庶民の俺が金持ちグループに入ったら、完璧な御曹司になぜか異常に懐かれた【目線の先には。一織×千尋編】

綾波絢斗

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77 疲れてる

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「楽しかった?」
車が出発してから、一織が俺の手を握りながら聞いてくる。

「うん!すごい楽しかった。陸がね、どんどん料理上手くなっててね。あとね、湊からもいろんなこと聞いたんだよ」
楽しくて話が止まらない俺の話を、一織は静かに聞いてくれていた。

「一織…最近、忙しいだろ?俺、定期テストもあったから、一織の会社にも行けてなかったし」

「ん。大丈夫だよ。テストどうだった?」
「一織のおかげで大丈夫そうだよ」
「そっか。よかった」

一織が少し疲れているようにも思える。

「明日は一織と一緒に会社に行くから、今日は早く寝よ」
「え!?」
「え!?なに?一織?」
「や…なんでもない」





「違うよ。本気で『寝る』ほうだよ」
「…わかってる」

一織…お前…期待しただろ。

「一織、疲れてるだろ。寝るのが先。わかった?」
「…うん」

お預けを食らって、シュンとしてる一織。
いや、どんだけ期待してたんだよ。

家に帰ってから、一織がごはんを食べている間にお風呂を入れる。

ごはんを食べたあとすぐにお風呂って、あんまりよくないのかな…
でも…早く寝てほしいし…。
そう思いながら、リラックスできる香りのバスアロマを入れた。

ダイニングに戻ると、ちょうどごはんを食べ終わった一織がいた。

「タルトタタン食べるなら、ルイボスティー淹れる?」
一織が頷いたので、俺はタルトタタンをお皿に移し、ルイボスティーを淹れた。

「ごはんどうだった?」
「陸、料理がまた上手くなったな」

一織も満足そうだ。陸にも伝えよう。きっとすごく喜ぶと思う。

一織がタルトタタンを食べている間、俺も隣に座って一織の姿を見ている。

横顔もかっこいい…。
でも、やっぱり疲れてる気がする。

俺は自然に、一織の髪に触っていた。

「最近、忙しそうで心配だよ」

そう言うと一織は、
「千尋がいるから大丈夫」
と優しく答えてくれる。

無理してる…。
もっと弱いところ、見せてほしいのに。

一織はタルトタタンも全部食べて、少しゆっくりしてから風呂場に向かった。





そうだ…。
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