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17 食事のひと時
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一織が向かったキッチンは、島型の大きなカウンターがあり、最新鋭の調理器具がずらりと並んでいた。
俺がいつも寮で使う、小さな流し台と一口コンロとは大違いだ。
「何作る?俺、手伝うよ。」
そう伝えるも、一織は冷蔵庫を開けながら静かに答えた。
「大丈夫。座ってて。」
冷蔵庫の中は、まるで高級レストランの仕入れ倉庫のようだった。
今日、百貨店の高級スーパーで俺たちが買った鯛やローストビーフ用の肉のほかに、見たこともないほど新鮮な食材が綺麗に並んでいる。
一織は迷いなく、今日の買い物で買った食材と、自宅の冷蔵庫にあった新鮮な野菜を取り出した。そして、アクアパッツァに使う予定だった鯛を手に取り、手際よく鱗(うろこ)を取り始める。
「え、一織、魚おろせるの?」 俺が驚いて聞くと、一織は淡々とした声で答えた。
「うん。」
キッチンからは、ニンニクとハーブ、オリーブオイルの香りが広がり始めた。
「うまそぉ~。」
覗き込む俺の顔を見て、一織がクスリと笑った。料理をしながら、一織は俺に色んな質問をしてくる。
家族のこと、弟のこと、そして将来どの分野に進むのかまで。
一織が俺に色々聞いてくることが妙に嬉しい。一織とゆっくりと会話をしたのは初めてかもしれない。
料理をしている一織の姿をずっと見ていても飽きない。
使っている香辛料や、買ったことの野菜の話もした。
「できた。」
一織がカウンターに置いた皿の上には、ふっくらと焼き上がった鯛と、色とりどりの貝や野菜が乗ったアクアパッツァがあった。
「すごっ。お店のみたい。一織、早く食べたい!」
俺が素直な感想を伝えると、一織は少し嬉しそうに目を細めた。
「そう言えば、どうして俺の料理だけなんで食べられるの?」
俺は意を決して尋ねた。
一織はフォークを置いて、俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「…千尋の料理は、優しくて、変なものが何も入ってないから。」
「変なもの?」
「うん。小さいとき色々あって。俺、そういうのが、人より敏感にわかる。」
一織は静かに告げた。
俺にはわからない、何かがあったんだと感じた。
一織は再びフォークを手に取り、アクアパッツァを口に運んだ。
「千尋は、俺の不安を消してくれる。」
「…ふーん。」 俺は照れ隠しに目を逸らしながら言った。
「じゃあ、俺がいないと、一織は飯に困るってことか。」
一織は黙って頷いた。
その無言の頷きは、今朝の「お腹すいた」とねだる姿と同じ、大型犬のような素直さを感じさせた。
その時、ピーンポーンとインターフォンの音が鳴った。
誰か来た?
俺がいつも寮で使う、小さな流し台と一口コンロとは大違いだ。
「何作る?俺、手伝うよ。」
そう伝えるも、一織は冷蔵庫を開けながら静かに答えた。
「大丈夫。座ってて。」
冷蔵庫の中は、まるで高級レストランの仕入れ倉庫のようだった。
今日、百貨店の高級スーパーで俺たちが買った鯛やローストビーフ用の肉のほかに、見たこともないほど新鮮な食材が綺麗に並んでいる。
一織は迷いなく、今日の買い物で買った食材と、自宅の冷蔵庫にあった新鮮な野菜を取り出した。そして、アクアパッツァに使う予定だった鯛を手に取り、手際よく鱗(うろこ)を取り始める。
「え、一織、魚おろせるの?」 俺が驚いて聞くと、一織は淡々とした声で答えた。
「うん。」
キッチンからは、ニンニクとハーブ、オリーブオイルの香りが広がり始めた。
「うまそぉ~。」
覗き込む俺の顔を見て、一織がクスリと笑った。料理をしながら、一織は俺に色んな質問をしてくる。
家族のこと、弟のこと、そして将来どの分野に進むのかまで。
一織が俺に色々聞いてくることが妙に嬉しい。一織とゆっくりと会話をしたのは初めてかもしれない。
料理をしている一織の姿をずっと見ていても飽きない。
使っている香辛料や、買ったことの野菜の話もした。
「できた。」
一織がカウンターに置いた皿の上には、ふっくらと焼き上がった鯛と、色とりどりの貝や野菜が乗ったアクアパッツァがあった。
「すごっ。お店のみたい。一織、早く食べたい!」
俺が素直な感想を伝えると、一織は少し嬉しそうに目を細めた。
「そう言えば、どうして俺の料理だけなんで食べられるの?」
俺は意を決して尋ねた。
一織はフォークを置いて、俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「…千尋の料理は、優しくて、変なものが何も入ってないから。」
「変なもの?」
「うん。小さいとき色々あって。俺、そういうのが、人より敏感にわかる。」
一織は静かに告げた。
俺にはわからない、何かがあったんだと感じた。
一織は再びフォークを手に取り、アクアパッツァを口に運んだ。
「千尋は、俺の不安を消してくれる。」
「…ふーん。」 俺は照れ隠しに目を逸らしながら言った。
「じゃあ、俺がいないと、一織は飯に困るってことか。」
一織は黙って頷いた。
その無言の頷きは、今朝の「お腹すいた」とねだる姿と同じ、大型犬のような素直さを感じさせた。
その時、ピーンポーンとインターフォンの音が鳴った。
誰か来た?
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