庶民の俺が金持ちグループに入ったら、完璧な御曹司になぜか異常に懐かれた【目線の先には。一織×千尋編】

綾波絢斗

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93 ひとりの時間

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グラスハウスに足を踏み入れる。

やっぱり。おじいさんがいた。
俺の足音に気づいたのか、俺が声をかける前に笑顔で「こんばんは。」と話しかけてくれた。

それだけなのに、今の俺には、この言葉すらすごく優しく聞こえて、泣きそうになった。

「どうかしましたか?」
その言葉にどう答えていいかわからなくて、俺はただ首を振るだけだった。
おじいさんはそれ以上何も聞いてこなくて、その気遣いが嬉しかった。

「そう言えば、お店にはいつ来ますか?」

あっ…そうだった。
一織に何かプレゼントしたいと思っていたんだった。
時間ができたから、いつでも行ける。

「あの、朝は何時から…僕、時間ができたんで、いつでも行けるようになりました。」

そして、明日の朝に行くことを伝えて、俺は家に戻った。
誰もいない家。ため息すら大きく聞こえる。

食欲はなくて、シャワーを浴びてからクローゼットを見た。

一織のTシャツ…

無意識に手に取って着た。

ベッドルームでひとり、なかなか寝れない。
「一織のバカ!どうしてこんなことになるんだよ!」
俺は叫ぶ。

「寂しい。早く迎えに来い!迎えにこない…なんてないよな?」
急に寂しくなる。

夢の中でも会いたい。
そう思う自分が女々しくて…ビックリする。
そして、こんなにも一織が好きだったってことにも驚く。

そして俺は目を閉じた。
翌朝、太陽の光で目が覚めたけど、もちろん一織はいない。

「おはよ。一織。なんでいないんだよ。」
独り言をつぶやく。

でも今日は、お店に行く予定ができていた。
この家にいても悩むだけだから、予定があるのは気が紛れる。

いつまで我慢すればいいかわからないし…
何もしないで待つってのも違う気がする…

ドラマとか映画とかだったら、庶民の俺がいろんなことを考えて千歳さんに立ち向かうってストーリーになるんだろうけど…

んなの現実的には無理。

食欲はやっぱりわかなくて…

準備をして、おじいさんのお店に向かった。
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