かせちゃいそうで…これ以上、霞に迷惑掛けたくないし……」
「そう、わかったわ……じゃあせめて病院まで一緒いってもいい?私、病院の下で待ってるから……お願い……」

「どうしたんだ霞?まぁそれならいいけど……待たせちゃうかもしれないぞ?」
「いいの……私ね、恭介の事をもっと知りたいの……急に言われてもびっくりさせちゃうかもしれないけど、もっとあなたの近くに行きたいなって最近私思ってるの……」
「そうか……なんかありがとな……」

彼は頑張って作ったであろう笑顔を見せたが、すぐにまた目を伏せてしまう。

新たな沈黙が私たちを包み込む。
そんな彼に私はどうしていいかわからなかった。
でも……放っておけない自分がいる……
だから私は彼をギュッと抱きしめた。これが今の私の精一杯だった。

「霞……?」
「恭介ありがとう、私のわがまま聞いてくれて」
「いや……むしろ変に気を使わせちゃってごめんな……」


————


そのあと恭介から『今週末にお見舞いに行くんだ』と教えてもらい、それが今日というわけだ——

私は恭介に連れられて、一緒に病院のエレベーターに乗り病棟のフロアへ向かっている。
病院に入った時から彼の表情はどこか強ばっていて緊張しているのが伝わってきた。
きっと、それほどまでに彼と家族の関係は複雑なんだろう。

無機質なエレベーターの扉が開くと面会用のテーブルがいくつか並んだスペースが雑然と現れる。
私はそこへ歩を進めながら恭介にそっと声をかけた。

「じゃあ恭介、私ここで待っているわね。ゆっくりでいいから。お母さんによろしくね」
「ああ……本当にごめんな、気を使わせちゃって……」

そう言って、病棟の奥へと姿を消してゆく恭介。
その姿が完全に見えなくなるまで目で追っていた私は、少しだけ胸に残る不安を抱えながらそっと近くのテーブルに腰を下ろした——


————


そして30分が経った頃——

トイレに行きたくなった私は席を立ち看護師さんに場所を聞いた。
病院の空気に気持ちが沈みそうになりながらも、早めに用を済ませて戻ろうとしたそのとき——

目に入ったものに私は思わず立ち止まった。

〈鷹村美里〉

そう書かれたネームプレートがトイレの前の病室の入り口に小さく掲げられていた。
それは間違いなく恭介のお母さんの名前だと私は直感する。

思わずその場で足を止めてしまった私は慌てて立ち去ろうと足を動かし、身を翻そうとしたその瞬間——

病室の中から突然大きな怒声が漏れ聞こえてきたのだ。

「あなた誰!?急に!!こんな………こんな男私は知らないわ!!出て行って!!だれか!だれか助けて!!」
「かっ……母さん!落ち着いて!!俺だって!!」
「嫌っ!!こっち来ないで!!いやぁ!いやぁぁ!!」

それは間違いようもなく恭介の声だった。
いつも私を包むようなあの優しく温かな声が、今はどこか切羽詰まって響いていた。

……恭介!?

心臓がきゅっと縮む。全身に寒気が走り身体は金縛りにあったように動かない。
ただ、恐怖と混乱の中で時間だけが流れていく。

しばらくして私の目の前を看護師さんたちが駆け抜け、その病室へと消えていった。
私はその状況にただ、静かに震えながらその場に立ち尽くすことしかできなかった。

やがて、胸の奥から湧き上がるように涙があふれ出してくる。
知ってはいけない恭介の過去に、私は触れてしまったのかもしれない……

その哀しみに、私の心は深く飲み込まれていった——


次回:俺の母さん
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