庶民の俺が金持ちグループに入ったら、完璧な御曹司になぜか異常に懐かれた【目線の先には。一織×千尋編】

綾波絢斗

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一織の仕事部屋で、勉強させてもらうことにした。
定期テストは、想像以上に過酷だ。

ただ問題を解くだけでなく、解法の根拠、情報の整理・図式化、誤答の修正能力と応用する力が評価される。
暗記だけでは点数が取れない。

問題数は少ないものの、1問に時間がかかる。
学校独自の問題なんだよな…。

でもな~。
俺の点数が悪かったら、一織の会社に行くのを止められるかもしれないし、頑張るしかない。

一織が隣で仕事をしている。
たまに横顔をチラチラ見てしまう。
少しうつむいた目から鼻筋、そして唇…。きれいなフェイスライン。

あれ?
一織が、いつになく怪訝な顔をしている。

「一織?どうした?なんか悩んでる?」

「ん?ちょっと。イマイチで…でも大丈夫。修正すれば万全な状態になるから。」

「そっか…。」
そうだよな。
仕事だってすべてが順風満帆なんて、いくわけないもんな。

「お茶、入れるよ。眠気覚ましならコーヒーのほうがいいかもしれないけど、睡眠は取らないとだからな。ジャスミンティー淹れてくるよ。」

そう優しく微笑んでくれる。
自分はあまり寝られないのに、俺の睡眠時間はすごく気にしてくれる。

一織は「待ってて」と言って、部屋を出て行った。

今解いている問題が解けたら休憩したいから、俺は集中した。
一織はお茶を持ってきてから、また部屋を出て行った。

何してるんだろ…。

俺は部屋を出た。
一織…
キッチンにはいない…。

どこ行ったんだろ?トイレか?

カタン。

その時、ベッドルームの方で音がした。
あっ。もしかして、体調悪いんじゃ。
急いでベッドルームに向かうと、一織が本棚のあたりで何かしてる。

「一織?」

不思議そうに一織を見る。

一織がピタッと止まった気がしたけど…。
何か隠した?

「何してるの?」

そう聞くと、一織は振り返りながら、
「ん?ちょっと本を見てた」
と答えた。

うん。
すっごい怪しい。
誰が見ても怪しい。

俺は一織に近づいて、一織の唇を指でなぞる。
一織は、俺がキスを求めてると思ったのか、顔を近づけてきた。

スッとよけて、一織が触っていた本棚を見る。

「あっ…」
一織が声を出した。

ん?なにこれ?
小さい…。

「一織…これ…何?」
俺は静かに聞いた。

「え?カメラだけど?」
一織は、俺が爆発寸前だと気づいたのか、バレたからなのか、平然と言い放った。

俺は怒りを抑えながら、ニコニコして言った。
「一織。何する気だった?」

「えっと…」
「まさかと思うけど…」
「うん。ほら…記念に?」
「なんの?」
「…初めての」

待て待て待て。
もしかして、最近俺に何もしてこなかったのって、この準備を整えるためとか言わないよな??

「なんの初めて?」
「なんのって…」

おい、照れるな。
そこは照れるところじゃない。

「ねぇ。最近、俺が求めても何もしてこなかったのって…」

二コリと笑う一織。

「待て。さっき、難しい顔して悩んでたのもこれ!?」
「うん。ちょっと角度が…」

いやいやいや。
何やってんだ。

「これで準備万端だよ、千尋。」
なんでウキウキしてんだよ!

「いや…しない。」

「え!!!なんで!!!」
なんでって…お前…。

「今日、ここで寝ない…」

俺はそう言って、勉強に戻った。

一織…。
記念って、これ、ある意味犯罪だろ?
趣味のレベルじゃないだろ。

マジで。何考えてんだ。
ってか、考えることが変態なんだって。

いや、怖い怖い。

俺は気を紛らわせようと、もう一度机に向かって勉強をし始めた。
しばらくすると、機嫌をうかがうように一織がやってきた。

「これ、ちゃんと外したよ。」

そう言って、カメラを渡してきた。

「ほんと、そういうのやめろよ。」
「うん。」

耳が垂れてるデカワンコ。
もう、この姿に弱いんだって。

「だから、もう寝よ。何もしないから。抱きしめて寝るだけだから。」
一織にそう言われて、仕方なく同意した。

そう、俺はわかってなかったんだ。
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