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【完】第86話 選んだ道
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久しぶりの会社。もちろんレイと一緒に。
レイは一足先にプライベートルームへ向かった。アキトに提出した退職届は処理されておらず、特別任務扱いで給与も支払われ続けていた。
「あれ?」
僕の代わりに高階さんが使っていたウォークインクローゼットは、ミーティングスペースに変わっていた。
「アオくんには言ってなかったね。改装したんだ。アオくん以外の人が使った場所は必要ないって、レイがそう言ってね」
「えっ」
「レイのウォークインクローゼットも、今はプライベートルームからしか入れなくしたよ」
「えっ、どうして?」
「もう、アオくんとレイ以外は使わないでしょ?だから、広くして二人の物を一緒に置けるようにしたんだ。安心して、アオくんのスーツや靴、時計は誰にも触らせず保管してあるよ。確認してきたら」
その言葉を聞き、アオはプライベートルームのドアを開けた。
「お帰り」
レイが両手を広げて待っていた。
──これをするために先に入ったんだ。そう思うと、アオは自然と笑顔になる。
「レイ、ただいま」
そう言って飛び込むように抱きついた。もう戻らないと思っていた温もりが、再び自分の傍にあることがただ嬉しかった。
顔を胸に埋めたまま、アオはふと尋ねた。
「そうだ、ウォークインクローゼット……少し変わったの?」
「見てみる?」
「うん」
レイに手を引かれて向かうと、そこには以前よりも広く整えられたクローゼットがあった。アオの物とレイの物が対になるように並べられている。
「あれ?スーツ増えてる?こんなに着れないよ」
「アオがいなくて寂しくて。戻ってきた時に困らないように、用意してたんだ」
レイは少し恥ずかしそうに答えた。
「時計も。全部ペアになってる」
「うん、変えた」
「アオ」
優しく呼ばれて振り向くと、レイの手にはペアリングが握られていた。
「もう離れない。ずっと一緒にいたい。愛してる」
その言葉と共に、レイは指輪をアオの左薬指にはめる。アオはもう「影」ではなかった。
嬉しさに涙がこぼれ、アオはレイに抱きついた。
「アオ……俺の番って、公表してもいい?」
アオはゆっくり頷き──それから小さく首を傾げた。
「あっ。でも大げさにはしないで。目立ちたくないから」
「わかった。アキトとキョウカの婚約発表の時に、俺に番がいるってだけ伝える。それでいい?」
「うん、それがいい」
「了解」
そう言って、レイはアオを抱き寄せ、深く、深く口づけを交わした。
二人の未来は、もう揺るがない。過去の恐怖も、孤独も、もうここにはない。ただ強く結ばれた絆と、穏やかな日々が待っている。
──愛する人と共に、歩んでいく。
それが、二人の選んだ未来だった。
レイは一足先にプライベートルームへ向かった。アキトに提出した退職届は処理されておらず、特別任務扱いで給与も支払われ続けていた。
「あれ?」
僕の代わりに高階さんが使っていたウォークインクローゼットは、ミーティングスペースに変わっていた。
「アオくんには言ってなかったね。改装したんだ。アオくん以外の人が使った場所は必要ないって、レイがそう言ってね」
「えっ」
「レイのウォークインクローゼットも、今はプライベートルームからしか入れなくしたよ」
「えっ、どうして?」
「もう、アオくんとレイ以外は使わないでしょ?だから、広くして二人の物を一緒に置けるようにしたんだ。安心して、アオくんのスーツや靴、時計は誰にも触らせず保管してあるよ。確認してきたら」
その言葉を聞き、アオはプライベートルームのドアを開けた。
「お帰り」
レイが両手を広げて待っていた。
──これをするために先に入ったんだ。そう思うと、アオは自然と笑顔になる。
「レイ、ただいま」
そう言って飛び込むように抱きついた。もう戻らないと思っていた温もりが、再び自分の傍にあることがただ嬉しかった。
顔を胸に埋めたまま、アオはふと尋ねた。
「そうだ、ウォークインクローゼット……少し変わったの?」
「見てみる?」
「うん」
レイに手を引かれて向かうと、そこには以前よりも広く整えられたクローゼットがあった。アオの物とレイの物が対になるように並べられている。
「あれ?スーツ増えてる?こんなに着れないよ」
「アオがいなくて寂しくて。戻ってきた時に困らないように、用意してたんだ」
レイは少し恥ずかしそうに答えた。
「時計も。全部ペアになってる」
「うん、変えた」
「アオ」
優しく呼ばれて振り向くと、レイの手にはペアリングが握られていた。
「もう離れない。ずっと一緒にいたい。愛してる」
その言葉と共に、レイは指輪をアオの左薬指にはめる。アオはもう「影」ではなかった。
嬉しさに涙がこぼれ、アオはレイに抱きついた。
「アオ……俺の番って、公表してもいい?」
アオはゆっくり頷き──それから小さく首を傾げた。
「あっ。でも大げさにはしないで。目立ちたくないから」
「わかった。アキトとキョウカの婚約発表の時に、俺に番がいるってだけ伝える。それでいい?」
「うん、それがいい」
「了解」
そう言って、レイはアオを抱き寄せ、深く、深く口づけを交わした。
二人の未来は、もう揺るがない。過去の恐怖も、孤独も、もうここにはない。ただ強く結ばれた絆と、穏やかな日々が待っている。
──愛する人と共に、歩んでいく。
それが、二人の選んだ未来だった。
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