庶民の俺が金持ちグループに入ったら、完璧な御曹司になぜか異常に懐かれた【目線の先には。一織×千尋編】

綾波絢斗

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90 いとこ

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「千歳!一織が大人の階段上ってる!ヤダ!止めてー!」
朱祢さんが千歳さんに向かって叫んでいる。

「一織。ここは会社だよ?そういうのはよくないんじゃないかな?」
俺には冷たい目線の千歳さんは、一織には強く言えないのか、諭すように止めている。

そして一織はというと、2人を無視。

何も聞いてない。

でも、俺も人前でキスは無理。
近づいてくる一織の唇を手で止めた。

「一織。さすがに恥ずかしいから、やめて。」

俺がそう言うと、一織は俺の手にキスをしてから隣に座って、肩にもたれ掛かってきた。
2人きりのときは大型わんこなのに…今日は猫のように甘えてくる。黒猫…いや…でかすぎて黒ヒョウか…。

「一織、四宮さんにくっつきすぎじゃないかな??」
千歳さんが諭す。

「そうよ!誰かにくっつきたいなら私にくっつけばいいじゃない!」

う…ん?

朱祢さんの言ってることはちょっとよくわからないけど…
まぁ、2人も一織が大切ってのはわかった。

そして、見事にスルーな一織。

「千尋。何か飲む?カフェオレでいい?」
「ん。ありがと。」

一織が千歳さんを見ると、スっと扉から出て行った。

「朱祢、資料。」

一織…偉そうだな。

そう思ったけど、朱祢さんはウキウキしながらデスクに向かった。
2人も……
一織のこの態度はデフォルトなのか……
いや。だとしたら一織をワガママに育てすぎじゃないか……

俺は静かに様子を伺うしかなかった。

千歳さんがカフェオレを持ってきてくれた。

ありがとうございますと言って、ひとくち飲む。

「あっ。おいし。」

俺がそう言うと、一織が

「だろ。俺も、千歳の淹れるカフェオレ好きなんだ。」

一織が俺に向かって話しているけど、それを聞いている千歳さんは無言だけど、体全体が喜びにあふれている。

……ここにも大型犬がいたわ。

「はい。」
朱祢さんが資料を一織に手渡す。

それを見た一織は、「ん。わかりやすい。」と伝えると、朱祢さんも得意げな感じ。

……一織の飴と鞭ってやつを見た気がする。

え?10歳年上って言ってなかった?
一織にはこんなちょろい感じなのか…

なるほど…

一織はお構いなしに俺に明日の予定を話してくる。

そりゃ、2人にとったらおもしろくないだろうよ。

一織の隣にいるために、会社の人に認めてほしいって思ったけど…ハードル高すぎたろ。

ため息しか出ない。

でも俺のそんな心配をよそに、一織は明日の予定を俺に微笑みながら聞いてくる。

千歳さんがすごい顔で見てるじゃん。
なんでお前が来るんだって顔してるじゃん。

朱祢さんに至っては、もう敵意剝き出しじゃん。

……
……

一織、お前…2人がそんな状態になるって、それわかっててやってんな。

「一織、俺は一緒に来るの控えようかな。」

正直、今日の注目の浴び方が怖かった。
何者かを探られるのも怖い。

一織に言ったら、自分の隣にいればいいって言うだろうけど、そんな邪魔はしたくないし、このままずっと守ってもらうわけにもいかないし。

「どうして?」
「どうしてって…んと。佐久間先生に言われてるレポートの課題もあるし…」
「そんなのここでやればいいじゃん。」
「えっと…あと、色々、街を見て回りたいし…」
「そんなの俺と行けばいいじゃん。」

……
一織。食い下がるな。

千歳さんが、もっと断りなさいって圧を出してくる。
いや、朱祢さん、そんな顔されても…

「とりあえず、明日は別行動。GPSで確認して。俺のこと。いい?」

「……やだ。」

なんだ、その即答。

「……じゃ、街を見て回ったあとに、レポート書きに来るから。」

「……やだ。」

なんだ。それ。どうした一織。

なにか心配なのか??

千歳さんが何か感づいたのか、
「一織、四宮さんが困っていますよ。明日は別行動にしたらどうですか?四宮さん、16時ごろ迎えに行きますから。」
と俺の意見に賛成してくれる。
それなのに一織の目には見えないのかってくらい千歳さんの存在を消してる感じがする。

扱い雑過ぎだろ。?

俺はため息をついて、

「一織。俺、色々みたいから。ねっ」
きゅるん。上目遣いのお願いポーズ。

人前でこの甘える姿なんて見せたくなかったのに…
恥ずかしいけど、一織を納得させるにはこれしかない。

「千尋!これは人前でするものじゃない!」
って両手で顔を挟まれた。ムギュっとされている俺の顔。

いや、一織が全然納得しないからだろ。

「わかった?」
俺は頷くしかなかった。

ってか、一織も納得したんだろうな…。

「じゃ、決まりね。」

俺がそう言うと、一息置いて、

「何かあったらすぐ連絡して。」

と一織が言ってきた。

昨日連絡全然取れなかったじゃん…って言うと拗ねそうだから、俺は静かに頷いた。
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