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第41話 声をかけたのは
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アオが振り返ると、そこにはタクミが立っていた。
「タクミさん!」
驚きつつも、アオは笑顔でタクミに近づく。
「配達ですか?」
「うん。今日ここの会場に搬入して、そろそろ引き揚げの時間だから来たんだ」
「そうなんですね!」
「アオ君、今日はいつもと違うね。スーツ姿も似合ってるよ」
「へへっ、普段はラフな格好だから」
「そうだ。リョクくんに頼まれていた花がそろそろ咲くから、また伝えておいてくれる? 一応リョクくんの要望どおりになっていると思うけど、リョクくんチェックをクリアしないと不安で」
「リョク結構きびしいですもんね~。その時、僕も行きたいです!」
「もちろんだよ。楽しみにしているね」
「あっ、ちょっと待ってください」
背伸びをして、アオはタクミの髪に触った。
「ほら、葉っぱ」
「あっ、ありがとう。搬入作業でついちゃうんだよね」
その時、後ろから声が響いた。
「アオ!」
振り返ると、レイが立っている。
「あっ、レイ! じゃ、僕行きます!」
「うん。またね」
そう言って、アオはレイの元へ駆け寄った。
「レイ、もう大丈夫? アキトさんが、レイが疲れてるって言ってたよ」
「誰?」
「あっ、タクミさん? 姿は初めてだった? 前に話したでしょ? リョクがお花の香りを作る時に発注しているお花屋さんだよ。今日はお仕事で来てたみたい」
「どうして彼の髪を触ってた?」
「ん? 葉っぱがついてたから取ってあげてたんだ。あとね、リョクが発注したものができたって言ってたから、今度リョクと遊びに行こうと思ってる」
「へぇ、遊びに?」
「うん。昔は毎日のように遊びに行ってたけど、最近はリョクに頼まれた時しか行けてなくて」
「楽しみなんだ?」
「うん。すっごく楽しみ!」
にこにこと笑うアオの顔を見て、レイの胸に嫉妬心が湧き上がる。グッとそれを抑え込んだ。
「そういえば、アオ囲まれてたね。いろんな人に」
「あっ、あのね、みんな『イナンナ・ギ・アグ』の話を聞きたいって言ってくれてて」
「ふぅん」
「僕はレイの話す姿がかっこよくて目が離せなくて……聞かれても『イナンナ・ ギ・アグ』の説明もちゃんとできなかったんだ。レイの役に立ちたかったんだけど」
「……そっか」
囲まれていたことよりも俺のことや会社のことを考えているアオに、レイは目を細めた。
「帰ろう」
「うん」
そう言って二人は車に向かった。
車の後部座席に座ると、レイがアオの肩にもたれかかる。
「疲れた? 大丈夫?」
「うん」
「家に着くまでこのままでいていいよ」
「ん」
アオの優しい気遣いに嬉しさを感じつつ、さっきの男がアオのもう一つの紋章の男かと思うと、胸の奥で沸々と怒りが込み上げてくる。レイは必死にそれを押し込めていた。
「タクミさん!」
驚きつつも、アオは笑顔でタクミに近づく。
「配達ですか?」
「うん。今日ここの会場に搬入して、そろそろ引き揚げの時間だから来たんだ」
「そうなんですね!」
「アオ君、今日はいつもと違うね。スーツ姿も似合ってるよ」
「へへっ、普段はラフな格好だから」
「そうだ。リョクくんに頼まれていた花がそろそろ咲くから、また伝えておいてくれる? 一応リョクくんの要望どおりになっていると思うけど、リョクくんチェックをクリアしないと不安で」
「リョク結構きびしいですもんね~。その時、僕も行きたいです!」
「もちろんだよ。楽しみにしているね」
「あっ、ちょっと待ってください」
背伸びをして、アオはタクミの髪に触った。
「ほら、葉っぱ」
「あっ、ありがとう。搬入作業でついちゃうんだよね」
その時、後ろから声が響いた。
「アオ!」
振り返ると、レイが立っている。
「あっ、レイ! じゃ、僕行きます!」
「うん。またね」
そう言って、アオはレイの元へ駆け寄った。
「レイ、もう大丈夫? アキトさんが、レイが疲れてるって言ってたよ」
「誰?」
「あっ、タクミさん? 姿は初めてだった? 前に話したでしょ? リョクがお花の香りを作る時に発注しているお花屋さんだよ。今日はお仕事で来てたみたい」
「どうして彼の髪を触ってた?」
「ん? 葉っぱがついてたから取ってあげてたんだ。あとね、リョクが発注したものができたって言ってたから、今度リョクと遊びに行こうと思ってる」
「へぇ、遊びに?」
「うん。昔は毎日のように遊びに行ってたけど、最近はリョクに頼まれた時しか行けてなくて」
「楽しみなんだ?」
「うん。すっごく楽しみ!」
にこにこと笑うアオの顔を見て、レイの胸に嫉妬心が湧き上がる。グッとそれを抑え込んだ。
「そういえば、アオ囲まれてたね。いろんな人に」
「あっ、あのね、みんな『イナンナ・ギ・アグ』の話を聞きたいって言ってくれてて」
「ふぅん」
「僕はレイの話す姿がかっこよくて目が離せなくて……聞かれても『イナンナ・ ギ・アグ』の説明もちゃんとできなかったんだ。レイの役に立ちたかったんだけど」
「……そっか」
囲まれていたことよりも俺のことや会社のことを考えているアオに、レイは目を細めた。
「帰ろう」
「うん」
そう言って二人は車に向かった。
車の後部座席に座ると、レイがアオの肩にもたれかかる。
「疲れた? 大丈夫?」
「うん」
「家に着くまでこのままでいていいよ」
「ん」
アオの優しい気遣いに嬉しさを感じつつ、さっきの男がアオのもう一つの紋章の男かと思うと、胸の奥で沸々と怒りが込み上げてくる。レイは必死にそれを押し込めていた。
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