庶民の俺が金持ちグループに入ったら、完璧な御曹司になぜか異常に懐かれた【目線の先には。一織×千尋編】

綾波絢斗

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53 少しずつね

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にひひ。
この驚く顔がかわいい。ちょっと得意気になっていると、ガバッと一織が押し倒してきた。

一織に唇を奪われる。
んっ。ちょっ…待って…

その言葉を言えないくらいの勢いで、キスが降ってくる。

あっ…
んーーー。

俺は一織を思いっきり押しのけた。

「一織!今、しっ…舌!舌入れたーーー!!」

一織が自分の唇をペロリと舐める。

「ダメだった?」

あっ…。
男の目になってる…。
獲物を狙ってる目になってる…。

「だ…ダメに決まってるだろ」
俺は近くにあったクッションを抱いて、プイッとそっぽを向いた。

「ゆ…油断も隙もない…」
「でも…キスを最初にしたのは千尋だよ?」

「だ…だからって。急に、そんなのはダメだろ?」
「…じゃ、いつならいい?」

慣れるまでって言ったのに。ゆっくり進むって約束したのに。

「…大人になるまで」

一織が無言だ。返事がない。
そーっと一織の顔を見ると、口元に手を当ててニヤけている。

「なんだよ!」
「ん?いや、大人になるまでずーっと俺と一緒にいてくれるってことかな~、と思って」

そう言いながら、一織はまた俺に近づいてきた。

「なんだよ。ずっといるつもりだよ?」
小さい声で答えた。
湊が、もっと話したほうがいいって言ってたから。
ちゃんと自分の気持ちを伝えていこうと思った。

一織の顔を見ると、一瞬すごく驚いたあと、笑顔になって俺をギュッと抱きしめてきた。

「そっか。ずっと」
一織は愛おしそうに、その言葉をつぶやいた。

「あっ…そう言えば。一織ってさ、束縛タイプ?気持ちが重いっていうか…監視されてるみたいで嫌なんだけど?」

「は?それ今言うの?この雰囲気で?」

ちょっと呆れたように一織が言う。

え?雰囲気?
今、言わなかったらいつ言うんだよ…

少しため息をつきながら、
「重いのは自覚してる。言うとさ、嫌がられるかなって思って。でも千尋のこと気になるから。」

「だから、内緒でインカメラで俺を見てたの?聞いた時さ…」
「怖かった?」

「そりゃ怖いだろ。俺の盗撮と一緒じゃね?ある意味、犯罪じゃね?」
「…」
耳が垂れた大型犬。悲しい顔をしている。

「あっ…だから、隠すな」
「え?」

「ちゃんと言え。言われたら嫌じゃないから」

「え?見ててもいいの?」
「…知らないのは嫌。それだけ。別に一織に見られても嫌じゃない。それが以外に、俺の知らないことある?」

「…」

「えっ?あるの!?」

「まぁ、色々?」

「色々ってなんだよ。全部吐け!」

…。
…。
なんで無言なんだよ!!

「追々…伝える。」

なんだそれ。
一織…何を仕掛けてる?
怖いんだけど…
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